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英雄の剣物語ーヒーローズ・ソード・ストーリーー  作者: カイ・ラヴィンガーデン
30/40

父さんのニセモノ


 旅路、父さんについて情報が入った。


 近くの街に父さんがいるかもしれない、と。


 再会したい!!


 旅の仲間に了承を得て、道を少し変えた。



 その街に入ると、そこは魔法と文明が混在していた。


 父さんがこの街にいて、鍛冶に剣を頼んでいる、と聞いた。


 なので鍛冶に会いに行く。


 急やる想いを胸に、そこで青い光の魔法を見る。


 鍛えているのは刀で、槌で叩く度に高い音を出して青い火花が散る。


 その周りに飛ぶ火花が、小さな花型だ。


 もやもやと熱気がしていて、近寄りがたい。



「おう、注文した品はできたかい?」



 そこに現われたのは、中年男。


 鍛冶が、とっくに出来ているよ、と、剣を手伝いに取らせに行かせた。


 鍛冶が僕たちを見つけて、「そいつぁ、英雄のカイトだ」と言う。


「「・・・え?」」


 僕とアデルは呆然とする。


 目の前にいる中年男・・・?


 リーリが感動に声を上げる。


「カイのお父さんですかっ?」


「ん?どういう意味だろう?わたしには40人ほど子供がいてね・・・」


「・・・ん?カイのお父さんですよね?」


「いや~・・・知らないなぁ」


 リーリがこちらに振り向く。


 僕とアデルはかぶりを振る。


 リーリは眉を寄せた。


「どういう意味??」


 中年男がリーリを凝視している。


 それに気づいたカルロリナスが怒りだした。


「なんスか!?」


「いや~・・・可愛いお嬢さんだ。一緒に食事でもどうかね?ふたりっきりで」


「何を言っているの?目の前にいるカイに何か言葉はないのっ?」


「わたしの名前は、カイト・オフ・ジョニエル!!あの英雄ですよっ」


「・・・ん?」


「ん?」


 リーリが不思議そうにして、カルロリナスが驚いていた。


 僕とアデルは真相に気づいて、呆れて溜息を吐いたりした。


 リーリに肩をすくめてみせる。


「ちょくちょくあるんだけど・・・このひと、父さんのニセモノだ」


「・・・ん?」


「「なりすまし」」


「はぁっ!?」


 驚くリーリを見て、鞄の中に戻るカルロリナス。


「は~あぁ、なぁんかどうでもよくなってきた~」


 苦笑する僕たちに、カルロリナスは「なんぎよの」と声をかけて鞄の中に隠れた。



 結局その街で本物の父さんとの再会はなく、複雑な気分のまま見聞をした。



 ― ・―・・  ――・ ・―


 街の図書館で、アデルが適当に本を選ぶ遊びをしていると、紙切れを発見。


 どうやら書き留め。


 不思議なことが書いてあった。


 ここに記しておく。



〈カイト・オン・ジョニエルのメモ〉



 意外だったのは歯、『竜の歯』。


 竜に『歯』があって、通貨になっている。


 これは驚きだった。


 鱗あたりは予測していたが、ここに来て『歯』。



 どれくらいの価値なのかと言うと、種類がある。


 牙歯、普通歯、乳歯。


 まるで金、銀、銅、である。


 価値としては銅よりも細かな価値であることが基本条件らしい。


 ものによっては、『竜歯』自体が金貨より高値だったりの異例もある。


 特に抜けた歯を使用するので、乳歯ばかりだと聞く。


 竜の抜歯は禁止されているが、やはり多少の流通があるらしい。



 それに関しては色んな意味合いでブリーダーが深く関わっているそうだ。


 あの関所と高い壁に守られた地区。


 その場所で竜は育つもんだと思っていた。


 それは当然であって、竜が異世界から次元の歪みで来訪するのは知らなかった。


 特に竜の卵があの付近で発見されがちなんだそうだ。



 背の高い立派な関所関門には、竜の彫刻が彫られている。


 その柄だけでもいいから近くに見に行きたいと思っていた。



 そこに来ての依頼で、関所をくぐることになった。


 

 ――

 ――――・・・


 これ以上は書けそうにない。


 ・・・――――

 ――

 


 本当に父さんが残したメモなのだろうか?


 だとしたら父さんって、空想を書き出したのだろうか?


 司書さんいわく、昔この街に父さんが立ち寄ったことがあるらしい。


 それ以来、ちょくちょく「なりすまし」が出るんだとか。


 ただ、物書きとしてカイト・オン・ジョニエルを名乗るひとは知らないと聞く。


 その息子であることを言うと、サインを求められた。


 司書さんが個人的に持参した読書中の書籍に、なぜか僕のサイン。


 喜んでいる司書さん。


「サイン、もらってみたかったの~」


 僕はアデルに振り返った。


「これでいいの?」


「・・・よく分からない。お前が物書きとしても売れたらいい」



 僕、サインに価値が出るように頑張るよ。

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