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Remember M  作者: soto


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20/21

魔力修得

夜が明け、村は落ち着きを取り戻す。


今日くらい朝はゆっくり過ごすはずが、ローヤルがそれを許さなかった。

いつも通りの時間に、いつも通りの起こし方で部屋に入ってきた。

「稽古だ、稽古。今日はいつも以上に厳しくいくぞ」

昨日のことが嘘のように元気だ。

「え、あんなことがあったのに今日も朝からですか?

 もう少し休ませてください・・・」

ローヤルはお構いなしにベッドから引きずり出す。

「馬鹿言うな。あんなことがあったからやるんだ。

 いつまた同じようなことがあるかわからないからな」

一理あるが今日くらいは、と僕は思った。が、抵抗しても無駄なので諦めた。

「わ、わかりました。支度するんで外で待っていてください」

「早くしろよ」

そう言うとローヤルは僕を離し部屋を出て行った。


外に出るとローヤルは素振りをしていた。

「お待たせしました。今日も素振りからですか?」

僕は答えがわかっている質問をする、が今日の答えは違った。

「いや、その前に聞きたいことがある」

真剣な顔つきだった為、思わず緊張した。

「な、なんですか?」

「昨日、族長の家で魔力を使っただろ?」

「・・・」

僕はなんて答えようか迷った。僕自身なぜ使えたのかわからないからだ・・・。

しかし、頭の中で聴こえた声が関係しているのはわかるが、その事をどう話そうか悩んだ。

「ハッキリとはわかっていない感じだな。なら、あの時何を感じた?」

「急に身体が熱くなりました」

「それが魔力だ。正直お前の魔力が無かったら魔石は発動しなかっただろうな。お前がこの村を救ったんだ」

「救っただなんて大袈裟ですよ。僕は何もしていないです。自警団の方やローヤルさんが野盗と戦っていましたし・・・」

「あまり卑下するな。それぞれが出来ることをしたんだ。その上でお前の魔力があってよかったって話だ」

僕は褒められたことが単純に嬉しかった。

「それで今ここで魔力を使うことが出来るのか?」

僕は身体に力を込めてみるが・・・あの時のような感覚にはならない。

「どうやらできないようだな」

「すみません」

「謝るな。そうだな、そしたら今日は魔力について話そう。戦いにおいて大事なことだからな。で、お前は魔力についてどこまで知っている?」

「メリーダさんから聞いたのは適性?がないと魔法を使えないってことですね」

「そうだな、魔法には基本属性がある。それは【火】【風】【水】【雷】【土】だ。あと例外的に【光】【闇】だな」

「そういえば僕には基本属性の適性がないみたいで、あるのは【光】だけらしいです」

「【光】か・・・それはやっかいだな。教えられる奴がいない」

「それメリーダさんも言ってました。光適性の人が存在したことがないって」

「まぁそうだな。とにかく一旦そこは後回しにしよう。

 他にも重要な事があって、まず魔力の使い道は魔法だけではないという事だ。そして通常魔力は身体から上に向かって少量が常に放出されているということ」

僕はお湯から出る湯気をイメージした。合っているかわからないけど・・・。

「もちろんそのままでは意味がない。やることは一つ、身体の周りに魔力を留めるんだ。そうすることで身体能力が向上し、ただ殴るにしても何倍の威力にもなる。そうだな、森に行って木で試そうか」


村の外に移動する。

「いいか、よくみていろ」

ローヤルは突然木を殴った。殴ったところがへこみ多少の亀裂が入る。

「これがただ殴っただけだ。たいした威力もないだろ?」

いやいや亀裂まで入っていますけど?これがたいしたことないとすると僕のパンチなんてどうなんだと思った。

「そしてこれが魔力を纏って殴ると」

同じように木を殴る。が、さっきとはまるで桁違いの音がなり、殴った箇所が弾け飛んだ。

「こうなる」

僕は唖然とした。最初のでも驚いたがこれは威力が桁違いだ。もしこれで殴られたらどうなるか想像するだけでも肝が冷える。

「す、凄いです。こんなに違うんですね・・・」

「今のは簡単にやっただけだから、しっかり魔力操作をすればもっと威力は高まるかな。まぁこれでわかっただろ?魔法を使わなくても魔力が大事な理由が」

「はい、わかりました。ちなみにこんな威力のもの防ぐにはどうすればいいんですか?ずっと避け続けないとダメとか?」

「いや同じように魔力を纏って受ければいい。ただし相手と魔力量が同等かそれ以上、そして魔力操作が優れていないと完全に防ぐのは難しいな」

「かなり複雑ですね」

「まぁそうだな。この辺りは感覚の問題だから身体で覚えるしかない。それからもう一つ大事なのが、武器にも魔力を纏わせることが出来ることだ。これはかなりの技術が必要だからすぐには無理だと思う。しかし、これが出来なくては最終的に鬼を倒すことも難しいからいつかは覚えてもらうぞ」

わかっていたことだが僕のこれからの道のりは険しく遠そうだ。


「さて一通りの説明が終わったからここからは実践だ」

「実践?」

「自分の意志で魔力を使えるようになってもらう」

「でもどうすればいいですか?」

ローヤルが手を出す。

「お前も手を出せ。これから俺の魔力を送るから、それでもう一度魔力の感覚を知ってもらう」

僕は手を出し、ローヤルと握手をする。すると段々身体が熱くなってくる。

「あの時と同じ感じです」

「なら目を閉じて、自分の中の魔力を探すのに集中しろ。魔力の質は個人差があるから、俺の魔力とは違うものを探すんだ」

目を閉じるとおそらくローヤルの魔力と思えるものが、身体中を伝っていくのを感じ意識を集中させる。そして身体の奥深くまで進んだ先に、また別の違和感に辿り着いた。直感的にこれが僕の魔力だと確信した。


見つけたことをローヤルに伝えようと目を開けると、そこは以前にも来た白い靄の中だった。

ここはあの時の場所か?なぜ今・・・。

「やぁ、また会ったな少年」

僕は声に聞き覚えがあり、前を見ると以前と同じ人影があった。

「あなたはあの時の人ですよね?なんで僕はまたここに?あなたが呼んだんですか?」

「ずいぶんと質問が多いな。しかし、俺は呼んでいないよ。少年がここに辿り着いたんだ」

「僕が?」

「魔力を探しているんだろ?」

「なぜ知っているんですか?」

「それは俺が何でも知っているからだ」

男は親指を立てたが、僕は困惑した。

「答えになっていませんよ。それよりここに魔力があるんですか?」

「ある。今、少年の目の前に」

するとさっきまで無かったはずの箱が僕の目の前にあった。

「いつの間にこんなのが。でも、これが・・・魔力?」

僕は箱に近づき触れてみる。

「その中に魔力が封印されている。開けるかは少年の自由さ」

「開けないとどうなりますか?」

「少年は魔力を使えない」

「なら開けた方がいいですよね?」

「かもしれないな」

男のハッキリしない受け答えに僕はイラつく。

「もしかして開けないほうがいいと思ってますか?」

「それは少年が決めることだ。けど、開けたら後戻りはできない」

「今でも後戻りできる状態じゃないと思いますけど・・・」

「今はまだできるさ。でも、この魔力を使えるようになったら話は別だ。少年は本物になり、その現実を背負うしかなくなるという事。それでもいいのか?」


「・・・正直僕には本物とか偽物とかはよくわかりません。でも、僕を信じてくれている人たちがいる。その気持ちに応えたいんです。それにこの世界は現実でみんな生きている。だからこの先、僕に力が無いせいで誰かが死んでしまうようなことがあったら、それこそ自分自身を許せなくなる。そんなのは嫌なんです」

僕は一瞬昔を思い出しかけたが、無理矢理頭の隅に追いやる。

「そうか。少年がそう自分で決めたのならそれでいい」

僕は顔が見えないのに、なぜかその男が笑っている気がした。


僕は再び箱に手を伸ばし、今度は開ける。すると箱から光が溢れてくる。

「これが魔力・・・」

と呟くが特に変化はない。

「もう使えるようになったんですか?」

「あぁ使える。でもすべての魔力を使えるようになった訳ではない」

「どういうことですか?」

「今回で全体の四分の一くらいの魔力が使えるようになった」

「なんで全部じゃないんですか?」

「魔力量が多すぎて、まだ魔力操作ができない少年に渡すのは危険なんだよ。下手したら魔力暴走を起こして死んでしまうから」

「魔力暴走・・・死ぬ・・・」

僕は突然の話で困惑する。

「えーと、そしたら魔力操作ができるようになったら、魔力暴走も起きず死ぬこともなく、残りが使えるようになるってことですか?」

「あぁそうだな。その時が来たら使えるようになるかもな」


周囲にノイズが入る。

「おっと、そろそろ時間のようだ。本来の目的は達成したんだからそうなるか」

「あのまだ聞きたいことが・・・」

「大丈夫だ、少年。また会えるさ。その時聞いてやるよ」

男はまた親指を立てる。これがこの人の決めポーズなのだろうか?カッコいいとは思わないけど・・・。

そう思っていると光に包まれた。


再び目を開けると、そこにはローヤルがいた。どうやら戻ってきたようだが、僕はとてつもなく自分の身体が熱くなっていることに気づき、身体を見てみる。

するとハッキリと目に見える程の魔力が身体から上っていた。


「これは・・・」

ローヤルは誰に言うでもなくひとり呟いた。

僕がローヤルを見るとあの時と同じ顔をしていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


コメントやブックマークをしていただけると嬉しいです。


何卒、宜しくお願いします!

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