エピローグ 夢の続き
牢を出たとき、外の空気は澄んでいた。
眩しさに一瞬だけ目を細める。
「フィン、お帰りなさい」
「来てたのか」
護衛の騎士に守られたリリカが、ネネの差す日傘のなかにいた。
門の脇に馬車が止まっており、俺を迎えにきたのだと分かった。
地下の湿った匂いはまだ鼻に残っているし、石壁に反響したあの声も、耳の奥にこびりついている気がする。
だけど、過去を振り返る暇はないらしい。
リリカは落ち着いた表情で俺を見つめている。
「終わったの?」
「ああ」
それ以上は聞いてこない。
リリカは数歩近づき、何のためらいもなく俺の手を取った。
指先が触れる。
そのまま自然に絡められる。
正式に婚姻を認められた俺たちは、誰の目も気にせず手を繋ぐことができる。
爵位が釣り合わず、結婚までのハードルはまだ高いが、それでも二人の未来は約束されている。
「孤児院の皆にも報告しないとな」
「……うん。皆、祝福してくれるかな?」
「喜んでくれるさ。きっと……」
眩しい時間に目を細める。
「ねえ、ついでにお散歩していかない?」
「馬車で来たのにか?」
「フィンと二人きりがいいの。私、本当に嬉しかったんだから」
そう言って俺の手を引く。
拒む気にもなれず、俺たちは手を繋いだまま歩き始める。
俺は一度だけ空を見上げ、それから前を向いた。
リリカの歩幅に合わせてゆっくりと歩く。
それだけで幸せだった。
――俺の夢の続きは、ここにあるらしい。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ここで物語としては一区切りとなります。
皆様の反応に背中を押していただき、何とか第一章を書き終えた思いです。
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