10.2. 「私達の種族の学名を求めて貰う」
「前に言った通り『花火團』の皆は揃ってきましたね。では、絲島さんはこの五人の代理で最も抱えてる質問をお願いします」
純彦君が言った。「分かりましたよ。この手帳には皆も後期になってる二つの質問があるんです。まずは、城木先生が生きてた時代はどの時代ですか?次は、松澤先生が継承した遺伝子を持つという城木先生の本種族はどれで、どう呼ばれるんですか?という質問です。城木先生の種族が人間前に生きてたのは勿論、昔の不思議な動物と一緒に生きてたかどうか、もっと知りたがったんです」
「はい、承知しております。ある生物は進化を遂げて知能が高まったら自分の存在を面白い葛藤にするものです。但し、そういうことが出来る生物は貴方達人間と私達でしかいません。貴方達が目の前で私達を見てたらきっと、前からこういう葛藤を抱えてるんです。『地球の歴史で本当に、私達人類は進化が成功出来たたった一つの生物であろうか?』それとも、『人類前に進化も成功出来たある生物もいたという妄想な概念が人類達の自慢を潰すでしょうか?』という」
「私達の自慢を潰さなくても、『この世間は本当に無常だな』という滅茶苦茶新しい世界観を送ったのです、その妄想な概念は」と言った降恆ちゃん。『無常』に取り憑かれたようだね、本当に。
「幾つかの人間は私達のそろそろ言ってく事実を聞いたら必ず自慢を潰されるよ」と警報っぽく言った松澤先生。「もう新しい知識を皆に教えてあげる。地球を生物と見たら、このでかい生物は46億歳になったよ。どうやって地球の年齢を測れるかを問い掛けたら、アルべランドさんの地質調査技術のお陰だ。地層を深く調査するに連れては地球の年齢が確実に測れるんだ」
「てことは、彼らが地面をかち割って地球の一番深い地層に届いたドリルみたいな設備を持ってたんですね」と言った澁薙君。
「そう。数千kmで深い地球の核心に辿り着けるには種族の一生に値する作業なんだ。研究員と作業員が入れるドリルの形の車を作るのは勿論、地層を掘り下げる途中で、地球の規模の地震に至らないように、ドリルの揺動を周りの地に妨げる為の抑制性の電磁波を発する機能を追加したんだ。地球に帰るなら自分の種族の歴史の本を読んでおかないといけない訳」
「ちょっと調子に乗ってるんですよ、松澤先生。私達のそういう調査機は思い付きを練って草案を書き直す数百年を経った上で、正直に築き上げたんです。命を守って地面に戻った私達が、測ったのは44億年でした。あの歴史的な数が世界に伝わった少し後では、私達の文明の絶滅を警報し始めたんですよ」
純彦君が急に驚く言葉を言った。「えっ、まさか城木先生の種族は二億年前、地球で生きてたのですか?」
「自分の質問を自分で答えてしまいましたよ、絲島さん。詳しくは、私達は2億7千4万年から2億5千1百万年にかけて、上手く進化して文明を建ててました。合計2300万年でした」
私達が一斉「凄えー」と感嘆した。
「2300万年を経ったあないな文明がどないやばなったのかも想像出来ひーんやで」と言った智埼ちゃん。
「多分、石油をもう無視して空中で飛べる車を運転するし、宇宙を気軽に旅行するし、海底でも浦島太郎の御伽みたいな保養の旅館をも営業するんだね、あの文明では」と言った笠人君。
「まだまだですよ。しかも月面でも他惑星でも私達の都市が設立されたと言ったら?」と城木先生が言い、私達が呆れる以上もしなかった。「人口が過剰に増えて地球の生態系を危険に晒す折に、月と近所の惑星に新しい生活を展開する企画を始めました。2300万年を経つなら人口がどうなったのかも分かりましたでしょう」
「どうやって遥か遠くのあんな場所で生きられたんですか?月とか金星とか火星も大気圏に覆われませんし、環境も生存が無理なほど厳しいし」と質問した澁薙君。
「んー、酸素を作って他惑星の生活をすると言ったら正気じゃないと認められてしまうんですけど、本当にそうしてました、極めて複雑な化学の段取りを通して。明治日本にも天文学に三昧な人がいたなんて凄いでしょう」
「此奴の豪邸では望遠鏡が設置されてますよ、城木先生。だから毎晩自分の部屋から天体を見込みっぱなしなんです」
「あらっ、スミちゃんが僕を真似ちゃったじゃん。この男は自分の裕福な館で何でも出来てるのです。宇宙を見上げること、動物を飼育すること、庭を面倒すること、馬車を運転することなど」
「確か、十六歳になったとは馬車の運転を許可して頂くので大したことないんですね、越川さん」
「はい。原崎おじさんに教えて貰ったんです、十二歳になってから。あの事変ではなるべく負傷者を病院そして白濱に運べるように救急馬車が一番大事な乗り物なので、僕も手伝いたかったです」
「動物の飼育と訓練の経験を使うなら馬をも自分の発令に従わせるものでしょう。経験といえば、地球の外で旅をする経験によって、他の惑星を観察しに様々な望遠鏡を自分の宇宙船で設置して、どのようにあそこに行けるかを段々考え続けて、あそこで生活が出来るかの難問を答えたんです。その難問が答えられたと、文明の一番大きな問題を解決出来ること」
「地球の大気圏の外の空間に運んで、隣の天体に運んで新生活をするまでにはやはり数百年も掛かったのですね。地球と同じような惑星が見つからないので、隣の惑星で地球の生活を立てるのは確かにそういう期間を過ごしてしょうがありません」
「その通りです、渡邊さん。酸素を作ったら生物の呼吸と代謝を助けるんですが、他の物質を見下すのも私達への死刑判決を言い渡すようですから、酸素以外に窒素、水素そして炭素を製作しました」
「つまり、有機化合物を作るちゅうこっとすな、城木先生」と声を掛けた智埼ちゃん。「有機化合物があれば生存が保証出来る」
「そう、命の化合物ですから。周期表の他の元素なら、他の惑星の方は地球より様々に発散してるから問題ありません」
「あそこの惑星で見付けた元素が周期表にまだ追加してないこともあるから、万が一予想外の効果を与えたという訳だ」と言った松澤先生。「ただ、その四つの必要な元素を製作した後の気圏と有機化合物の作り方を今直ぐ教えたら複雑過ぎるので、君達と一緒に作業をしてるうちに教えたら悪くないと思ってる」
「賛成です。私達のやり方を把握するには、この病床で私達の理論的な答えを聞くだけでなく実践的に応用すべきなんです」
「分かりました。科学者の勘そのもんですね。スミヒコ君の問題に戻ってきましょう。城木先生の種族はまさに平均2億7千万年前生きてたとすれば、人間の知ってる古生物すらの前に生きてたじゃないかと考えてます」
「パズルピースの測った通りになら、進化を始めてから人間の今までの歴史は三百万年しか経たないんです。アルベランドさんの種族が絶滅してから霊長類が人間になるまで進化を始めた期間は人間の歴史より82倍も長いので、その間に生きて滅びた動物が数え切れないでしょう。その動物で一番有名なのはトカゲ」
澁薙君がトカゲについて何かを思い出した。「トカゲ・・・あー、トカゲの時代でしょうね。大量絶滅の後で生き残った種類は次の時代の地球の主になること。恐らく、爬虫類は変温の特性を利用して、あの頃の地球の網羅的に不安定な環境が回復するまで生き続けてました。森で籠って生きる小さいトカゲから、適応出来た上で、より大きい動物になって、大きい骨と足跡の化石を残したものです」
「もしかして恐竜、恐竜の時代?」
「ビンゴ。矢田部博士のお陰様で、『ダイナソー』と呼ばずに済んだ。世界の一番大きいトカゲは恐竜に相違ない」
松澤先生が言い加えた。「私達の祖先はあの巨大な爬虫類の存在を知った時に極めて喜んで地球に直ぐに帰りたがったけど、自分の避難した惑星で新しい文明を既に立ててしまって残念だったんだ。但し、彼らがそう考えてた。『我々はあの綺麗な青の惑星で生まれて進化して文明を立てて互いにくだらない戦争を起こして平和と復活をやり直してもう2300万年だし、地球の主としての立派な期間だった。それで次の種族に地球を譲るべきで時間の残酷な流れを認めるしかない』という」
「ただ、恐竜は地球の次の主になったけど、貴方達に相当する文明を立てることが出来ませんでした。なので、地球に帰らないというあの決断が合理的なかもしれません」と言った純彦君。
「その通り。当時恐竜がもし文明を築いたらとしても、彼奴らの社会に潜入し兼ねたでしょう。未完全な進化によって異常に長い首と異常に大きい体で生きるなら面倒臭い訳だよ」
「んー、そうだったら、恐竜達はもう恐竜にならず『トカゲ人』になりましたよね。ダーウィンさんの自然選択説によると、身体が異常に大きい個体なら彼奴らの身体に相当する食物量が足りず環境に淘汰され、より小さい個体に多数派になる機会を与えることになるということです。残念ながらあの風景は不在を余儀なくされました」
「なるほど。だから恐竜達は人間が現れる遥か前に絶滅しちゃった訳だろ。環境の進捗に合わせて進化出来ず」と言った澁薙君。「そういうと、城木先生の種族はどうやってあんなに遠い昔から進化出来たのですかを教えて下さい」
「当たり前でしょう、それは貴方達が一番知りたいのでは。2億7千万年前といえば、貴方達が知ってる大陸に分散する遥か前に、地球上にはたった一つの超大陸があったことです。あの超大陸は以後私達に『Fistogrim』と名付けて、いわゆる『一統大陸』と日本語で訳されましたし、三つの大洋に囲まれました。大洋というと、現時の貴方達が『太平洋』『インド洋』『大西洋』と呼ぶ一方で、当時の私達が『西壁洋』『與蘭洋』『紅玉洋』と呼んだんです。勿論、和訳で」と城木先生が言った、昔の超大陸を描き昔の大洋を指名しながら。
「わー、この大陸は北極と南極を繋ぎにしましたね。えと、與蘭洋は東側に・・・えっ、どうして西側には西壁洋を下と紅玉洋を上に記入したのですか?しかも、たった一つの大陸を囲むこの海域を三つの大洋で分けたことも」
「現時の地球ではアメリカ大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸によって三つの大洋がはっきり分けられるんですね。然し、当時の私達は地球を宇宙から見たり隅々まで発見したり出来たとしても、前任者の主観的な名付け方をまだ承認してるんです。西壁洋と紅玉洋は一般的に『西の海』と呼ばれても構わないと思いきや、海流、塩の濃度、海水の温度、海洋生物の分布、独特な自然の現象などの違いによる影響が住民の住む陸地に与えてその『西の海』に全然違う二つの名を付けたことになりました。あの頃、海の塩の量が均等され兼ねたし、地球の大気圏もより厚くなったし、海流もより少なく擾乱して一定の海域の一部分で集まりがちだったし、そういう名付け方になったんです」
「あっ、そうかもしれません。フィストグリム大陸は地球の表側をほぼ覆ってたのです。この図を地球儀と想像したら、北極と南極の地域が裏側まで伸びる可能性が高い為、恐らくこの一般の大洋を三つの海域そのものに分割しちまったと思います」
「随分理解してますね、渡邊さん。より厚くなった大気圏と統一の大陸よって、北極と南極の氷床も現在より薄くなったし、夏或いは乾季の時に大陸の奥地を砂漠化してしまったし、冬或いは雨季の時に大陸の浜辺の地を森林にしてしまったんです。現在の北極と南極は海洋に囲まれて暖流を周りの冷流でより暖かい海洋に押して、永久凍土を守り得ると分かってますでしょう」
「つまり、当時の地球はかなり厳しい環境を持ってたね」と言った降恆ちゃん。「厳しい環境なら一生懸命生存しようと頑張らないといけないということ。生存が上手く行けるように、自分の世界観で物凄い神話を作って自分の恐怖を鎮めるようにする。生存が出来た時、儲けたことを当然のことと思う代わり神の下さったことと思うのです。だから城木先生の種族は立地の代わりに生存の経験をもとにその名を付けたと分かりましたよ」
笠人君が言った。「現在の大洋といえば、西洋人は城木先生の種族の名付け方に少し似てる。大西洋、インド洋、太平洋は原名になるべく近い和訳の用語だし、原名を詳しく考えるべきだと思う。大西洋を例にしよう。洋は『Ocean』だとは勿論、大西洋は『西の大きい海』だと分かったが、『Atlantic』だと国際的に知られたよ。何故なら、ギリシャ神話に登場する巨人アトラスに由来してるんだ。ゼウスの罰の下で天の蒼穹を背負うというアトラスの有名な姿勢は、皆も知ってるだろ。あの有名な罰によって西洋人はヨーロッパの西の大きい海を『アトラスの海』だと認めて『Atlantic』に名付けたよ」
「北アフリカの西岸の山脈もあの神の名に付けられたわね。インド洋といえば、どうして『Indian』で名付けられたのかを考えてみたい。インドは数世紀の最も重要な貿易拠点でした。西洋人の食文化を大きく変えたほど豊富な香辛料、果物と穀物を持つだけでなく、西洋と東洋を結ぶ海道を通る国だし、西洋人の誰でもインドを手に入れたがったのです。インドの航海への重要な役によって、その南の海は『インド洋』にされたも同然」と私が言い加えた。
「インドに到着出来へんかったら、中國やら日本やら東南アジアも行けへんかったやろ。そうなったら太平洋、世界で一番大きい大洋の存在は誰でも知らへんかったんや」と言い加えた智埼ちゃん。「せやけど、アメリカ大陸を発見したお陰で、誰か発見者が敢えてあの大陸を越えてあの無限な海に駆け込んで故郷に帰り得たやろ。あの男はあの海の風が自分の冒険に『順風満帆』にさせると信じとって、あの海を『太平洋』と名付けた訳や。『Pacific』で平和をくれると思いきや、数え切れへん災害を乗り越えて、あの海をそろそろ越える途中で、先住民に可哀想に殺されたわ、あの男は」
「やー、見事に解説してくれましたよ、貴方達。日澤さん、『あの男』と言って発見者を匿名にしないで下さい。私達がよく分かります、彼の方のこと。三人共の解説によって現時の大洋の名の由来が分かりました。本当に、貴方達は私達とあまり違くないからです。貴方達の海の名付け方は私達の割に奥深い意味がないかもしれませんけど、海が大切なものだと思う共通点を確実に持つんです。何故なら、私達と貴方達も海から出身なんです」
私が驚いた、再び。「えっ、私達?城木先生も?初めて聞いたんですよ、これは。『海は命の源』という文はそういう意味でしょう」
「渡邊君さえもこれが初めて聞こえたことの方が驚くべきだよ。どうして地球には海洋と大陸があるかの質問は出鱈目なもんじゃないよ。地球がこういう形になった後に、数十億年経ってたった海にしか覆われなかった。気温が上がりつつあった際、最初の生命の種が海底で生まれた。初めには微生物、更にはクラゲ、イカ、海老、蟹、貝や小魚。水平が下がって安定になってから陸地が生えて広がって、上陸の傾向が幾つかの海洋動物にあったんだ」
私がそう聞きうちのお父様のように頭を叩いた。「あっちゃー、私の知恵はまだ貧しいかもな。原始の地球は環境が極めて不安定だったものだけど、海はあのような環境の偶然に作った栄養を吸収して、原始の生命をそれから形成することが出来た。但し、人間は霊長類から進化したのですけど、霊長類などの哺乳類更にあらゆるの陸上動物は海から数十億年経って進化したということでしょうね」
「その通り。海洋動物から両生類になって陸上動物になったんです。貴方達人間は海洋動物から数段階を取って間接的に進化した一方で、私達は直接的に海洋動物から進化したという現実です」
「もう、はっきり言って下さいよ、城木先生。あの頃の生態系が割と多様ではなかったに決まってるのですから。まさに、私達なら魚とかの遺伝子を持ってると言われたら気持ち悪くなっちまいますよ」
「すみません。さっき『全ての生物は海から出身です』と修正した方が良かったと思ってますね。私達の種族の祖先は岩魚或いは鮭みたいな魚類でした。詳しくは、和訳では『菱鱗灰胴鰉』と呼ばれるし、原語では『Bishogrodemilz Nurhem』という学名なんです」と城木先生が再び書きながら言った。
「鰉は、蝶鮫の別名でしょうね?」と確かめたかった笠人君。
「うん、高級のキャビアを産むその魚だよ。鮭のイクラとか、鳶子に多少の関係があるかもしれない」と言った澁薙君。
城木先生が言い続けた。「貴方達も一匹の蝶鮫が一キロのキャビアを産むのが出来ると分かってますね。そう、当時の鰉は一キロ以上、最大に四キロの卵巣を持つことがありました。あんなに大きい卵巣によって圧倒的な個体数を産むと思われたものの、実際にあれから半分未満の個体が誕生されたことになったんです。海が段々暖かかくなるところに、自身の固い鱗を段々剥がさないといけなかったこと。海流がフィストグリム大陸の拡大で安定になるところで、自分の泳ぐ行方を決める腹鰭と臀鰭をも抜き出したこと。これから数億年掛かって、何処へも自由に泳げるように両胴の鰭が飛行機の翼のように伸びたり、尻尾も足になるまで伸びたり、頭も大きく膨れたり、鰓があったまま瞼も鼻の穴も形になったり、口で歯も生えたりしたんです」
「わー、そうやったら、亀みたいになっちゃうんですね。ただ甲のない亀」と言った澁薙君。
「そう言っても良いかなと思ってるんです。自由に泳ぐのは行方を決めないまま何処へも移りやがってより大きくて危険な動物に会うのが避けられなかった訳です。ある個体は強けば怪物と戦える。弱けば怪物の食物になる。それは進化の仕組みです」
「弱肉強食という仕組みですね。進化のみならず歴史の時代でもそれをずっと使ってますよ」と言った純彦君。
「あの祖先の鰉も同類の相手と争って負け犬を食ってることもあったのはともかくですよ。最後まで生き抜いたのは上陸出来る個体らになったんです」
「へー、進化の残酷な裏そういうもんですね」と感嘆した笠人君。「植民地の時代はそういう裏の目立つ例でしょ。封建でなら王室は最強の権力で天下を服従させた反面、最近の百年間でなら産業革命を発達させて強くなった国々は帝国の権力で弱小の国々を自分の物にしたし、過去のオーラに夢中で強いだと思った国々はもうその強い国々に弱小にされたことです」
「うーん、弱肉強食は確かにあまり良くなく意味すると分かりますが、新しい秩序を齎すという最後の成果を果たすんです。進化という名の下に無数の個体を犠牲にしてしまった後に、最後の部分である耳介も完全に形成して、両生類の生活を始めました」
「さて、君達への次のパズルを与えるよ。言語に関する挑戦だ。私達がわざわざ長い時間掛かって人間の社会に合わせに君達の言語を学んでうちの言語の語彙を和訳にしたから、これから君達の出番だ。勿論、私達の言語がさっぱり不明な君達に、とんでもないパズルを送る訳がないし、糸口を付けることにした。ただ糸口は私の言語の辞書じゃない。かえって、この辞書はパズルを解いた後のご褒美。このパズルはアルべランドさんの賛成で『新言語の訳者』と付けたんだ。パズルの内容は簡単。私達の種族の学名を求めて貰う」
「えっ、それはスミヒコ君の元々の質問なんじゃありませんか。どうして私達は代わってそれを答えます?」
「私達の正体を『人間前の種族』まで暴露しただけで良いんだ。残りを君達が自ら頭脳を動かして探せば、この話し合いに値するもんだ。謎を自分で明かしてはずっと面白いもんじゃないか」
「ったく、昨日は三枚のパズルピースに苦戦したし、今日はより難しい物に苦戦しやがって、病床でも休めない訳じゃ」と純彦君が愚痴を言った。その直後、降恆ちゃんに腰肌をぎゅっと抓られた。
降恆ちゃんが抓りながら言った。「お二人の先生は自分の正体を回りくどく話してしょうがないでしょう。どうせ人間への出題者を担当してますから。僕達は次のパズルを受けます。糸口をもお願いしたいと思います」
「ちょっと、勝手に決まって狡いんだよ・・・痛い痛い痛い」と純彦君が反駁したら、降恆ちゃんにもっと痛く抓られていた。
「山口さん、首領を弄ばないで下さい。山口さんの言う通り、パズルピースを出ていったのにも出題者の役を抜いてはならないので、貴方達にわざと意地悪をしてます。それでは、『新言語の訳者』というパズルに糸口をあげます。当時の文明で貴方達のラテン語とか日本語の文字を使うことなく自分達の言語の文字を使ったのは当たり前なもんですが、貴方達のと同じ文字の二種類を使ったもんです。音を表する物と、意味を表する物。ラテン文字や日本語の仮名などは表音、漢字とエジプトのヒエログリフは表意だとも知ってますね。私達の言語もそういうもんになったんです。ただこのパズルで使うのは表音文字です。糸口は、私達がさっき言及したうちの種族の進化の仕方を纏めて、当時の大洋の名の意味を考えて、自分達の日本語を使って上級の言葉遊びをしてみることです」
「どうして日本語だけを使いますか?」と質問した智埼ちゃん。
「人は自分が生まれた場所の言語が一番上手くなる。それは母国語の仕組みでしょう。その仕組みを守って、このパズルはどの言語でも解けるように提案されるんです。ではパズルを解いて下さい」
この変なパズルは、イギリス人とかドイツ人とか中國人に送るとしたら、英語とかドイツ語とか漢語で解かれるじゃないかとね。でも合理的でしょう、城木先生の種族の言語は私達にとっての新言語或いは風変わりな言語だと言われても良いし、まだ文字、単語、文法の体系さえも思い浮かべないあの言語が分かるようにこの方法でしかないから。それじゃ、私達日本人は日本語の解き方を見せてみる。『鴉からの封筒』の暗号の解き方を再び使った方が良いわ。
城木先生の種族は海から出身なので、海にとって一番特別な感情を抱えたし、意味深い名を付けたとは当然だね。『西壁洋』なら『西の壁』と簡単に意味するだけでなく、多分西の海の南部は北部より冷たかったし、より強い波が荒れたし、海に出たい住民をまるで壁を立てるように外の大きな世界に隔てようとしたものだね。対立である『紅玉洋』なら、どうして鉱物の名なのか?勿論ルビーの明るい朱色を輝くなんかなく、多分北部の海は割と暖かかったし、優しい海も形成して船を楽に寄港したり出港したりさせたし、航海の貿易を賑やかにさせてやったものでしょう。それで、あの海に豊かな人生を齎して貰った住民は繁栄の象徴であるルビーをもとに名付けた訳だ。
東の海である『與蘭洋』なら抽象的だし、書きにくいし、多分一番深い意味を表する可能だ。『與』は『与える』、『贈る』などを意味する。『蘭』は『蘭の花』を意味するが、本当にこの艶やかな花だけを?もっと広く考えると、『蘭』は日本史にとってなんか独自な意味を持つ漢字だ。江戸時代で鎖国になったとは言え、日本は外の世界よりの新しくて革命的な物を流入し得た、オランダ、いわゆる当時呼ばれる和蘭のお陰で。それで『蘭』は花の一つだけでなく、オランダも西洋人の革命的な学術も示したものだ。そう、蘭学はオランダの書類に基づく洋学だし、蘭方は洋風の医学の前身だし、蘭方医は洋風の医学を運用するお医者さん達。この『蘭』がなかったら絶対にこういう日本になれる訳ではないでしょう。ということで、『蘭』は地を示す『ランド』の音訳以外に、『新しいが挑戦的だが大きな希望を期待して貰うもの』だと理解しているの。
『與蘭洋』はフィストグリム大陸に北も南も隣接するし、西の二つの海洋を組み混ぜるし、恐らく多様の海流と天気が行き交う海域だし、城木先生の種族が初めて上陸し文明を築き始めたのはこの海からだかもしれない。城木先生にこの海は地中海の起源である可能性があるかどうかを聞いた時、先生が頷いただけで私達が自分の視点を割と信じていた。地中海は西洋の文明の起源の一方で、與蘭洋はあの種族の文明の起源である。あの種族はこの海は上陸が出来て進化を続け、文明を築いて地球の主になる唯一無二のチャンスを贈って下さったと信じたから、そういう意味する名を付けた訳だね。
『蘭』は本当に城木先生の種族の進化と文明に影響を与えたでしょうね。彼らにしたら、自分の学名に『蘭』に近く発音出来る文字を最初に置いといた方が良い。では、城木先生の糸口を使い続けるには、彼らの進化の仕組みを見直そう。彼らの進化も何処かで人間のと同じようになった、ダーウィン殿の提案した自然淘汰の法則を避けられずに。最後まで生存して上陸する為に、大きい怪物をぶっ倒したり自分を怪物にして他の同類をぶっ倒したりしなければいけなかった。人間は人間になる前に、毛だらけの体の姿のまま、他の猿とかチンパンジーを打ちのめしたし、人間になったとしても、現在の人間になるまで、弱いと思う他の人間をぶっ倒したはずだね。最後で生き抜いたと、進化の残酷な車輪に勝って優秀な個体になること。『優秀』を言っても構わないが、生き抜いて優秀だと自慢しては駄目じゃないでしょう。生き抜いて文明を発達させてから優秀という言葉に足りるのよ。そうすれば、子孫の世代に『優秀』だけでなく『名人』だと呼んで貰えた。そう、『名人』は彼らの学名に入れるべきだ。勿論、『名人』は一人なんてなく、集団なので、『達』も『名人』と寄り添うことにしたよ。
よし、一つの語句が完全だ。『蘭に集まる名人達』という。意味不明で出鱈目な語句だし、『ある花庭に集まって競い合う植木の名人達』とも勘違いしちまうかもね。だが、城木先生の糸口に従ったら絶対に勘違いしない。ここの『蘭』は花じゃなくて『陸地』或いは『新しい物』、『新世界』を示す物。つまり、『海を去って陸地に集団で上がり、新しい物を受けたり作ったりして優秀な人種になる動物』を意味する。さて、この語句を凝縮すると、前から知りたい学名が見つかる。『蘭』を速く読むとは『ラ』のように聞ける。『集まる』を略にするとは『集』、すなわち『シュウ』。『名人』という語の中心は『名』で、縮むとは『ナ』。
『達』は例外だかもしれない。『タチ』か『タツ』か『トオル』か迷っていた。この猶予を解けるように、城木先生はもう一つの糸口をあげた。「地球と一番繋がる意味を表する一つの言葉になれるように一つを選んで下さい」という糸口。地球なら、地とか海とか環境とか生態系を思い浮かんだが、それらの共通点は何でしょう?あー、分かった。共通点は『自然』だ。自然の手で数十億年経って地球を形に出来た。『自然』は『Nature』又は『Natural』だということで、『トオル』は『ナ』に付いて仕方ない。城木先生と松澤先生の協力で、もっと完璧な名前になれるように磨いたら、城木先生の種族の学名に出来たよ。日本語で『ラッシュナトゥール』、ラテン語で『Rashnatul』。