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日本の定理・上巻  作者: 泉川復跡
【『夏祭り』編】第八章。地へ墜つ星座
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8.2. 「田舎人なら夢をしてはいけないと思いますか?誰でも貪欲を生やします。私達も貴方達も平等に野望を持つことです」

「皆、ポーツマスから速報が載せられたよ、東京日日で」

 高橋委員長が放課後早速教卓を取ってそう知らせた。9月5日の午後だから、戦争を正式に終える条約の運命はもう決められたそうだね。アメリカの東岸からアメリカの大陸や太平洋を過ごしこの東亜の列島に辿り着いたのは万里に達したのに、通信が出来る限り間に合って来られたなんてこの国の国民がどれほ何処の戦争の結果を期待しているのかを理解したでしょう。果たして、日本の時間に従う9月6日の調印式まで待機せず、ポーツマスでの最後の交渉会における速報だけに全国の皆が煽って貰ったよ。

 翌朝の調印式の為の最後の交渉会によると、勝者の方となった日本側は正式に朝鮮半島の制御に特権を行使し、ロシア帝国の地である樺太島の南部そして、ロシア軍が駐屯した遼東半島を敗者の方となったロシア側に譲って頂戴し、国の地域を拡大することになったそうだ。詳しくは、ポーツマス条約は樺太島を北緯50度戦で北部と南部で分裂し、南部を日本に譲渡したり、両国の軍隊の残りに満州及び全ての戦場を撤退し帰国させたり、日本に南満州の鉄道を管理して頂戴したり提案したのさ。それから逆に読者の多数派の憤怒を掻き立てるほど新聞も記事にしたわ。

 そう、ポーツマス条約はルーズベルト大統領の中立的政策に合わせるように、負け犬となったロシア側に本国の混乱な政情により経済の事情をもっと災厄にさせない為、ニコライ二世の政府に日本側に戦費を補償することを担わせないことになった。日本側は戦後の補償を見逃されたなんて不満に決まっているじゃないか。特に、身近を戦場で失ったり生き残った兵士が戦後の病気を患ったりしまった家族にとっては「血を流したり仲間を死体にしたりほど勝利を得たのに、あんなに高い代償を埋め合わせる何でも与えてくれないって上の人に騙されたに過ぎない」という同じ感じがしたでしょうね。

「やっぱ人生は夢と全然違うでしょ。貧乏な人達は当たり前に苦痛を一番受け止めてしょうがない」と言った遠藤ちゃん。

「東京日日は民族主義の新聞と呼ばれるから、ポーツマス条約の裏側を強調してるしかないけど、皆を条約内に何かが可笑しいだろうと本当に思わせた。この書き方は戦争に最も影響された民達を煽らせてるよ、特にただ一方の情報しか受けない人と田舎人」

「だから讀賣より圧倒的に影響してるわ、マサちゃん。この事情では甘えそうな書き方を持つ新聞を誰でも読みたがらない感覚が多い。東京日日は読者の心理をよく把握したね」と言った降恆ちゃん。

「民族主義を盛り上げるには新聞を道具にすべきだ。但し、私達田舎人だとしてもこのような新聞をあまり頭に入らせにくい。男達の割に多分違うけれど私達女なら戦争で愛国心を掻き立てるなんてある程度で意志を逆らって強制的なことなのだろうと思ってる」と言った久保ちゃん。

「そやけ何処のままじゃどんどん上がっとったらおつむに入らせずにいられへんやで。詰め込みみたいに繰り返させられる。そやないと、愛国心を持たへんって決めつけられてまうわ」と言った智埼ちゃん、久保ちゃんに将来の予断のように。

「まさに冗談じゃないよ、その言葉は」と感想した降恆ちゃん。

「ったく、本当でしょ。久保ちゃん、もしそんなに言い方を大勢の人混みで敢えて発言してたらその辛い事実を聴きたがらない群衆に想定外の異議を圧倒されちまうよ」

 久保ちゃんもそう同意した。「うん、確かにね。その記事だけで民衆、特に都に住んでる民衆は何よりも短気を起こしちゃう。やり過ぎるのならば馬鹿馬鹿しい暴動をやっちゃうでしょ。民族主義の副作用はそういうもんだから」

「そういうこと。民族主義は困難な時間を過ごす為の万能薬と見做したら、いつか限定以上使われるとは歪まない。そういうのなら万能薬から麻薬そして毒薬になっちゃうよ」

 職員室から戻った松澤先生も話し合いに参加したがった。「さすが新参者のお医者さんだね、山口君。万能薬を手に入れたと誰でもそれを一服より使うのがやらなきゃいけないことだと信じ切る。こうして実際に阿片に変わった霊薬をちっとも気付かずに使い続けるんだ」

「はい。条約内の衝撃的な情報を知った上で、恐らくあの霊薬を過剰摂取しちまった奴らはあの物に操られて、正しいことだと思ったままの狂おしいことをやっちまうようです。ただ時間の問題です」

 高橋委員長が言った。「東京と大阪では最初に起こってしまう可能性が高い。起こってしまう以上は、小田原も覚悟しといた方が良い。夏祭りを乱した過激派が再び私達を襲うのも決して見逃せぬ」

 松澤先生が高橋委員長に同意するように人差し指を立てそう言った。「都市では火種を付けたなら、田舎では散らばった爆薬が火花を迎えないなんて義理はない。我々も彼らと同じ愛国心を持ってるんだけど、ただ国を愛し方の違いで敵となってしまう。小田原の教師は鉄の武器で殺し合う愛国を教えず、言葉の武器で思想の違いを重んじ一緒に平和に生きる愛国を教える。だが、残念ながら多数派の日本人はあの一番出来やすい方法を使って愛国を表してしまい、より難しいのを使う少数派を圧倒し潰す。八田蜜の少年達の方がこの事情を一番理解すると思ってるけど、白濱の少女達の君達もそう理解してこうと信じてるんだ。特に渡邊君、去年の事件を乗り越えた女の子」

 日向ちゃんが何かを思い出した。「そうだ。渡邊ちゃんは居合道を三年間習ってるわね。うちの寝室で日本刀を掛けたそうだ」

「そやさかい『ムラマサちゃん』ってあだ名を付けたの。去年の少年祭で八田蜜の居合道部の男達と試合をやったやん。三勝一敗」

「はい、居合道のお陰であの夜を過ごせたのです。階段を上って刀を間に合って取らなければ私の家は再び建てられ直しましたよ」

「居合道だけで鼻高過ぎるの。あの夜は君の誕生日の夜だから、僕達の参加のお陰で君が居合道の術を見せて武士達を出て行かせられたよ。親娘の二人っきりなら武士達を倒す訳がない」

「君の誕生日を知らなくて幸いだったね、渡邊君。だが今年は彼らが知るか知らないかもこれからの数日で君も日本刀を腰に佩いた方が良いよ。渡邊君だけでなく、剣術を習う君達全員も」

 居合道をも習っている桐谷ちゃんが応えた。「分かりました、先生。ただ新たな情報をもっと知らないといけません」

「そうだね。東京からの新情報どころか、これからも小田原もこの田舎の全ての学校も感情の変遷を遂げてくんだ。特には八田蜜」、松澤先生がそう応えた。まるで私達は歴史の有名な出来事の頃を過ごしていたようだ。本当に、こんなに大事な頃なのに新聞だけしか伝えないそれぞれの情報の把握力次第で、以前の時よりもそわそわする気が体内に溜まってならなかった。何故なら大事な頃かというと、この頃が終わってから日本では何かの新勢力がより恐ろしく強く台頭しがちだと信じていた。そう、日本の歴史的転換点に相応しい成果。

 皆は白濱から帰宅する途中で、思った通りの風景が見えた。新聞の配達員さん達が挟箱を街上に置いといて全年齢のお客様に新聞を配ってあげたり、群衆が押し合って最新の新聞をいくらでも受け取ろうとしたり、子供達の数人が多動で挟箱を持ち上げ弄んだりしていたよ。新聞を受け最も注目すべきな記事を読んだ時、日本の勝利とロシアの敗北の承認に歓喜になったり、小村壽太郎大使が代表とした日本の使節団がアメリカでの会議に堂々と座っている写真に誇りが溢れたり、勿論、炎上を浴び上がるべきな条約の内容に私達と同じ不快じゃない気持ちがあったりした。小田原の人もポーツマス条約によって誇りも不平も同時に掻き立てたが、多分夏祭りの影響によって皆の心がより落ち着けられたのだってさ。その証は自転車に乗って家に帰る白濱の学生と八田蜜の学生を見えたと、通りすがりの人がまだ残る感銘と手を振って見せたよ。特にはあの戦争を経験した大人達。

 そして、夜になって夜ご飯をも完成させたのちに、新たな何かが私の家に迫ってきた。純彦君の封筒を待つ時にそっくりな光景だが、違いは夜だし、あれを迎えるのは庭じゃなくて私の部屋のバルコニーだった。星がちらちら光る夜空の中で、たった一つの星はどんどん大きくなってこのバルコニーの方へ進んでいた。自分の目の焦点距離に入った際に、私はあの物が何だと分かった。あの物は『保護眼鏡』を付ける澁薙君の鴉。あの鴉は秦野から14kmぐらい自分の飛行を進行しちまったよ。彼奴の首に付けたガラスが下の電灯の灯りに反照し、星のような灯りを出した訳だ。今回は澁薙君自身が送った封筒だね。澁薙君なら降恆ちゃんの言葉も必然的に書かれたから、東京の新聞社に深い知り合いがいる家族のあの豊かなカップルからどれの速報が出たのか緊張しているわ。

 わっ。やはりこう起こったでしょう。火種は東京で本当に付けられちまった。今日の夕焼けからたった今、ポーツマス条約の内容に不満が大袈裟になっちまって制御出来ないある団体は、国民集会が開かれた日比谷公園で反対の発言に代わって暴動が始まり、あそこから行政の事務所が焼き打ちされ、桂太郎総理の別邸が攻撃され、警察が怒りが溢れた団体を鎮圧し続けた。あの暴動はまだ終わっていない、あの過激派の団体が怒りを満たすまで。あの団体は反対派の同士をも傷付けたはず、講和を守る相手どころか。この鴉は私が手紙を読み切るのを待っていた、私が新たな手紙を書き吉岡君へ送りに頼むまで。此奴は孤独であんなに長い道をやり別の宛先へ飛び続けるなんて、澁薙君の鴉達の一番強い一匹に間違いない。そして、吉岡家の印刷の技術にまた頼んだね、小田原の皆に新たな危機を教える為に。

 9月6日の朝に、ポーツマス条約の調印式における速報はアメリカから一日掛かって日本へ辿り着いた。昼には日本の国民が小村壽太郎大使と高平小五郎殿の署名や、英語で書いた講和の確認書や、薔薇のような封蝋を見ることが出来た。多数の人は戦争がやっと終わったと安堵の息をしたが、もう多数の人は日本が『西方の狼め』に真正の強い国になる機会を奪われたと信じ、『あららの狼』をぶっ倒し自分自身であの機会を取り返す思い付きを練っていたようだ。この昼に終わらずにいられなかった日比谷公園の事変は彼らの心をきっちり読んだ訳さ。あの事変から、過激派の者達はあの事変を起こした団体を雛形に認め、必ず異常な夏祭りが少し前に開かれた小田原を次の目的にし、私達を仕返ししようとすると思ったの。

 但し、彼奴らは手を下す前に、警察に逮捕された結果を受け止めちまうあの団体と違って、何かをより狡猾に企てたはずだ。歴史に興味もある笠人君がそう言った、お父様のお店の休憩で私と一緒に話し合った際に。「ある戦いを釣りの旅と見たら?そうだったら、釣り師は将軍、釣り場は戦場、魚は敵軍、餌はお罠、釣り方は計策だ。戦いの決定的な勝利を得るには、大事だと考えた瞬間に餌を決断的に撒くことにする。敵はお土産だと思った際に、引っ掛かる。敵を引っ掛けるには、周りの環境の性質を利用して『本地の土神に協力して頂いて』頭に数学的な陣容を描くことだ。こうして、釣り師がいる場所はどれほど釣りにくくても楽に魚を取れる。だからナポレオン様はアウステルリッツでロシアとオーストリアの軍団を氷の湖に浸せたんだ、たった一日に」よく焼き付いたよ、笠人君。

 最近起こったのを見直したのなら、夏祭りの閉幕日に仕込まれた爆弾はお土産とされた餌。具体的には宣戦布告、すなわち、撒かれる最初の餌。あの最初の餌を撒いてもう十日間経ったから、面白そうな次の餌を準備していたようだ。私達なら小田原を守る役を担うしかないが、小田原の人なら誰よりも小田原の地勢を把握出来るという台詞を何度も繰り返すべきでしょう。大袈裟だかもしれないその自信を持たないと、剣を振り翳したり銃を構えたり出来ず。こうして、次の三日間、原田功(はらだつとむ)先生と下澤忠治(しもざわただはる)先生が訓練する八田蜜と白濱の居合道部の稽古、小田原の警察の特訓が授けられ続けた。近接戦闘の場合は、澤田秋吉(さわだあきよし)先生の柔術部や荻村昴(おぎむらすばる)先生の合気柔術部の出番だ。

「よし、『花火團』は集まったね。今日、日曜日、9月10日、午後4時半。君達の夏祭りが終わってから二週間。渡邊君が予断した通りのならば、この午後から過激派の武士団が再び攻撃する可能性が高い。また日比谷の事変から五日間なので、今日は締切だそうだ」

「先生班長みたいに格好付けますね。マサちゃんの部屋でたった六人が正座をしてるなんて」と言った降恆ちゃん。

「そろそろ『出陣』の時間だね。ひょっとして数人の団体の去年の割にいきなり兵団が突入するなら手が付けられない」

「兵団って大袈裟だ。武装がたっぷり備える数百人の兵団はこの小さな町を一瞬に貪れる。あんなに大きい兵団を調達したら、何故夏祭りで爆弾を折角仕込んだのか。今回も、何かの事件を起こして俺達を巻き込みたがるんだ」と言った純彦君。

 笠人君が純彦君の小さい誤りを直した。「事件を起こすってじゃなくて事件を仕組む。ただ彼奴らは確実にここに突撃するんですか?それとも陽動作戦を使って本能寺の変を蘇生したら?もしいずれの動態が出てこなかったら、私達が完璧の悪戯にやられるんです」

 松澤先生が肯定した。「突撃するんだ、絶対に。あの木曜日の夜の初めての喧嘩、爆弾の餌、そして二週間の待機、全ては過激派が以前よりもぎっちり準備してるんだ。作戦そして指揮の準備」

「はい。ところで、ムラマサちゃんの持っとるパズルピースは爆弾に警告してあたし達の命を救って下さったのね。ひょっとすると今回もなんかの対策を提案したらどうかしら」と言った智埼ちゃん。

「日澤君がそう言ったらパズルピースを見せようね。さっ、渡邊君」、松澤先生の求めに、私がパズルピースをお守りから引き出し掌の中に置いといた。今はパズルピースが初めて『花火團』の全員に待ち合わせ、一瞬に残りの五人をさっぱり惹きつけた。これから掌の中にあったままじゃなくて目の高さに空中で浮き上がったよ。

 パズルピースの匿名の博士が声を掛けた。「こんにちは、『若き原の花火團』。日澤さんの言うなら私が君達の軍師みたいでしょう。まずは私と松澤先生の正体を秘密にするのは君達が保証してますね。次はね、君達遠くでお互いに連絡出来るように、松澤先生が君達に専用な設備を与えるんです」その後、松澤先生が自分が作ったトランプのカードぐらいの木材の設備をそれぞれのメンバーにあげた。この設備には相手の音を出す網柄が中心にある蓋があり、蓋を縦に抜いたと、下には円形に並ぶ0から9の数字のボタン。『花火團』が六桁の番号を互いに一致しないように好きに決めた。相手を連絡するには、相手の決めた番号の数字に応じるボタンを列を一周で回して持ち、蓋を閉めれば、無線の信号が本人から相手の設備へ流され、見えない糸を完成させることだった。パズルピースの博士が言い続けた。「さて、君達自分の携帯番号を松澤先生に申し込んで下さい」

 松澤先生が申し込みを解説した。「私達の技術の程度で説明したら君達が当たり前に意味不明なので、こう簡単化しようにする。『必ずしも0から始めたり互いに違う数字で決めたりするとは限らない』ことに従って番号を決めたから、続いては私が委ねて貰った博士の『情報倉庫』に君達の番号を入れるんだ」

「そう。パズルピースの機能の一つなので、君達が提供した情報は普通の文字から数字の暗号に変化し、私達の系統に集積されて将来の色んな場合に使ったり直したり消したり出来るんです」

「へー。それは私達の情報を管理するんですね」

「その通りです、絲島さん。君達の携帯番号に限らず、名前、生年月日、出身地、性、身長、などなどもそういう管理されるんです。それに、情報を守る為、入力した情報も偶然の価値に割り当てて、本人の許可以外に誰でも盗れません。但し、この特別な際に、私はある決定を出します。団体に間者が紛れ込んだかどうかを確かめる為に君達の携帯番号を君達の仲間に公開することにします」

「博士、そういうことにしたら、この設備の使い方も私達の仲間に教えるのでしょうね。仲間にいる間者ならそれを使えること」

「はい、そうです。しかも見逃してはいけないもう一つの場合は君達の前に座ってる松澤先生もどうか携帯番号を敵の方に漏洩してしまえることです」、パズルピースの博士がそう注意して私達をちょっと唖然とさせた。「ですから松澤先生は君達の観察の下で番号を暗号化して入力することになります」

「ということは先生はパスカル殿の計算機みたいな機械を持って来たようですね。多分あの計算機より数世紀で先進的に」

「そう。これは君達に私達の正体を秘密にして貰う理由だ」、松澤先生が鞄から平らで銀色の艶々しさを照らす『電算機』を出しこの卓袱台に優しく置いた。やはりこの機械よりも平らで艶々しい物なんてない、西方の貴族の豪邸の壁さえも。その機械はただ四角い物じゃなくて、松澤先生へ向く繊細な隙間を開けられたと、自分の正体を明かした。先生が皆を後ろから魅惑的な操作を観覧させたから、私達がその機械の『情報を見せる画面・文字と数字を画面に入れる鍵盤・画面を操作する鼠型の装備』がどれほどすらすらそれを操縦出来るかにずっと唖然とされた。パズルピースの博士の指示通り、先生が『特殊プログラム』を始動し、それぞれのメンバーが教えた番号を画面上の空白に鍵盤をかたかた打って入力し、『虎の威を借る狐』や『陰で操る』という仕組みで私達の『小さな電話』を使用可能にさせたよ。先生は当たり前に自分の種族の言語で設立した機械を使っているから、情報を操作すると同時に私達に先生が使おうとするボタンを解説したのさ。

『完了』のボタンを打った上で、私達は数十秒を待ち、うちの電話を使い試させて貰った。私は先生の所のまま、純彦君は三つの障子で離れるうちの読書室まで行って互いに電話を試してみた。電話を始動し、純彦君の番号のそれぞれの数字のボタンを引いたのちに、電話を口に当てた。信号を送るような『トゥー』って音が聞こえた。そしてぱっと止まり、純彦君の「絲島家の焼酎です」って声が聞こえて興奮が溢れちまった。私が「焼酎の過剰によりうちのお父様が拒否します」と返した時、純彦君がもう「貴店の使う焼酎は我が品の割と人を酔わせては不能です。そういうより貴店のお酒は我々の味噌汁なんですよ」と応え、皆をそっと盛り上げてきた、そろそろの嵐の前に。

「ということで君達の電話は準備が出来たので、君達の精神も準備が出来たでしょうね」、松澤先生が私達の精神を最後に確かめた。

 純彦君が読書室から戻った。「はい、『花火團』の団長として全員が覚悟したと告げていきます。今はこの作戦を披露する時間です」

「僕達は恐らく政治の部分となった勢力が影で操る敵に対面する無邪気な若者なんですけど、先生などの怪奇な種族の人間が同盟を結んで下さって幸いなことですね」と言った澁薙君。

「私達には最初から誰の派にも偏る意図がなかったよ。少年祭の成功を見て君達の誠意を貰ったあの頃、君達を応援するのを決めた訳なんだ」、松澤先生も自分の誠意を伝えてきた。この電話を備えて敵を撤退させたら、もう一枚のパズルピースが報酬出来る感覚があると思っていたよ。先生が『電算機』を動かせ終わって閉めたのち、皆は私の部屋を出とくと覚悟した。『花火團』の三女子は格好を整え、髪を高く結んだ。私は鏡台の横にあった刀掛けで『函春』と名乗った太刀を握り出し、自分の黒青の袴と繋ぎ佩いた。お父様もお母様も私達を協力したかったので、お父様なら兵役の頃から守る拳銃を再び使う機会があったし、お母様なら窮屈そうな浴衣を引き換えて私と同じ袴を着て武術を披露する機会もあったの。

『子供達の本営』にした八田蜜の校庭に皆が集まった。私達が見たのは両校の仲間達の格好良い袴の姿。小学生そして3年生以下の中学生は日向町長に参戦を禁止して貰ったので、これは私達、先輩を担当する中学生、小田原の執行人と、過激派の武士団の対決だ。『花火團』は両校の皆に『新たな発明』を見せていき、私と松澤先生が一緒に最近の十日間で秘密に作り上げたと拵えた。『新たな発明』と共に、六人の番号をも教えてあげたが、それと同時に一生を決める賭けをしちまったような緊張感が溢れたよ。この今、六人の誰の電話でもふと鳴っちまえば将来を永遠に響く転換点となる。

「ピリピリピリ、ピリピリピリ」35分経過、誰かの電話が鳴っちまった。私のじゃなくて、夏祭りの五日目の夜に過激の群衆に「撤退」と促した降恆ちゃんの電話。皆は何かに後ろに押し倒すように凄くびりびりしちゃったが、降恆ちゃんは当たり前に誰よりもその表情を出して卓に置いといた自分の電話を拾えないほどだった。純彦君は皆を落ち着かせようとする一方で、私は降恆ちゃんを深呼吸させ、自ら降恆ちゃんの電話を口に当て『通話開始』の青いボタンを押した。

「はい。どなた様は同じような電話を用いてますでしょうか?」

 向こう側の声が出てきて私達の待機感を満たした。「こんばんは、渡邊雅實。貴方達の夏祭りが終わってから二週間掛かって再会して予定より一週間遅れてしまってすまなかったな。ところで、貴方達があの爆弾を解除出来て命を守ったことを尊敬させて頂く」

「こちらこそ。貴方は自分の配下に爆弾を仕込んで貰って私達の頭脳を審査してくれて結構感謝させて頂きます」

「まだまだ調子に乗る声だな。我の配下に記録して貰う去年のあの夜の声の割に全然変わらない」

「貴方達は『録音機』を作り上げましたね。私達子供はあんなに先進な設備を付けた貴方達に目的とされたのが可笑しいのですか?」

「貴方達はこの田舎で死ぬまで穏便に生きれば狙われなかったのに、貪欲を生やして大きな欲望を抱えるなんて罰を受け甲斐のある」

「田舎人なら夢をしてはいけないと思いますか?誰でも貪欲を生やします。私達も貴方達も平等に野望を持つことです」

「だから田舎人からそんな考え方が発散するのが日本を迷わせるんだ。田舎らしくないし都市らしくも満ちないし和風を洋風の精華で圧倒するし。それを持つのが貴方達のような子供達なんだ。更に、それを貴方達の田舎ぐるみに宣伝して逆に情熱な応援を貰ったのじゃ」

「それは貴方達の世界観でしかありません。貴方達は弱肉強食に従って愛国心を告白する一方で、私達はなるべく最も無邪気っぽい方法に従って国を愛しみます。私の親友の言った通り、この時代ぐるみをずっと支配するあの不文律と一緒に生きてても、自分の志を持って最後まで戦い抜いてあの愛を美しくする傾向を持ってます」

「空想そうだな、あの言い方。だからこそ貴方を主に狙ってるんだ。確かに生まれてからその思想を貴方が持ってる。全てに抵抗しがちな思想。何故貴方の思想を知ってるか、八年前の京都の事変からずっと貴方のことに目を向けてるんだ。貴方が大きくなったと見た時、取り消し甲斐のある恐ろしい『一匹狼』だと認めた」

「16歳にしかならなかったのに、貴方達物凄い政治界の『傀儡師』にそんなにえげつなく称えて頂いて感銘しましたよ。けれどどうして私じゃなくて山口ちゃんに送信を?」

「あの美しい女子がこうなったのは貴方の魔力の一番の例だ。あの女子を雛形にして貴方のことに真剣な挑戦を送るんだ。誇張ではないが貴方は私達と同じ秀才だが、貴方は逆の理想を抱えて私達の反対側となったので、これから一死一生の勝負に参る」、私達が向き合った凶暴な奴らと全然違って、あの男が罠を仕掛けるように大名を奉仕する武士らしく優しい声で話し掛けていた。彼奴らの首領だったね。

「貴方達の宣戦を承認します。但し、もう一つ確認したいのは、最近人を騒然させる連続放火事件の首謀者は貴方自身ですね」

「そうだったら誰かが私を逮捕出来る?警察が一年ほど過ごして必死に操作して証拠を探してるにも関わらず、証拠のちっともないし、私達の正体も行方も不明だし、政治の巨大な影も捜査を中断してるし、『自然により火災の事故になった』と軽薄に結論したんだ」

「今回もそういう放火を起こすでしょうね」

「貴方を呼び出した理由だ。貴方達が向き合うのは誰なのか、神様の力を操って事故を偶然にする者達だと伝えていきたいんだ」

「あの爆弾も偶然な武器となりましたでしょう。さて、次は何の偶然な武器はここを騒ぎ立てようとするのですか?」

「これまで待たせて良いんだね」と言ったのち、あの男は電話を何処かに当てて私達に彼がいた雰囲気の性質を思い描かせた。凄く静かな雰囲気だが、急いで重そうな溜め息が聞こえていた。あの息が大きくなって誰かに引っ立てられる不快な声となった。確かにあの男達が人質にした誰かもいた。あの人が束縛され、消耗までぶん殴られ、罪人のように正座させられたようだ。これ以上は私達の聴覚からの想像。「貴方達が知り合った人はどうでしょうか?貴方の先輩」、あの男がそう言った時、私達が鳥肌が立つほど呆れ返った。

「まさか、まさか厚喜先輩が、貴方達の人質に」

「そうよ。慶應に戻ってから五日目に行方不明となってしまったんだ。記者ではないにも関わらず私達を開拓しようとする為に撮ってはいけない写真を撮ってしまった。更に、此奴が勝手に『出しゃばりの写真家』の団体を作って警察に代わって捜査官を務めて私達のたん瘤になったよ。此奴をこの世から取り消すのは朝飯前だけど、もっと楽しいのは此奴を貴方達への挑戦にするんだ。深夜12時まで此奴が見つからなければ此奴を切腹させる。この挑戦は貴方達との交戦と平行するから、行方の糸口も出てくる。それでは始めようか」、あの男がそう言った直後、口も綱に塞がれた厚喜さんの絶望な『ングングング』の声に電話を当て、私達を胸が焼けるようにさせた。そして送信が切られ、澁薙君がじたばた書き立ての手紙を椋鳥に日向町長へ送って貰った。戦いはこれから始まった、当時7時に。

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