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誕生日を祝う少女

 明日は貴方の誕生日。一緒に祝う約束をしてくれた。


 でも明日は土曜日だから今日が誕生日会。


 カラオケに行って、皆で買った安いケーキをプラスチックフォークで雑に食べる。


 プレゼントは背伸びした高価なもの。


 化粧水、下地、ファンデーション。香水、ヘアオイル、美容液。


 みんなアルバイトで稼いだお金で買った高級品。

 私も頑張って買ったリップを渡す。


 どれも均一に喜んで、彼女は泣いて喜んで見せる。


 上手な人だ。


 彼女は歌もうまい。


 カラオケに行くときはいつも彼女を呼ぶから、私もお情けで呼ばれる。


 連絡先は知らない。けど、仲間に入れてくれる。うわべの優しさが愛しい人たち。


 空気を読んで静かに密かに笑う。一度だけ彼女が私を見てすぐ一番綺麗な子と話し始めた。


 その子はだめだよ。パパ活してるんだから。


 言葉をミルクティーと一緒に呑み込んで雰囲気に合わせる。


 隣の子が私を追いやるから、半分空気椅子でつらい。


 だけど出てはいけない。彼女の微笑みを無駄にしたくない。


 トイレに行けばもう戻れないから、一生懸命我慢する。


 下手くそな歌を歌った子が綺麗な髪を自慢するように下ろして、それを彼女は褒めて伸ばす。


 その子もだめだよ。先輩と悪いことしてるんだもん。


 ここにいる人はみんな何かに片足をつけている。


 汚泥、ゴミ山、棺桶。でもどれも美しさの土台にはなる。


 彼女はそれを知らないふりする。健全で清純なふりをする。


 私は純然たる健全の中にいて、美しさには見向きもされない。


 それでいいの。彼女を引き留めることができるならそれが一番だから。


 私だけの地獄が終わる。


 次のステージには呼ばれない。私だけが帰るまでみんな喋らない。


 先に帰るねと言うと、キャンディみたいな声を出す舞台装置たち。


 この子達は貴女を引きずり込みたいの。気づいているでしょう?


 遠くでずっとこちらを見ている先輩たちの目が気になる。


 そっと彼女を見ると、まんざらでもなさそう。


 何が幸福か考える。


 私は美しさはなくていいと思う。貴女はずっと綺麗だから。


 だけど貴女は、手にしたいのだろう。


 手にしたことのない、刺激を。破綻を。


 それが分からない貴女じゃない。それを信じてる。


 貴女が貴女のまま、美しくあれますように。


 来年の誕生日に、どうかまた誘われますように。


 その時は、どうか2人きりでお祝いができますように。


 去年のように、貴女が私の隣にいてくれますように。


 私だけの隣にいてくれますように。


 その答えは、明日分かる。

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