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英雄の剣物語ーヒーローズ・ソード・ストーリーー  作者: カイ・ラヴィンガーデン
29/40

父が出版した謎の本


 ・・・そうだ!!


 そう言えば、父さんは本を一冊、出版している。


 保護区の本屋に渡されたんだった。


 なぜかうっかり忘れていた。


 読んで見よう、と!!



 ――

 ――――・・・


 次の街『クロア』で宿をとって、そしてそこでのんびり読書。


 父さんの書いた本・・・!!


 一体どんな英雄伝か物語が・・・


 え、ちょっとまって、ってなってる。


 なに、この展開?


 エロい!!浮名を持ってる件のほぼ内容!?


 本の裏表紙に、父さんからのメッセージが書いてあった。



【カイへ 父さんは物語を書いてみたいんだ。呪われてる】



 意を察した。


 黒竜を倒さない限り、父さんは自分が想う表現ができないんだ。


 それは僕にとって悲しいこと。


 父さんがそれを口に出さなかったのは情緒だ。



 決めた!!


 僕、一時的に『英雄』になってもいい!!


 黒竜をどうにしかして倒す!!


 そのために・・・・・・・・・旅の仲間に相談するっ!!



 とりあえずレオナリドミオ王国を目指して旅をする、宣言!!



 旅の仲間たちは眠っている。


 起こしたくない。


 欄干と池のある宿で、魚影を見つめていた。


 そこに宿の娘がやって来て、「あ。魚にごはんあげてみますか?」と聴かれる。


 無言でうなずいて、差し出されたドッグフードを投げる。


 ・・・怖い。


 怖い、怖い、怖い、なに、この食いつきかた、なに怖い!!


 せっかく心静かにあろうと想ったのに、なにこの魚の騒ぎ!?


 

 そこにアデルがやって来た。


「カイ、どうしたんだ?」


 魚のことはどうでもよくなって、アデルに振り向く。


「父さんの本を読んだんだけど、父さんは望まない出世をした」


「ん?よく分からん」


「本当に書きたいものを、書けない呪いにかかっている・・・らしい」


「ん~・・・ん?俺は書き手じゃないぜ?」


「うーん・・・俺、黒竜を倒しに行こうかと思うんだ」


「なんで??」


 そこにカルロリナスを肩に乗せたリーリが現われた。


「少し話しは聞こえてたけど、黒竜を倒すとどうなるの?」


「多分だけど、呪いは消える」


「じゃあ、それでいいのかも」とカルロリナス。


「カルロリナスとリーリは・・・」


「「いい。着いてく」」とリーリとカルロリナス。


「貴様、英雄になるために物書きの夢を諦めるんじゃないだろうな?」


 びっくりしてアデルを見る。


「違うよ!!」


「「だったら、それでいい」」


「・・・え?」


「貴様は、英雄になったらいい。俺たちは補助する」


「本当の仲間になりたい」とリーリ。


「何を言ってるんだ、もう仲間として認めているぞっ?」


「自信がないから、黒竜倒したい。そしたら自分を認めるかも」


「なんかすっごいこと言ってるなぁ」と言ったのは、側にいた宿の娘だった。



 ――――・・ ・・―― ・



 『クロア』の街を探索中、本屋を発見。


 情報を得たい、と言って「それなり」を出した。

 

 紙幣を貰った本屋が、何が知りたい?と聴く。


「カイト・オン・ジョニエルについて」


 少し意外そうに本屋のオヤジはぱちくりして、まさか、と言った。


「何?」


「お前、その種か?」


「そうだけど、何?」


「英雄カイト・オン・ジョニエルが書いた本がある」


 そうして手元にあった何度も読んだのであろう本を示される。


「それは、もう、持ってる」


「ん?じゃあ、代金返すよ」


 戻ってきた紙幣をポケットに突っ込んで、本屋を出た。



 ちなみに『クロア』では特に魔物の危険はなかった。


 ただ、貧困層が目立つ。


 旅の仲間を見て、なんと言おうか迷っていた。



「「分かってる」」



 旅の仲間全員から言われて、あぶれている人々を雇って炊き出しをした。


 もちろん、ポケットマネーで、だ。


 名前を聞かれて名乗ったら、あとで英雄伝の一部になるなんて思わなかった。


 次の街でもその次の街でも、炊き出しをしたからかもしれない。



 父のおかげでお金に困ったことはない。


 だとしたら、還元せねば。


 英雄カイト・オン・ジョニエルの息子として。



 ◇炊き出しをしたおもなもの◇


・魚介のスープ


・ピーマンと薄切り肉の甘辛い炒め物


・リーリ監修の炊き込みご飯



 炊き込みご飯はリーリが作ってくれるまで知らなかった。


 かなり美味。



 現地で一緒に食事をしたんだけど、普通に美味しいし、なぜか感動された。


 自分たちなんかと一緒に食事するんですか、って聞かれて不思議だった。


 なんだかそれも相まって、白魔女のイメージがかなり上がったらしい。


 リーリは簡単に美味しくできるレシピを現地のもので代用したりとかした。


 

 旅が終わって里に手紙が来て、クロアから先の街々は輸入外交が始まった知らせ。


 それから深い感謝の言葉も添えられていた。


 文字を教えてみてよかった。


 素晴らしい気持ちだ。


 まだ僕にも、出来ることがある。


 当時の僕たちはまず最初に文字を教える時に、僕の発案でハートの記号を選んだ。


 好き、とか、ありがとう、って意味だよ、って言うと大喜びされた。


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