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春、来たる時

作者: 姫山 朔

 

 (あで)やかに舞う 着物の袖が

 春の訪れ告げるよに


 弧を描く 金、(くれない)

 過去と未来を繋ぐ橋



 ひらり ひらり

 舞い散る桜 止められぬ 儚き望み 追憶の時

 ここも いつか

 薄紅(うすくれない)が 溢れ溢れて埋め尽くす


 ゆらり ゆらり

 揺れる心 誰も知らぬ 儚き願い 永遠の時

 あれも いつか

 朽ちて散ってまた育つ 人の常よ



 記憶(かこ)を望む者 何処(いづこ)に帰る

 誰かの想い 背を向けて


 永久(とわ)を願う者 何処に()かん

 誰かの悲しみ 捨て置いて



 今を生きる苦しみ越えて

 先に咲くのは山桜

 己を律し 心澄む


 欲に生きる快楽に溺れ

 先に咲くのは沈丁花

 他者を制して 身には毒


 いつか滅びるその日まで

 生き死にゆく者の定めなり



 桜、身を散らして 舞いあがる

 春の吐息 ここに在りと

 彼、花に応えて 目を閉じる

 懐かしきを纏い 夢を抱きて 現在(いま)をいく


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― 新着の感想 ―
[一言] いつもと趣が違っていますが、本当に素晴らしい詩ですね。ゆっくりとその情景が思い浮かばれます。 動よりも静な調子で詩は進んでいますが、この静の中に人間の儚さが静かに詠われています。  失敗しま…
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