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英雄の剣物語ーヒーローズ・ソード・ストーリーー  作者: カイ・ラヴィンガーデン
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碧の一族


 貴族の家の、通称『碧の一族』から連絡があった。


「かんざしを診せて欲しい」と。


 なんなのかと思っていると、アデルが髪の毛をまとめるために使ってるやつだ。


 キャピックの森で見つけた、青い石のかんざし。


 アデルは黒髪が腰元くらいまであるから、普段は高く結っている。


 前に使っていたヒモが切れたから、キャピックからのお礼のかんざしを使っていた。


 案外とひとめを惹く美形だし、なんだか僕との関係をカルロリナスが勘ぐっている。


 僕とアデルはそういう意味の『親友』じゃない。


 リーリを抱かないのは孕んだら旅に連れていけないと思ったからだ。


 まだ定住したくないし、正直リーリのために見聞を止めたくない。


 それにレオナリドミオ王国の姫に会いたい。


 リーリにもそれは言っておいた。


 ・・・ただ、カルロリナスは「装着」って呼ばれている玩具に理解がない。


 玩具って言ったって、「子供のじゃないやつ」のことだ。


 リーリを見放したくないから、「装着」って言うアイテムを使っている。


 それをはっきりと言うまで、カルロリナスは気づかなかった。


 彼個人の個性なのか、指丈小人の思考回路なのかよく分からない。



 ああ、そうだった。


 碧の一族から、君の『首』が欲しいと言われた。


 僕は翡翠色の髪と虹彩をしている。


 毛質はこしが柔らかい感じでウェーブがある。


 長いようなそうでもないような長さだ。


 

 碧の一族には、碧の性癖者がいる。


 碧だったら、なんでも欲しい危ないやつ。


 そしてアデルのしているかんざしと、僕の翡翠色の髪と目が狙われた。



 とりあえずリーリとカルロリナスとここで旅の仲間をやめてもいいと言った。


 彼女も彼も、かぶりを振った。


「まだ仲間でいたい」


「どうか側に置いて下さい」


 だとしたら腹をくくって、四人で死ぬ気で逃げよう、ってことになった。



 奇襲が来るのかもしれない。


 碧の一族の領地にいる限り、危険はずっと続く。


 旅の仲間をやめても、人質にするかもしれない。


 なのであえて、何かあったら共に死のう、ってことになった。



 ・・・そして僕たちがとった手段は、かんざしをまず隠す。


 藏之助にだ。


 それと、藏之助に入っていた赤毛のカツラとカラーコンタクトレンズ。


 こんなこともあろうかと、持参してあった。


 カラーコンタクトレンズは、別名を「人魚のうろこ」と言う。



 目からうろこが落ちるくらいびっくりした。


 彼女本人も知らなかったが、リーリは碧の一族のひとりらしい。


 足の裏に入っていた刺青で知れた。



「リーリをほっておけない」



 なので僕たちは、通常のルートからはずれて遠回りすることにした。


 目指すは砂漠地帯。


 ウィーザードボードに乗って一気に進む。


 それが作戦だ。


 なるだけ人がない場所を、超高速でぶっちぎって砂漠に向かう。


 砂漠も危ないらしいから、砂漠もぶっちぎって通り過ぎる。


 僕たちのたてた作戦はそれくらいで、ただただ若さに任せた。



 ちなみにカルロリナスはリーリのカバンの中にいた。


 何かあったら、軌道をずらしてそこで今生の別れをしよう、と。


 ふたりの幸せを祈るよ、と本気で思ったしそれを言っておいた。


 アデルがいてくれれば、精神的にはどうにかなる。



「優しいなぁ・・・」


 カルロリナスがぼやいて、泣き出す。


「優しいよぅ・・・ふたりを守りたいよぅ。何かあったら戦うよぅ」



「私は逃げるかもしれない」


「「それでいい」」と僕たちが言うと、リーリは更に言い放った。


「うんっ、逃げないっ・・・!!」



「なんて可愛い女なんだ、リーリっ」と感極まるカルロリナス。



 こんなに仲間に恵まれて、誉れだと思った。


 僕は英雄、カイト・オン・ジョニエルの息子。


 名もなき物書き志望でいいや、って思った。



「とにかくっ・・・」


「食料を買い足したら」


「「砂漠までぶっちぎーるっ」」



 保存の効く食べ物を買い込んで、そして藏之助に入れる。


 長い髪でバレないように、アデルは髪を団子に結ってフードをかぶった。



「いっくぜぃっ」



 超高速飛行で、碧の一族の領地を抜けるまで砂漠に向かって進み続ける。


 そのための号令をかけて、ウィーザードボードに飛び乗った。


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