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紫の旋律~短編集~  作者: 蒼夜
未来は誰にもわからない⊿カルス
8/8

1

 

 駆け抜けるように時間だけが過ぎていく。

 その中で私は王という立場から退き、片田舎に未だ追放したままのアーリアにたまに気遣う便りを出すという生活に馴染んで数年。許したわけでは、ないがシオンを失ったときより幾分か冷静になった自分がいた。そして、サリューからの要請で宰相位について、数か月。

 

 ソレは、突如として私の前に降ってきた。

 

「イタッ…」

 

 執務机の上、少しタイミングが悪かったらきっと私の腕は彼女に圧し潰されていただろう。尻もちをつくような形で彼女は私の方を向いているが下を向いている為に顔は見えなかった。

 

「誰だ?」

 

 痛みを訴える声を出したのは、黒い髪の少女。そして、その少女と瞳が合えば髪の毛と同じ色を持つ瞳。

 一瞬、数年前の幻覚でも見えているのかと思うが、側に控えていた数人も驚いていることからこれが現実に起きていることだと認識する。

 

「私、村雨凛と申します。数年前に姿を消した従姉妹を探しているのですが、こちらに村雨紫音という方はいらっしゃいませんか?」

 

 シオンと同じ色を持ち、彼女がこの世界に来た時と似たような姿で彼女は私の執務机からひらりと降りると、堂々と一礼すると、私の目を見てそう言った。

 近くにいるものが腰に佩いている剣に手をかけたのが見えたので、それを眼で制すと彼女は一層にっこりと笑みを深くして続ける。

 

「えっとですね。私、村雨家の当主穂積の娘です。本家筋の者はその能力によって個々の力は違いますが、必ず何度か世界を渡ることができる能力を持っているのです。その力を使って今回ここに立ち寄らせていただきました」

 

 呆気にとられて茫然としている私に、彼女は淀みなく情報を私に提供し、信用してもらおうとしているようだ。

 

「彼女は、ここにはいない」

「そうですか…ですが、貴方は紫音をご存じなのですか?」

「ああ」

 

 後になってどうして、この少女をもっと疑わなかったのか自分でも不思議なくらい正直に彼女に話している自分がいた。

 アーリアのように彼女に似せたかの国に敵対する誰かしらが情報を欲しくて送ってきた間者かもしれなかったのに。

 

「父穂積は、自分の姉の子である紫音を殊に気に入っておりまして、将来は自分の長男である璃紅と結婚させようとしていたのですが、彼女が高校を卒業する前に失踪してしまったのです。

 まあ、今は兄も結婚していまして、子どももいますからそんな話は良いのですが、とりあえず今どうなさっているか知りたくて私が個人的に探しているのです。

 初めは私たちも国内を探していたのですが、その足取りは掴めず諦めていたところに我が家に伝わる伝承を皆が思い出し、諦めました」

 

 彼女、凛は聞かれてもいないというのに自分達家族と紫音のことをペラペラと話し始めた。

 

「村雨の家には異界者が時折混じることがありましたから、次元の違う者同士の願いが合致したとき世界の枠組みを超えてしまうという。ですから、きっとそうなのだろうと…。

 実際、穂積の母。私のおばあさまに当たる方は皆さんの目の前で忽然と姿を消したそうですし。ですから、今回の異世界旅行で私、従姉妹を探しているんですよ。小さかったから顔もよく覚えていなくって…お綺麗な方だと聞いていたので探しているんです。会わせていただけますよね?」

「しかし、彼女は…」

「いない。といってもこの世界のどこかにはいらっしゃるんでしょう?」

「たぶん」

 

 彼女は今も皇帝陛下とこの世界のどこかを旅しているだろう。先日は文が届いて、子どもが生まれたと書いてあった。もしかしたら、彼の国に里帰りしているかもしれないが…。

 

 彼女と別れて、王を辞め怠惰な生活を送っている時に鳥を模した紙が窓から室内に飛び込んできた。それから、時に触れて届く鳥。実際に会えなくとも、彼女が自分を気にしてくれているということだけで、それだけ良いと思えるようになった。

 

「聞いてみよう。凛殿数日時間を頂くことはできますか?」

 

 彼女が返信用にといつも一枚余分に入れてくれている紙を引出しから取り出してサラサラとその紙に要件を書く。

 

「ええ、会えるのなら!!」

「貴方を彼女は知っていますか?」

「はい。年に一度ぐらいしか会う機会はなかったのですけど、きっと覚えてくださっていると思います」

「では、彼女の故郷の文字でも書いてあげてください」

 

 この国、いやこの世界には彼女の故郷の言葉も文字も何もないから。

 

「ありがとうございます」

 

 そういって凛は宰相から羽ペンを受け取ると書きづらそうにしながらも文字を書き連ねていく。

 

「終わりました」

「では、飛ばしましょうか」

 

 椅子から立ち上がり窓を開けそこから今書いた紙を数秒遊ばせるようにヒラヒラと舞わせて指を離すと、鳥の姿を模して飛び上がっていく。

 

「すごっ…」

「…」

「では、アスカにも会うといいでしょう」

「アスカ?って澤代のお家の…?彼女もここにいるの!?」

 

 彼女は驚いたようで、眼を見開いて驚いている。

 

「ええ」

 

 それから度々彼女がこの世界に訪れるようになり、サイゴは――。

書きたかったのはこれじゃない…。

本編のすっ飛ばしたところを書きたいのに。

あまりにも不憫で(自分で書いといて何言ってるかって感じですね)。


でも基本…。基本幸せになってほしいかな~。とか思ってたらできてしまった話でした。

一発書きですので、お見苦しい処が多々あると思いますが、読んでくださった方ありがとうございます。

きっと後で、色々と書きかえるかもしれません、


次回こそ、すっ飛ばしたところを書きたいと思います・・・。

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