表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本の定理・上巻  作者: 泉川復跡
【『樹海の近道』編】第十二章。希望の写真集
34/43

12.1. 「あの惑星になら先生達は本当の神様でいるのです」

 挿絵(By みてみん)

「お待たせしました」、城木先生が居間に戻った、瀬戸物のやかんや茶碗を乗せた盆を持って来ながら。「あらっ、私の本棚に触れましたね、勝手に。しかも私達誰でも身に付けないといけない本」

「この歴史のものを読んだなら、先生達の作業が理解出来ますから。これを借りても宜しいでしょうか?」

「んー、あの辞書を与えたのに、またそれかね。どうせもう読み切ったし、それで良いでしょうね、私達の秘密を守る限り」

「あっ、君も辞書を読んだから、ラッシュナトゥール人のお家の初訪問の際、先生達の言語を話してみたら?」、降恆ちゃんの求めが私をちょっとびっくりさせて読書を止めるほどだった。

「おい、降恆ちゃん、急に超難問をあげるなんて。まだ糊土語のアルファベットを学び切れないのに。70文字もでしょ」

「糊土語を学ぶたった一人だと思う、君が?僕も一緒にあの辞書を一晩中読み掛けたのじゃ。しかも変な文字を書いたり、文字の変な活用法で単純な文を作ったりしてみたでしょ」と反駁した降恆ちゃん。糊土語は丸ごと口を動かす『あ、い、う、え、お』という五つの母音をもとに文字表を完成させて日本語になんと似ているかもしれないが、独りで立つ場合は問題じゃないが、母音と子音とか、互いの子音が立ち膠着する場合は文字を横に回転し、貼り付け、点々を付け加えるという法則が出ることもあったよ。

「私も楽しみにしてるんだよ、渡邊君と山口君の糊土語の初披露」、松澤先生も声を掛けていた、おやつの派手なお菓子を乗せる三段の押し車を居間に運びながら。

「松澤先生もたまに、城木先生に用事を手伝っとるさかいやん」と言った智埼ちゃん。

「そうですね。どうせ私達の遥か遠い孫だからさ、自分達のお爺ちゃんとお婆ちゃんに手伝えて良かったでしょう。日本の諺がそう言いましたね、『年寄りは家の宝』という」と応えた城木先生。

「だったらアルべランド先生を『仙人』と呼んだ方が良いのにね。あの時代からずっと生きてて数億歳だし、死にもないし、空間と時間をも支配出来るし、『仙人』と呼べばまだ控え目だろ」

「宇津君、控え目とか過言とかを言っても無駄でしょう。今私はもう契約が締め切るまで生き続ける爺でしかいません。『仙人様』とか『神様』とか『創造神様』の美辞は、私達の暇潰しから出来たあの惑星の皆達に呼んで頂くべきだからです」と言った城木先生、学園の丁寧さに代わってお家の親しさで松澤先生の名を呼んで。

「あの惑星になら先生達は本当の神様でいるのです。今夜の訪問の主題にしてはあの惑星の話が素敵ですよ」

「それじゃあ、渡邊さんと山口さんは私達の言語を話すことが出来ればあの惑星のことを語ってあげます」、城木先生がそういう条件を私達に送った。「先の数日はずっと異言語を話しやがってるし、とにかくも自分の言語を使いたいなと思ってます」

 私がまた文句を言いながら城木先生の要件を認めた。「ラッシュナトゥール人の世界に入っちまったから、どうせ。郷に入っては郷に従う。えーと」、これから私が降恆ちゃんと一緒に外国語の実力を披露することになった。ただその外国語は英語やドイツ語などのホモ・サピエンスの言語じゃないし、言葉を話す時ほぼ首の筋を引き上げるように、噛まないように、それぞれの字を引き出していっていた。「Grandacht(グランダハッツ) zweyn(ズヴァイン) Ugedn(ウゲデン)!《夜に貴方へご挨拶を》Schaeim(シュカエイム) nur(ヌア) Flemer(フレメア) Watanabe(ワタナベ) Masami(マサミ) unde(ウンデ) obstahen(オブスタヘン). Fraszen(フラッゼン) zeir(ゼイア) schaeim(シュカエイム) nur (ヌア)Gosbehn(ゴスベヘン), Yamaguchi(ヤマグチ) Furitsune(フリツネ) hette(ヘッテ) obstahen(オブスタヘン).《私は渡邊雅美と申します。こちらは私の友達、山口降恆ちゃんでございます》」

 澁薙君がその自己紹介を聞いたらなんと驚いた。「わっ、ほぼドイツ語みたい。『シュ』とか『ヘ』って喉の音が紛れもないんだ」

「だからドイツ語を勉強した人なら糊土語に対してより早く慣れてんだ」と降恆ちゃんが返事してから糊土語をも披露したよ。「えーと、Scha(シュカ) Attogren(アットグレン)-ser(セア)-Haschen(ハッシェン) ner(ネア) verte(ヴェテ) dem(デム) Chelert(シェレート) unde(ウンデ) beharten(ベハーテン). Netta(ネッタ) Haschen(ハッシェン) Quose(コーセ) zweurhen(ズヴアヘン) Horscht(ホーシュ), scha(シュカ) klembe(クレンベ)-sen(セン)-dohn(ドーン) Thiquohem(ティコーヘム) unde(ウンデ) surhen(スアヘン) Manogena(マノゲニャ). Zwecher(ズヴェッシェア)-Obstagena(オブスタゲニャ) sur(スル) Sequeromer(セケーロメア) ner(ネア) Latoder(リャトデア) sehte(シヘテ) cahen(チャヘン). 《私は『花火團』のメンバの一人です。この団体に入る前に、とても多い困難を乗り越えました。そう出来たのは皆どものお陰なのです》」

「わー、なんかドイツ語らしさが何処かで聞こえたとしても、二人共が上手く出来ましたよ、私達の言語が。拍手喝采に値します」、城木先生が感想してから拍手し、皆を一斉拍手させてきた。

「あのね、やはりドイツの厳粛な文化を披露してきました。だったらあの言語を発明した人達の文明もなんとドイツ帝国とローマ帝国に似てたかもしれません」と意見をした笠人君。

「最初から『ラッシュナトゥール人のラテン語』だと称えて貰った訳です。ノリツチ語は弾眼球人の文明を発達させる言語だったし、彼らの負けず嫌いと異常な熱血を随分暴いてあげることに相応しかったんです。弾眼球人の古代文明は開墾の旅立ちに由来して、険しい地形と恐ろしい野獣に抵抗出来るように自身で鋼の規律と、試練にしぶとくなる本領をみっちり鍛えたという、あの基礎の上に築かれました。ただあの基礎が固まるように、集団の力が強いべき。団結は力なり、という方針を重んじて、糊土語もそれから生まれたんです」

「なるほどね。ところで先生、弾眼球人の起源は何処かを示してくれますか?」と私が質問した。城木先生が後ろの本棚にフィストグリム大陸を描く世界地図を探しに行った。ちなみに、松澤先生がこのオーバルの卓に澁嶺製のお菓子と、被根橋製のお茶の真空袋を配置した。星の形、ドーナッツのような車輪の形、スコーンのような形のスポンジケーキ、バニラとチョコレートの小さい立方体を粒々に付けたビスケット、そしてマシュマロと焼き餅を組み合わせたようなフルーツスープ。松澤先生が真空袋を開いた。真空袋が空気を直ぐに受け膨れ直し、中の茶葉の驚くべき香りを放ってきた。その香りが茉莉花か鉄砲百合かよりも強く、外の庭にも拡散出来るかもしれないが、頭を痛み出すほどないのでまだ爽やかに嗅げたもんだ。

 智埼ちゃんが質問した。「先生、この茶葉は何種類ですか?」

 松澤先生が答えた。「これは茶葉じゃなく、『Blomkerg(ボロンケルグ)』という木の葉だ。和名は『梅参(うめまいり)』。この種類は元々湿気の高い森林の奥に存在して自らの魅惑的な香りで野獣を追い払ったり迷い込みに誘惑したりしたし、部族に狩猟の為のものと、生贄祭りに神様と繋がるようなものとして使われてた。燃やす時の煙の匂いは梅の香りを拡散するという訳で、そういう名を付けられたんだ」

「『Blomkerg』は実際に部族の方言から語呂合わせをしたんです」、城木先生が世界地図を持って来ながらそう言った。「部族の方言では『Bodorom(ボドロム) melecke(メレッケ) Raghissa(ラギッサ)』と呼ばれて、『Raghissa』が天国の使者を示すうち、『天国の使者へ捧げるお土産』という意味でした。被根橋の産業革命時代の冒険者達がこの西方の窯籠の森に隠れ住む部族と出会って、木の葉の類を知ってて普及しました。旧名を読みやすくしては略にしたし、言葉遊びを通してこういう名になったんです」、先生が地図に指しながら詳しく説明した。地図により、城木先生の国は四つの半島もが與蘭洋を迎えて海水を入れ少なくとも十の湾を形成した。澁嶺は二番目と三番目の半島にまるで挟まれたようで、六つもの川を大洋に流し、川の肥沃な沖積、與蘭洋からの強い風、北と南の半島の山脈などによってこういう草原及び雨林の地形となった。雨林の高湿度と川の大きい流量によって、ボロンケルグという木がよく多く成長出来たの。

「では、ボロンケルグのお茶を味わっていこうか、皆さん?」と誘った松澤先生。乾燥済みの茶色の葉の束をやかんにまず入れ、アルミニウムの水筒からお湯をゆっくり入れた。私達六人がソファに、城木先生と松澤先生が二つの背もたれ椅子に座りながら、数十秒で葉がお湯に合わせお茶になるのを待っていた。やがて、城木先生が八個のカップを上に向け、ゆっくりお茶の水を等しいように汲んだ。キャラメルの色が光って見せたし、梅の花の香りも上がってきた。

「んー、甘くて酸っぱくて円やか」と私が一啜りの後で感想した。「様々なお茶を飲んだとしても、これ初めて味わいましたよ」

「お茶の経験者として、もっと詳しく感想して貰うか?」

「はい、松澤先生のご用件通り。私の飲んだ世界のお茶を比較しときます。日本の煎茶と抹茶は苦味が一番際立つけど飲む後に喉に甘さが残ってお湯の暑さで心を平穏に保ちやすくするという。中國と臺灣の烏龍茶は曖昧な甘味と野山の新鮮さ。インドのチャイは牛乳の脂気と、色々な調味料の合わせてお茶に限らない味が披露するという。イギリスに輸入する紅茶は牛乳を入れない場合優しい甘味があった一方、牛乳かレモンとか橙の一切れかを入れる場合インドのチャイとジュースの合わせたみたいな味があったのです。反面、被根橋のボロンケルグ茶は甘酸っぱさが目立ちました。まるでキャラメル化した砂糖と、まだ実らない橙が結合したみたいな感じです。多分高湿度と高温度が同時にこの地にあったその為です」

「さすがお茶のグルメですね」と驚いて感嘆した城木先生。「だからボロンケルグ茶は被根橋の名物だけでなく誇りのもんでした。被根橋は熱帯の国だし、四半島に当たる四大山脈で『挟み地形』というものを形作ったし、温度と湿度が同時に高くなったという異様な天気が、二つの山脈に挟まれた平野に発生してました。その為、木が随分な光合成と随分な水蒸気の量を受け取って、グルコースもクエン酸も作成したんです」

 智埼ちゃんが言った。「そっか。日光が強いに伴って光合成が色んな糖質を作成し、その反面水蒸気が濃いに連れて酸化還元反応も強くなって糖質以外に有機酸も作成したということですね」

 澁薙君も智埼ちゃんの言葉に賛成した。「僕もそう思った。植物には光合成の後、糖質のものがまたの道を通らないと。その道で彼奴らが酸性のものまで分解され、植物に呼吸の為のエネルギーを供給するという仕組みだ。こういう知識は城木先生の本棚のこの生物学の本が言ったんだ」

「あらっ、渡邊さんだけじゃなく越川さんもね、私の本棚を気になるなんて。越川さんの読んでるのは被根橋の普通教育の生物学教科書の一類ですよ。『植物学中級』の類という。このお茶はもう弾眼球人達が大切なものにして、私達との友好の関係を結びました。煙髪人は與蘭洋に向かう『Datoria(ダトリア)』いわゆる『達戸(だると)』という繁栄な小陸に住む一方、弾眼球人は私達の逆向きで西壁洋に向かう『Hilabria(ヒラブリア)』いわゆる『火羅(ひら)』という困難な小陸に住むことで、ボロンケルグは彼らの異常な体温を制御したし、大変な天気と困難な事情に対応する為に落ち着かせたし、彼らの皮膚を綺麗にしたんですよ」

 笠人君もところでおやつを食べ試して感想した。「んー、このスポンジケーキは甘いだと思ったけど少しの塩っぱさと練乳のクリームの脂気を感じて、素晴らしいですよ。練乳のクリームが見えなくても、このジャムが代理にやってきました」

 私達が笠人君の感想を気にしてそのおやつを食べてみた。やはり笠人君に同意したわね。ところで城木先生が説明した。「貴方達も知ってますね、甘酸っぱい飲み物に調和するように、塩のある食べ物が必要だという。特には夜のお茶会。夜には砂糖と酸を制限的に吸収すること。だから貴方達をもてなしたのは『Cronnert(コロネート)』スポンジケーキ、『Heptome(ヘプトメ)』車輪型ケーキと『Sheeler(シェーレル)』パフペイストリーといった、塩と砂糖が紛れ込むお菓子なんです」

 降恆ちゃんがシェーレルの一個を取って一口を食べ、お茶を啜ってから、城木先生の言う通りに爽やかさを感じていた。「あのね、先生の家は19世紀らしい。絶滅前、先生達の文明は確かに想定外に先進だったとは言え、この家は逆に古典的に。やっぱ古典的さの方が良い選びでしたね」

「うん。先進なのは全てを先進にする訳ではないでしょう。先進過ぎて全てが電気で活動するといえば、爽快じゃなくて窮屈になってしまいますよ。だからこの荒野な空間に優しいのは空間がいつも開いて温かくも冷たくも懐かしくも感じられる居場所です、と私達全員が結論しました。古典的さはずっと一番素晴らしい」

「先生の家はコンクリート製と木製の折衷ですね。木製だけとか、コンクリート製だけの家もありますか?」と純彦君が質問した。

「勿論です。本人の審美次第で、コンクリート製とか木製とか、鉄製も砂製も自分の家を建てても構わないんです」、城木先生が答え『鉄製』と『砂製』を言った時に、私達が一斉「そんな家でもあるのか?」という同じ驚きを出した。「嘘じゃありませんよ。千年歳の大樹にそっくりな家をも持ってる私の同僚がいますから。ただ異様な家の主である彼らに会いたいなら彼らのパズルピースをちゃんと見付け出しなさいね」

「彼らのパズルピースを見付けるまで堪らないんですよ。先生も彼らとの写真を持ってるから見せてくれます?」

「ひひっ、ただの冗談です、絲島さん」と城木先生が言ったら、本棚の二階目に置いてある黒い帳簿を引き出した。その帳簿を通して先生が、他国の同僚と一緒に彼らの誰とも被らない自宅を後ろに撮った写真集を見せていた。彼の言う通り、砂城のような家があったし、砂時計のような家もあったし、一体なもんじゃなく機能によって別々に分ける家もあったし、根も幹も枝も本物にそっくりで樹木のような家もあったよ。やはりね、それぞれの写真に登場したのは、先生の横に立った『地主達』が科学者の格好を付ける白衣じゃなく普通の私服を着て自然さを齎したよ。

「皆も笑顔に」と感想した智埼ちゃん。「まさかに先生と一緒に写り込んどるのは煙髪とか弾眼球とか真珠脊に限らへんそうやし。背が異常に高い人、肌が茶色と赤に混ざったみたいな人、しかもトカゲの尻尾のような背中のものを残した人もいるのです」

「うん。ラッシュナトゥールは八つの種族もを含むのでそういう多様性が見えるんです」

「てことは、その八つの種族は形質、特性、文化、国家の共同体をてれこに形作っとりましたね」と言い続けた智埼ちゃん。

「そう。私達の時は八つの種族に当たる八つの小陸がフィストグリムを分けました。あの三つの種族以外に、もう五つの種族が存在してました。あれは長首(ながくび)砂州尾(さすび)地冠(じかぶり)龍人(たつと)、そして木翼(きつばさ)と言います」、城木先生が言って残りの種族の名前を日本語で呼んだり、ラッシュナトゥール人の八種族の原名と和名を書き出したりしていた。『Halbach(ハルバッチ)』は煙髪。『Bordstang(ボーステング)』は弾眼球。『Vlantebrif(ヴランテブライフ)』は真珠脊。『Thorpsom(トープゾーム)』は長首。『Chag(チャッグ)grottani(ロッタニ)』は砂州尾。『Quotomarac(コートマガック)』は地冠。『Dahastrei(ダファスチェイ)』は龍人。『Mogisap(モギザップ)』は木翼。

「やばっ。それぞれの名前は彼らを再現してそうです」

「そうですね、渡邊さんの感想通り。ハルバッチを日本語の語呂合わせにすると、『灰抜(はいばつ)』などに似てて読めるんですね。『灰を抜く』というのは『煙を排出すること』に似てるのではないかと。私達の種族にとって、髪から煙を出すのは『灰』と比喩される体内の毒素を抜き外すと同時だからです」

「長首人の原名、トープゾームは長音を付けて読む時に口が縦の方に伸びます。よって皆はあの種族にとって『高い』とか『長い』と同じ考えとくと思ってます」と言った澁薙君。「ただ先生の写真集に見たと、あの長首人の科学者は多分進化によってもう自分の首が長くなかったし、かえって自分の背を異常に伸ばしたんだってね」

「そういうこと。長首人の平均身長は2.5mぐらいなので、私達なら彼らの胸にしか届かなかったです」

「確かに一番高い種族でしたね」と言った松澤先生。「優雅な種族、真珠脊人さえも多くとも彼らの肩まで高かったでしょう」

「優雅だと言わないでよ。『一番権力的だ』と言った方が良い。パズルピースの企画を最初から思い付いたのは彼奴らでしょう」

「思った通り」と返事をした私。「あの『御蔵山』という国は真珠脊人の国で、あの時の一番強い国でしたね。恐らく自分の凄い権力で全世界を支配してたし、当時の文明を絶滅から守り抜く為のあの企画を考えたら誰でも反対しませんでしたから」

「うん。世界が滅びるまでも御蔵山は世界の第一のままでした。貴方達が私達の存在を知る為、あの国は世界を制覇し続けないと。すると、真珠脊人の学者はどんな風にうちの文明を絶滅後にも遺産として維持し続けて次の文明に知って受け継いで貰えるのだろうか、小さいパズルピースを通じると提案しました。勿論、他の種族の学者の異議がありました。『パズルピースだけで大丈夫なのか?』、『現時の文明に親しい物で二つの文明を繋げるか?』という」

「あれらの異議はパズルピースの仕組みを作りましたね、結局。全ての否定が重ね合ったが最後の完成になること。全ての欠片っぽい物が合併されたら一つになること」

 松澤先生が言った。「確か、『パズルピース主義』に従ったのは真珠脊人の経験した色んな戦争の為でしたね。私の読んだことによると、彼らの至上主義のせいで、肌が暗い地冠人や、爬虫類の部分を抜けない砂州尾人を特に差別したり、同じ至上主義を持った木翼人や長首人と戦争を引き起こしたりして、その末もう少しで地球を滅茶苦茶にしてしまった。目覚めた時、彼らが見た地球は散り散りになったパズルピースの集まりで、やっていくのは組み立て直すことになりました。全てを自分勝手の主張に同化せず、元に戻すこと」

「城木先生の種族は地球を破壊したところだったことあるんですね」と言った笠人君、少し心配して。「てことは、私達人間もいつか自分の家を滅茶苦茶にすることが来てしまうのかね。但し、地球の破壊は私達がまだ思い浮かべてません」

「んー、君が世界で起こった全ての天災を考えて、あれ全部を百倍にしてみたらなんとか想像出来るよ」と言った澁薙君。「僕の夢の一つでは地球が地面の割れから破壊しちゃうのを目撃しちゃって、体をガバッと飛び起きたことありますから」

「えー、なんと残酷な悪夢ですよ、越川さん。あれもう逆夢だとして欲しい。何故なら私は地球の破壊を見ずにちゃんと感じたことあるので、見てしまえば絶対に美しい夢が見えませんでしたよ」

「本当にね。自分の家の運命を何も出来ずに宇宙に定められたなんて辛かったでしょう。そして私達後の世代はあんなに長い時間の挙句地球に帰ってきたんです」と沈思して言った松澤先生。

「でも私達の最後の企画も成功でしたから。この六人のホモ・サピエンスの子供達が私達の存在を知ってて、今夜にお茶会をやって素敵じゃありませんか」

「先生、パズルピースの企画は最後じゃなかったでしょう。もう最後の最後の企画は貴方達の頭脳を極限まで」

 城木先生がそう聞いてから急に笑い、返事をした。「そっかそっか。私達の出来上がった惑星のことですね。渡邊さんと山口さんさっき糊土語を話したので、私達の最高の建造物を一言で話します」

「待ってました。『どうやって一つの惑星を形成出来たのですか?』と答えて頂きたい」、降恆ちゃんが期待感を抑えなかった。

「フッケリーン歴史家の本によると、惑星を作れるなら凡人を脱ぎ出して神様の役を担ってしまうこと。私達が自分の倦怠感を消す為にやることは物凄い建物なんかじゃなく惑星なので、五つの標準、いわゆる『五あり』を満たさないといけませんでした。軌道あり、重力あり、気圏あり、環境あり、そして文明発達可能あり。あの『五あり』を満たすには建物の数ヶ月掛かりに対して、数億年掛かりでした。そえで死に得ない力があの建造物を作りに役立てたんです」

「人工惑星は一つの文明が出来て絶対通り越せない最高の建造物です。地球の顔が立派に変化した十分な期間でも、先生達が惑星を作り続けてもう神様になってしまったでしょう」と言った純彦君。

「『限界を超えて最後まで恐ろしく固執していくらでも完成させないと』っては城木先生の『パズルピース製作者團』があの頃頭に刻んでましたね」と言った松澤先生。「あの惑星が完成した時どれほど幸せになったのか、先生も誇らしい声で語ってましたから」

「うん。パズルピースを作り終わった時よりも幸せでしたね。『後の文明さえも私達の傑作を複製なんか出来ないぜ』と全然思わず、『小さいパズルピースから、言葉でしか伝わない知識から、神様だけが出来る物が出来るなんて信じ得ない』と思ってました」

「ほんで、あないに数億年経って神様の建造物が出来る為、先生達の獲得したエネルギーは何処にあるかも分からへんわ」

「そうですね。普通に考えると、死に得ない人にとって数億年も掛かってたった一つの企画を完成させたなんて無理矢理そうで死ぬほど詰まらないことが考えられます。あれは私達が七年間遅延してた理由です。そして地球の絶滅が降り掛かった時、『国際的緊急会議』を行いました。それぞれのメンバーが自分のパズルピースだけでなく仲間のものに基づいて惑星の細かさと地球らしさを上げる、逆もまた然りと討論してたんです。そうすれば、それぞれのメンバーでも惑星の発展をしっかりと監視して、事件が出た場合、互いにやり直して解決出来るんです」

「あれは地方分権という仕組みですよね」と言ったが確かめたかった笠人君。「全体の系統を支配する一人でもいなく、本系統に参加する誰もが支配したり監視したり出来るのは地方分権」

「その通り。料理人として、松兼さんは自分の組を一部始終管理するなんて大変でしょう。各人が自分の課題だけでなく仲間の課題に責任を取ったら必ず仕事の効果が上昇します。ただ代償は課題の量が非常に高まることだし、退屈とか倦怠感も消えてしまいます」

「パズルピースが強く繋がるのは、地方分権が原因」と私が言って先生がよく頷いた。「地球の双子の惑星なら、まず最も深い地層から始めましたね」

「んー、皆も常識的にそう考えましたね。何を建てるならまず基礎を建てておこうという。然し、私達がまず、逆にあの惑星に球体の型を、地球と共に行く軌道を、生物が必ずいるように大気圏を作っておきました」、城木先生がそう答えて私達が自分の口を閉じられなかった。「惑星なので、建物として認めないで下さい」

「あっ、そうですね。私の悪い。然し、地球と並行して太陽を廻るあの惑星は本当に宇宙にあれば、どうして私達が感じたり見たり全然しないのですか?」

「あの惑星が実の世界にあれば、必ず君達を、太陽系を滅茶苦茶にしてしまうんだ」と答えた松澤先生。「その為、城木先生がこの空間であの惑星を置くしかなかった」

 城木先生も答える出番を取った。「君がそう言ったらまだ曖昧です。この空間は本質的に空想なものなので、地球の双子みたいに本物の惑星を作るにはまずパズルピースを更新することでした。すると、この空間が実際になって、まるで本物の地球上に立って双子の惑星を支配出来るみたいでした」

「先生、あの惑星の過程を詳しく教えますか?」と私が求めた。

 「勿論です。あの惑星を最初に幻の物にしていけば良いと決めました。幻なので重力のない巨大な球体。次に幻の状態から模型に変えてあの奴に原始の外見を追加。そして、惑星にするように、空気を凝縮して大気圏を、土壌を埋め重ねて地形を、塩水と淡水を流して海と川を、人工太陽と電磁場を活性化して季節と天気を形作りました。すると、ここの重力とあの奴の重力が等しくしたが、衝突しないように『副助重力』を追加して、あの奴の軌道を守ったり二つの場所が安全に環境を発展したり出来るようになりました」

「考えただけで頭がもやもやしそう。意味が分かりにくいです」と私が感想した。本当にあんなに圧倒的な情報と知識を受けたなんて無理になったかも。

「当たり前でしょう、明治時代の中学生にとっては。私達の惑星は殆どの知識の集合なので、これからも気軽に一つ一つ理解するようにして下さいね。長い旅をする将来に期待してよ」

 降恆ちゃんがもう一度質問した。「ところで、あの惑星は何と呼ばれるのですか?しかも夜なのであの惑星が見られますか?」

「私達の作った惑星の名は『Uldront(ウルドロント)』と申します。この名は木翼人の神話に登場する知恵の神、『Odorotte(オドロッテ)』から語呂合わせしました。自分の翼が悪魔に奪い取られ飛ぶ力を失ってしまったが、空に駆け上がる望みがずっと消えてない為、翼がなくても飛べる方法を何十年も見付け出そうとした少年の神話に基づきました」

「面白そうですね、先生。ところが、ウルドロントを見るにはどのようですか?またパズルピースに依頼しますかね」

「パズルピースはウルドロントを建設したから、ウルドロントを空に映すのは機能です。だがこの空間でも実の世界でもあの惑星が見えるから、後にしましょうか?倉崎沙也香さんに見せてみれば意味が満ちていきます」と城木先生が答え、私が一旦と動かなくなった。

「倉崎さんのことですね」と私が返事をした。「倉崎さんは本当に奥深い森で隠れる人間だと思ってます。彼女の幸せな笑顔、優雅な美しさ、一生懸命の熱心は最早正体を完璧に被ってたのです。確かに倉崎さんは何か恐ろしく悲しく辛いものを必死に抑え隠して平気な仮面を被ってたようです。だから私が再び会いたいと思ってます。私のまだ躊躇してた『特別眼鏡を作る企画』は彼女を見付け出せます」

「確か、退院の二日前、厚喜君が渡邊君に一枚の申し越しを残したね。君には彼の家に訪れて欲しいと書いてんだ。万が一倉崎さんの行方が分かればあの企画が出来るよ」と言った松澤先生。

「だったら松澤先生をもっと疑います。厚喜先輩に携帯をあげたなんて危機が高過ぎる賭けだったの」と返した私。

「そうやらなければ倉崎さんの行方を探す時間を縮まなかったからだよ。夏祭り以来、君と倉崎さんの間には絆があったんだ」

 城木先生も賛成した。「そうよ、あの一週間、貴方達二人の女子はずっと離れずにいました。というより、倉崎さんはわざと渡邊さんにずっと付き添ってました。過激派の間諜を出演したかどうかも構わず、彼女が貴方にはっきりな信号を送ったという訳でしょう」

 私が返事をした。「あの別れの抱き締めから分かってますよ。強過ぎました、あの抱き締めは。今度の企画はどうか倉崎さんのことを明らかにして、城木先生の二枚目のパズルピースを見付けたら良い」

「私がずっとお楽しみに。今度も新たな挑戦を貴方達に送って見つけて貰います。大体、倉崎さんはこの時代の典型的な運命の一つでいますから」と城木先生が言ってお茶会を終了した、まもなく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ