表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
soul warriors〜魂の戦士〜  作者: 霜月轟轟(しもつき ごうごう)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/6

round 3

ロゼッタの門を抜け、人目のない森へと深く入り込む。 俺はメニュー画面から、公式リストには載っていない秘匿されたマップデータを呼び出した。


製作者名は『sala』。現実世界での友人、塩谷のテスターネームだ。 あいつは戦闘のセンスは壊滅的だが、ミニチュア制作の腕だけは超一流だった。現実世界で彼が数ヶ月かけて作り上げた「ドラゴンの巣窟」のミニチュア。基本的に、ミニチュアの特徴をAIが判断し、設定が「一般地帯」になっているところに、自動的にモンスターをスポーンさせる。そしてこのマップを、AIはドラゴンの住処と判断したみたいで、ドラゴン関連のモンスター以外がスポーンしない。この独自マップを、俺たちは秘密のレベリングスポットとして共有している。


「……アクセス。プライベートフィールド『飛竜の断崖』」


視界が歪み、一瞬で景色が切り替わる。 目の前に広がったのは、公式マップではありえないほど切り立った、赤茶けた岩山の断崖絶壁だった。そしてその岩棚のあちこちに、無数のチャイルドドラゴンがひしめき合っている。


「キュアアアアアッ!」


俺の侵入を察知し、数十体のドラゴンが一斉に鳴き声を上げた。 本来なら、大会クラスのパーティでも全滅しかねない光景だ。だが、俺は背中のフレイムショットガンを抜き放ち、リロードの音を響かせる。


「一時間で終わらせる。……悪いな、お前たち」


俺は断崖の縁から、迷わず身を投げた。 自由落下。 他のプレイヤーが見れば自殺志願者にしか見えないだろう。だが、地面に激突する直前、俺は☆5レギンスの機能を起動させた。


「――『ネイル』、固定アタッチ


ガリリッ! と火花を散らしながら、ブーツの踵から突き出たドラゴンの爪が垂直の岩壁に深く突き刺さる。落下のエネルギーを衝撃へと変換し、俺は壁面を力強く蹴り上げた。


そのまま、ヒュージファイヤードラゴン製の鎧から「翼」が展開される。 「飛行」は銃の的になるから弱い。それがこの世界の常識だ。 だが、それは『魂』の操作が甘い奴らの言い訳に過ぎない。


俺は空中で不自然なほど急激な方向転換バーストを繰り返した。 ショットガンの銃身を後ろへ向け、反動を利用して加速する。


「……今の俺は、あっちの俺じゃない!」


意識をアバターの深層へと沈める。 俺がこのドラゴン装備を使い続ける理由。それは、この鎧が持つ『ヒュージファイヤードラゴン』と俺の魂が、最も同調しやすいからだ。


「ハァッ!」


加速の勢いのまま、抜き放ったイグニスソードを横一文字に振るう。 二十パーセントの確率で発生するはずの炎の球が、俺の意志に応えるように、一振りのたびに三連発で射出された。


爆炎が断崖で荒れ狂う。 飛行による三次元移動と、ショットガンの反動加速。そして、確率を支配したかのような精密な剣撃。 一対多数の乱戦が、一歩的な「作業」へと変わっていく。


地面に降り立つことなく、空中で次々とドラゴンを屠っていくその姿は、まさに『魂の戦士』そのものだった。


ポリゴンとなって消えていくドラゴンの残骸から、光るアイテムが舞い落ちる。 【チャイルドドラゴンの羽】 【チャイルドドラゴンの羽】 【チャイルドドラゴンの羽】……。


「……四百八十、四百九十……あと十枚か」


汗一つかかず、俺は虚空を見つめた。 この力の片鱗を見せれば、公式大会の一位だって容易かっただろう。だが、俺にとっての勝利は、彼女に再会することだけだ。それにーこの戦法を、もっと上手くこなしている人も数少ないが存在する。


「……待ってろ。明日、あの姉妹を驚かせてやる」


俺は最後に残った一団へ向けて、フレイムショットガンのチャージを開始した。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ