旅の計画
カウは僕を心配そうに見ていた。
「ローヤル、そろそろ止めた方がいいと思うが?じゃないと前みたいに頭と体が離れることになりそうだ」
前みたいに?僕は思わず離れローヤルを見たが、彼女は鼻で笑った。
「バカ言うな。あの時とは状況が違う。同じことはしないさ」
その言葉はつまり以前にカウが言ったことをやったことになる。
「ならいいが、君は力が強いってことをもっと自覚した方がいい。またいろいろ壊されたら困るからね」
ローヤルは思い当たる節があるのか、ばつが悪そうな顔をして何も言わなかった。
「さてそれじゃ本題に戻ろう。これからの旅についてだが・・・」
カウが話し終える前にローヤルが割って入る。
「あいつのとこに行くんだろ?今はどこにいるんだ?」
カウは深いため息をつく。
「全くキミはせっかちだな。それを今から話そうとしているんだ。ちょっとは静かに聞いてられないのか?」
「お前が早く話さないからだろ?いつも回りくどく話してばかりで、敵がいてもどうするか悠長に話し合おうとするが、そんな暇ないし全員殺せばいいだけだろ」
間違っていないのかもしれないが極端すぎる考えだ。
「忘れたのか?それで衛兵を殺しかけたことがあっただろ?もし殺していたら大問題になっていた。すこしは自分の行動を鑑みてほしいものだ」
「その時は結局殺さなかったし、問題にもならなかったからいいだろ。細かい事をいつまでも覚えているやつだな。だからモテないんだよ」
「モ、モテないってのは関係ないだろ!!!!
い、いや待て、モテるんだからそれすら間違っている!!!!」
カウは語気を強める。
「お前がモテるわけないだろ。それこそ今までの行動を鑑みて?ってやつだな」
二人の言い合いが終わりそうにない中、メリーダが割って入る。
「あのーそれでこれからの旅路はどうなりますか?」
「あ、あぁすまない話がそれてしまった。本題に戻ろうか」
メリーダの言葉にカウは冷静さを取り戻したのかいつもの口調に戻る。
その光景をみてなぜかローヤルは笑っていた。
「まずは猿族のノール・モクエルに会いに行く。おそらく今は王都の診療所にいるはずだ」
「お前はなんであいつの場所を知っているんだ?」
ローヤルは質問した。
「彼女とは定期的に連絡を取っているからね。しかし、連絡を寄こしてくるたびに違う場所にいると書いてあるから確かなことは分からないがね」
「まぁあいつがいつも同じところにいるわけないか。しかし、おそらくでも場所の検討がついているのは助かるな。でも二人が連絡を取っていたなんて初耳だぞ?俺を仲間外れにするなんて信じられないな」
ローヤルはカウを睨みつける。
仲間外れにされたのが寂しかったのかと思うと可愛いところもあるもんだと僕は思った。
「いや、きみにも何回か手紙を送ったが一回も返ってこないからやめたんだ。ちゃんと返さないきみが悪いと思うが?」
そう言われたローヤルは目を閉じた。
記憶を探っているようだが一秒もしないうちに目を開く。
「いいや俺は読んだ記憶はない。だから来ていない。もし来ていたとしても俺に読ませることが出来なかったお前が悪い。そう全部お前が悪い」
ローヤルは指差しながら無茶苦茶な理論を展開しカウを悪者にした。
それを聞いた僕はさっきの思いをすべて撤回した。やっぱりこの人が全部悪いから。
そこでふと一つ疑問が浮かんだ。
最初に王都から出発する時、僕はメリーダさんから診療所の事を言われなかった。
「そういえばメリーダさん。王都にいる時、診療所について何も聞いてないんですが・・・」
僕はメリーダの方を見ると、彼女の眼は驚くくらい泳いでいた。
「い、いや、あの、あのですね。以前の桃太郎様が犬族から仲間にしたとの事でしたので同じがいいかなー・・・なんて思いまして、やっぱり同じやり方というか流れというかそういうの大事ですからね。うん、うん、そ、そう大事ですから。私だってそりゃ悩みましたよ?しっかり悩みました。でもやっぱり失敗できないですから、あまり突拍子もない事やるのはよくないと思ったんです。大変だったんです。」
今まで聞いたことがないほどの早口と見たことないほどの大きな身振り手振りをしていた。
これ絶対嘘じゃん。
誰が聞いてもそう思うほどメリーダは嘘がヘタクソだった。
しかし嘘つく理由がなにかあるのか知りたくなり僕は話を続けた。
「いや猿族の人はいろいろなところに行っているらしいので、確認で一度診療所に行ってみてもよかっ」
「い、いや、あの時は定期便の事もありましたし、診療所に行く時間があったかわからないですね。そうわからなかったです。」
メリーダは僕の話を遮ってまで話している。
こんな状態のメリーダは初めて見た。いつも冷静で頼りになる人なのに・・・。
「でも、先に会えたらよかっ」
「いや、いなかったら時間の無駄ですからね。そう無駄で」
「会いたくなかったんでしょう?」
突然カウは話に割り込んでとんでもないことを言ってきた。
「えっ?会いたくなかった?」
僕は驚き、メリーダを見る。
「い、いや、あの、あの、その」
メリーダは大きく手を振っていたが、やがて下を向いてぼそぼそ話始めた。
「嫌いとか会いたくないとかではなく。実は私あの方が非常に苦手で・・・」
今にも消え入りそうな声だった。
「口調や態度はとても柔和ですが、目が笑ってないんです。お話しているといつも私の心を覗き込まれてるような感覚に襲われて」
特になんてことない理由に肩透かしを食らった。
なら初めにいってくれればよかったのに・・・。
「でもカウさんはなんでそんな事知ってるんですか?」
僕はカウに尋ねた。
「ノールの手紙に書いてあったからね。どうやら避けられているみたいだと」
メリーダは驚いた顔でカウを見た。
「そんな風に思わせていたんですね。会った時謝ります」
膝を抱えそこに顔を埋めたメリーダはとても小さく見えた。
その姿を見てなんだか悪いことをした気がした。
すこし沈黙が流れた後、再びカウが話し始めた。
「それで話の続きだが運良く王都でノールに会えたなら、その後は前回と同じルートで旅を進めるのがいいと思っている。以前行った事がある町や村なら旅もしやすいからね」
ローヤルも賛成なのか黙っている。
「それときみはあまり獣人の知識が無いと思うから先に言っておくが、気を付けるべき種族がいる。それは【鼠】【虎】【蛇】【馬】【猪】だ」
獣人は敵対する可能性があるとも聞いていたけど種族多くない?
僕はこの世界は鬼以外にも問題多いだろと思った。
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