9.3. 「まさか、博士達のパズルピースは、日本の妖怪を形にした原因ですか?」
「わー、先生、博士。ぴったりくっついてます。思いっきり引っ張っても抜けてません」と純彦君が感嘆した。
「磁力の作動でしょう、スミヒコ君。重力よりも強い力があるといえば私が直ぐに磁力だと答えるのだ」
「先ほど聞いた『カチッ』の音も磁石の吸引と同じでしょう。そう、私達が使った合金には、貴方達が勉強してそういう呼ぶコバルト、タングステン、クロムという三つの金属の元素があります。磁性も耐久性も凄い金属、マグマの熱にも勝てる金属、世界の一番固い金属を組み合わせてから、電磁場が自分の周りに作れるほど磁力が凄い合金が出来たんです。私のピースを初めて見た時、それが空中で浮き上げたことを目撃したのはその為です」
「組み立ててからもう空中で浮く現象を見せないのです。てことはこの団の電磁場が重力と相当になりに減ってるかもしれませんね、博士」という疑問を私が書いた。
「いいえ、前と同じ大きな電磁力があるんです。ただ私がまだ活性化してませんので。私達のパズルピースは存在を知ってる他人が多くなくて良いので、電磁場の活性化の機能を追加するしかありませんでした。活性化するのは簡単です、貴方達も出来るほど。私のピースを読む暗号を覚えた以上、どちらが私のピースなのかを手に当てること。表側が画像を写す一方で、裏側がその活性化のスイッチを隠すんです。裏側の真中に指先を当ててきっちり押したと、活性化が直ぐに出来ます」と博士が説明したと同時に、パズルピースの団を持ち自分のピースの裏側を指摘し活性化のやり方を案内した。その後、三つのピースの組み立てが空中で浮いていた。
「なるほど。電磁場は電気を使う現象に過ぎないんです。活性化してから電磁場を作りに電気が付くという訳です」と言った純彦君。
「その通り。活性化のスイッチを作るのも、パズルピースのエネルギーを節約するし、他人の余計な注目を制限するし、未発見のピースの行方を探しにもっと短い時間を過ごすんです」
「博士が前から自ら活性化を付けたり消したりしてくれたばかりなことですか」と私がちょっとびっくりして書いた。
「全然大丈夫ですよ、渡邊さん。最初のパズルピースなので、作り手に管理されたも同然でしょう」
「博士、世界中のパズルピースは何かで繋がり合ってるのですね」と聞いた降恆ちゃん。
「うん、血管と神経と同じです。あるピースが発見されてから、その奴の信号が、最寄りにあった未発見の相手に伝わることに。だが、伝わった上で、生物の条件付き反射と同じように、あの未発見の奴が、自身の周りの環境を利用して防衛の操作として発見しに行く者達に幻影を作って見せるということです」
「わー、面白そう。まるで狸みたいに仕業をするのですね」
「うーん、狸というより狐の方が正しいと思います。パズルピース自身が発見されたがります。ただ発見される前に、発見者に最後の挑戦を送らないとです。それから、あの発見者が、あの挑戦を全う出来たと、彼の方の味方に直ぐなるんです」
「博士達のパズルピースもそれから欠点があったんですよ。大抵、ある農家とか木こりとか狩人とか流浪人が、ある森に何かを食べたり狩ったり採ったりしに入って、万が一パズルピースの隠れ中の地に迷い込んでしまって、あれがあの人が発見しに行ってると勘違いして、怪奇な現象をやってしまって彼らを怖がらせてたんです」と松澤先生が言って、無意識に昔の伝説や民話について新たな見る目を送ってくれたよ。もしかして、あの人達が博士達のピースの引き起こした幻の現象をふと目撃しちまった為、村に帰った時に自分が目撃したことを心霊向きに家族と皆に語り、その恐ろしい体験も聞き伝えを通じて不思議な物語に変化しちまったかもしれない。
「まさか、博士達のパズルピースは、日本の妖怪を形にした原因ですか?」と突如思い付いた降恆ちゃん。
「そう言っても良いと思いまして」と博士が答え、私達の脳を立派に衝撃したの。まさか伝説での妖怪達とか神仙達の姿が全部あれらの現象から化かされたと思えるもんでしょうか。
「だとしたら先生と博士のことが疑えるんですね」、純彦君が声を掛けた。「9月10日の事変で小田原人が対面してたのは亡霊の武士達でしょう。多分、会議を開き直すと決める前に、私達を最後に試したい為、貴方達が未発見のパズルピースを活性化して、本物の戦いみたいな現象を小田原ぐるみにやってた可能性があるということなんです。あれらが恐らく小田原を挟む両側の森に隠してあります」
「そうそう。あんなに優越な現象を出来れば博士達でしか出来ません」と同意した降恆ちゃん。私もよく頷いた。
「んー、そうやってたら貴方達とあんなに長く相談出来るもんですか。相手を見下して自ら秘訣を披露する敵はいないんです。しかも、貴方達が目撃した亡霊の武士団は私達のパズルピースに作られなかったです。私達の物の方は人が本物だと思った幻の風景を作った一方で、あの夜で突撃した武士達の見た目は私達の文明のおもちゃとか模型にしか似てないんですよ。貴方達がまだ自分の町をはっきり見えてたから、あれは偽造の技術に過ぎません」
「はい、ある人が一人の武士を通り抜けたこともあったんです。然し、あの夜の大火災を始めた爆発、そして傷は偽物じゃありませんでしたよ、博士」と松澤先生が言って、博士も同意した。「偽造の技術で兵団を作ったとは言え、あの兵団が持って来た武器は本物だった。それに、あの事変の首謀者が気体を凝結する技術を持ってて、煙を空中での爆弾に出来たんだ。でしょう?君達が立つ向かう過激派は、日本の秀才の集まりなんだ」
「怖いところは、あんな秀才の集まりは日本で生まれて、将来の日本を形にするものとなります。渡邊さんも覚えてますね、あの謎の男との通話のこと。『貴方は私達と同じ秀才だが、貴方は逆の理想を抱えて私達の反対側となったので、これから一死一生の勝負に参る』という言葉はあの男が伝えましたでしょ」
「はい、よく覚えてます。誰と立ち向かうのかも秀才だと知ってるのに、彼奴らのレベルがあんなになったことは思い浮かべませんでした。博士達があの夜の首謀者だとも思ってたのです」
「わざわざ数百万年経って数え切れない戦いと戦争を乗り越えて、地球の主に値する文明を建設してましたので、出来ても私達が絶対にやらないんです、あんなこと。貴方達を後任者の種族として選んだのは、貴方達の善意。大抵、感で選んでも良いかなと」
「科学者の勘なんじゃありませんか、博士」
「んー、特にしとけば、科学者だけでなく経験者の勘です」
「あの経験者の勘は多分パズルピースの仕組みを作りましたね」
「そうなんです。この小さい物を意識ありの生物みたいに振る舞わせるようにしたんです。この奴は発見者達の中で一番値する人を決めて、彼の方に出現してあげます。日光を吸収して電気のエネルギーを作りに粒子に分析して、エネルギーが満杯な場合に動き出して、同じ組の仲間そして同じ作り手の作った仲間に『エネルギーの包み物』で送ります。日光のない環境に在中の仲間を優先します。森に限らず何処へも移動出来るんです」と博士が解説し続けた。どんどんこのパズルピースの不思議を理解しつつあったよ。
「貴方達博士達がこの物の中にずっと籠って住んでるといいますね」と言った純彦君。「人間前の種族ですから、数千万年ほど籠ってたかもしれません。それでこの小さな設備も魂を持つも同然です」
「そう、私達の種族と同じ魂を持つものです。幻の風景が出来る機能を利用して家を作ったんです」
「えっ、そう出来ます?ならば便利過ぎません?何処でも移動しても自分の家に住むなんて理想的でしょう」、純彦君が驚いた。
「便利かなと思ってましたけど、自分の作った60枚のピースを数千万年経って管理し続けるなんて地獄に相違ないんです。あんな時間で生きられるのは鬼か神かと言われても問題ありません。それぞれのピースは私の家を維持してくれるからです」
「てことは、博士の種族の文明が絶滅する前のあの企画では、博士の団体は一人一人で60枚のパズルピースを作ることを務めてたそうですね。どうして60は賛成したのですか?」
「60は私達の種族の戦時の平均寿命だからです。平時はその数の二倍とか三倍で延寿出来てたんですけど。故に、私達の種族が60はとても尊い数だと認めてます。別称をもあげました、『命の数』という。戦時と平時で亡くなった人達を追悼する際、そして神様の最後の審判が降り掛かる際、その数を思い出してたんです」
「ならば私達人間にどうか似てます。お母様が言ってました、『六十歳になった人は自分の命を全体的に振り返すべし。それから、次で生き続けるかないかも後悔を置いて歓喜を敬うべし』という。歴史では六十歳になるまで滅多に生きられない人が多い。息を切って亡くなる寸前、自分の命を振り返すことがまさに一瞬の映画を見ることですけど、勿体無いかもしれません。命は数秒間の映画じゃありません。もし長生き出来る人が多い将来が来たら、命は毎日毎日読み込める日記だと思いを抱えて欲しいと思います」
「また長い文を書きましたね。やっぱ瀕死状態を経験したことある人がしかそんな文が書けません。あの四日間の昏睡に、自分の命が一瞬の映画みたいに通りすがったことを本当に見ましたでしょう」
「はい、横濱の病院で生まれた瞬間、『あおゆみ』店の開業、京都での思い出、純彦君との勝負、降恆ちゃんとの対決、そして二つの派手な祭、はっきり出て去っていきました。四日間だったけど数分間しか掛からなかったです、頭の中で」
「でも生き返って、あの特別な体験を話してくれて良かったよ、マサちゃん。治療中なものの執筆がまだ速過ぎる」
「博士、60は貴方達の各人の割り当ての数だったら、パズルピースをどんな分野にどんな難易度に作ったんですか?」
「貴方と松澤先生も60は数学界の目立つ数だと知ってますでしょう。東アジアの暦の十干十二支の周期を定めるし、90と一緒に一番多い約数のある二桁の数だし、素因数で分解すると3、4、5という三つの連続の因数となるものです。ということで、私達の企画では、各人が三つの大課題を務めることに。あの三つの大課題では、数学・物理・化学・生物学という自然界の四つの柱を中心に、それぞれの知識に五枚のパズルピースを作って挑戦の内容を入れることでした。五枚のパズルピースは出来る限り一つの知識を、関連の社会的な知識で補足して詳しくするようにしたものです」
「す、凄かったです。それは博士達の最後の企画でしたね」と感想した純彦君。「自然界を社会界で補足して完璧なものとなって、こんな小さい物に入れたということ。そういえば私達の夏祭りもなんとか博士達の企画に似てると思ってます。ただ違うのはパズルピースを最後の遺産として作って後任者に探されることありません」
「貴方達の夏祭りは二ヶ月ぐらい過ごしてた一方、私達の企画は数千万年経って実行中で完結までまだ長いんです。しかもこの企画の存在を貴方達がご存じ出来るには、地球から避難して別の惑星で生きた私達の末裔に任せたことなんです」
「まさか、松澤先生の団体の訪問は、『宇宙人の訪問』という噂話を引き起こしてしまった可能性だといこと?結局、本当の宇宙人は誰でも地球を訪問してないという」と純彦君が思い付いて言った。
「残念ながらそれは真実だ。人が次々の世代で描いてた不思議な乗り物は実は私達の祖父母の航空機。地球で新たな種族が生まれて文明を建て始めて以来、遥か遠くの惑星で暮らす私達の祖父母が凄く興奮して祖先の故郷へ帰りに宇宙船を作ろうとした。但し、地球に泊まる時間が長けばいけない規則を守らないとだから、人間の文明の大事な時代で地球に帰ることにした。古代エジプト、ロマン帝国、ルネサンス、航海時代、産業革命、そして今、植民地の時代。私達の祖先の後任者に値する人間はいるかどうかを確かめる為だ」
「そして先生達がその任務を受け継ぐことになったのですね。ただ、出会った数時代の無数の人々の中で、僕達の前の人のことを選びましたね?」と聞いた降恆ちゃん。
「うん、勿論。人間の古代では地球へ初めて帰った。古代でも頭の良い人が多かったけど、逆に宇宙人とか神様の具体化だと勘違いして奉拝されてた。そして、私達のお土産に争い合ってたのを見っぱなしで、がっかりしたがよく同感した。祖先のパズルピースの存在を知ってから、私達が博士と同じ科学者の団体を設立して、最初のパズルピースを見付け出したんだ。幸い、最初のパズルピースが見つかった頃はアメリカ独立革命そしてフランス革命が起こったと同時なので、地球へ再び帰った頃は産業革命が世界中の顔を変遷したことを見られたし、人の世界観も拡がるかなと希望した。こうして712名の私達の団体は世界中に値すべき人を探そうとしてる」
「そんなに多い成員?もしかして博士の団体と同じ人数?」、純彦君が私達の代理で驚きを言った。
「でも確かなことはその人数が増えてますね、1世紀以上を過ごして。その712人は共同体を建て始めることになったのでしょう」と言った降恆ちゃん。
「んー、人間の中で潜入する共同体となってしまったよ」
「それに、多分先生はあの共同体の三代目とか四代目なんですよね。博士達の末裔だし別の惑星の住民だし地球に帰った頃が18世紀末だし一代目の寿命がなんと縮まったかもしれません」
「さすが渡邊君だね。良い推理だよ。私は自分の共同体の四代目でいる。別の惑星から地球に帰った以上は、一代目の健康が悪く響かれてしまったんだ。惑星との距離、地球と異惑星の違う特性、宇宙の放射線などは原因だった。あの頃、一代目は次の世代の寿命を伸ばす為に人間と結婚することにした。人間の共同体と一緒に生活してるからどうせ人間と愛情を注ぎ合って結婚するのが時間の問題だ」
「どうやって特性が違う種族と結婚出来たのですか?」
「それは私達の一番の問題だったし、正体がばれずに人間と穏便に生きられるかどうかを判定したものだ。染色体の数が違うところで、人間の染色体を持ったと同時に私達の遺伝子を受け継ぐことが出来る混血の次代を産む為に、二年間掛かってその問題を解決出来る薬を作ったんだ。あの薬は私達の遺伝暗号を読み取って、転写と翻訳を通して私達の蛋白質を形成した独特な分子の構造を人間の蛋白質のように変更して、染色体の特性を変えるようにしたものだ。人間の染色体は46本の一方で、私達のは54本なので、なんとか八本を除かなければいけないのだった」
「なんか恐ろしそうでしたね。それは変異を起こす薬でしょう。遺伝子の変異が少し誤っちゃったら化け物を産んだかもしれないのですよ」と言った降恆ちゃん。「でもあんな薬を飲んで生きて人と結婚して子供を産んだのは素晴らしい成功なんじゃありませんか」
「あの薬は私達の祖父母の救世主だったから。人間と一緒に生きて家族を作るのが私達地球の離郷者の恵みに違いない」
博士が思い付いた。「でも偉いね。山口さんは遺伝子、染色体、変異という日本語なもののまだ日本人の変な言葉であることを理解して質問して感想してくれました」
降恆ちゃんが説明した。「僕が越川君の家族と一緒にドイツを旅行したのです、去年の夏に。シュトゥットガルトに行った頃、医療の仕事の為に欧州にしかない資料を読んで、なんとメンデル司祭の研究や、カール・コレンス博士の論文を見付け出しました。越川君にドイツ語と医療を教えて貰ったことによって、その生物学の用語を頭に入れることが出来たのです」
「だから君達今から結婚した方が良いよ」と冗談した松澤先生。「先ほどあの薬について意味不明な用語を使い過ぎてごめんね。但し、君達もこれからも知識は海洋じゃなくて宇宙のような幅を持ってるとずっと信じてるんだね。20世紀に辿り着いたであろうが、学ぶことがまだ無限だ。これ以来のパズルピースの探索も将来の夢を叶える為の君達の勉強の旅だ。探し込みっぱなしでは駄目で、命の面白い旅だと考えたら、全てのパズルピースが見つかるんだよ」
「はい、分かりましたよ、先生。但し、マサちゃんが退院するまであの旅をまだ待たないとです。ところで、先生の共同体の一代目は地球に帰った時に、あの薬以外に、自分の外見を人間らしくすることも必要でしょうね」
「確かに。一代目は人間を変装する鎧を纏わないといけなかった。あの鎧は彼らの顔、胴体、四肢を人間向きに変更してあげた。幸いは私達の見た目は元々人間に70%ぐらい似てるんだから、あの鎧を纏ったとは誰でも気付かなかったよ。私は四代目なので大丈夫の一方で、博士はあの同じ鎧を纏って外に出てきたよ」
「やばっ、もう7時半だ。博士、この面白い相談はこれまでお願いしますね。ちなみに、博士の名は教えてくれませんか?」
「私の名は Sylvie Alberrand、日本語の名は城木阿波郎と申します。これから博士と呼ばないで下さいね。城木さんだけです」