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一片の物語

「きつねの長靴」

作者: 翠野希

その日はお天気雨だった。急に降り出した雨は陽に照らされてキラリと輝き、建物に叩きつけられた。

雨が上がった。石畳に写るカラフルな傘も消え、もとのレンガ色の道に戻っていた。

 僕が店の前に出、ふと足元を見ると…おやおや。


 なぜか、黄色い小さな長靴がきれいに揃って佇んでいた。どうも3才くらいの子どものものに見える。

 はて、これを履いていた当人は、裸足でどこへ行ったのだろう?また、子どもの長靴が置かれるなど、僕には身に覚えがない。


 晴れて暖まった道の感触を確かめるため、脱ぎ捨たのか。はたまたお母さんにだっこされて、するりと脱げてしまったのか。ただ、きちんと揃った姿を見る限り、どちらもピンと来ない。

 

 僕はお天気雨だったのを思い出し、持ち主はきつねの子なんじゃないかと思った。取りにくるかもしれないと、そのまま軒先に置いていたが、数日経っても長靴はきちんとそこに並んでいた。


 今、その長靴は店の中で主人を待っている。そして僕も、心待ちにしている。本当にきつねが来るんじゃないかって、ね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 雨が降ってから止むまでの描写がたいへん綺麗でした。 「カラフルな傘も消え」て、普段の色に戻る様子、その移り変わりがいいな、と思いました。 [一言] はじめまして、作品を読ませていただきまし…
[良い点]  こんにちは。タケノコです☆。  本作を拝読しました。とても夢があって素敵な作品だと思いました。子供達に読み聞かせてあげたいです。とても良い話だしラストが謎で終わりなのも味があってブラボ…
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