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英雄の剣物語ーヒーローズ・ソード・ストーリーー  作者: カイ・ラヴィンガーデン
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自由同盟国で一休み


 ありがたくも、次に向かうのは自由同盟国。


 森を抜けて、関所に「旅人」だと告げて入国。


 関所の事務端末担当に医療施設を紹介してもらった。


 本来の道筋からはずれた分、奇跡的に間に合ったらしい。



 途中途中、妙な魔物が現われたけど、僕が倒していた。


 そして医療施設で世話になるふたりの看病をしている僕に、お礼があった。


 僕たちが通ってきた道が使えるならだいぶ便利になる、と。



 自由同盟国では魔物を狩るとマージンが発生する。


 かつて実験体にされた獣が由来らしい魔物の存在を隠蔽したいらしく、


 それを知らずともほとんど倒した僕に、お礼のお金。


 そしてそれはふたりの治療代の一部になった。

 


 お金は少しばかりあまっていて、回復したふたりと街で遊ぶことにした。


 リーリは丈の短い服を着てみたいとか言っている。


 旅人としては不謹慎かもしれないが、治療のおかげであざが消えたからだろう。


 親戚が肌の見える服を許さなかった、とぼやかれた。


 なのでまず『脱毛屋』に言って、僕とアデルもついでに脱毛。


 リーリは全身、アデルは半端なヒゲ、僕は・・・脇と下半身。


 僕が脱毛をした理由は、「意味が分からなくなったから」だ。


 意外だったのが、剃ったり抜いたりじゃなくてクリームで溶かすこと。


 詳しくは記述したらいけないらしい。



 さてさて、脱毛後にショッピング。


 リーリに服を買ってあげた。


 ・・・けっこう、可愛い。


 新しい服に着替えたリーリを連れて歩いていると、口笛を吹く通りがかりとかがいる。


 カフェに入って、大きなパラソルの下で食事。


 なごやかに会話は進んで、食べ物をつつきあって、とても楽しい時間だ。



 ◆カフェで飲み食いしたもの◆


 蜂蜜カフェオレ。


 フルーツとホイップクリームが添えてあるワッフル。


 カボチャモンブランと莓モンブラン。


 アプルパイタルト。


 パープルポテトカスタードクリームサンドイッチ。


 

 移動も地上を走る電車が通っているし、車窓からの風景も最高。


 三人ではしゃいで、絡んでくるギャングとかを倒して、そのままツアーに参加。


 物作り通りは興味深く、ごたごた玩具みたいなガラクタみたいなお宝でいっぱい。



「素敵な場所~」とリーリ。


「普通の女子じゃねぇな、リーリは」とアデル。


「なんだかこの区、可愛い」と僕。


「なんでカイの方がそんなこと言うのっ?」


「ううん、気にしないで」


「変態っ」


「変態じゃないってば」



 ツアーに参加した特典で宿が予約されていて、そこに泊まる。


 ありがたいことに、食事までついている。


 夕食を済ませて夕涼みにベランダに出ると、流れ星のような光が見えた。



「なんだ、あれ・・・?」



 スーザンブラッドの『眼の能力』を使って、ズーム。


 すると、金色の鎧を着た機械の羽根を背中に持つ美少女が、戦っている。


 空中戦。


 相手は他国の警備ロボで、目玉型光線銃で攻撃している。



「アデルっ・・・」



 緊迫した僕の声に、アデルはすぐに魔法石指輪から弓矢を取り出す。


 きゃっと悲鳴を上げたリーリが、「何っ?」と警戒。


 僕はアデルに、「あの目玉ロボ、隣国のだ」と言う。


 書物の挿絵で見たことがあるので確信していた。


 ただ、金色装備の美少女が何者なのかは分からない。



「くそっ・・・暗くてよく見えないっ・・・」


「じゃあ僕が」


 弓矢をつがえて連続発射して、目玉ロボ三機のうち、二機を故障させた。


 彼女の陰に三機目が隠れた。


 ダメだ、打てない・・・


 すると彼女がこちらに振り向いて、その油断に目玉ロボは光線を放った。


 美少女のくびれた胴体に穴が開く。


 力を失った彼女は落下していく。



「ちくしょうっ」



 三機目の目玉ロボを弓矢で貫いて、僕たち三人は現場へと向かった。



 算段をつけて探すために、眼、耳、鼻の能力を使った。


 なんだか胸元がざわざわとしている。


 放っておけない。



 小さな森のある公園で倒れている彼女を発見すると、まだ生きていた。


 金髪、金色の眼の美少女。


 機械化されている・・・世界的に禁止と廃止がされたのに。


 しかも最新の部品が使われている。


 だとすると、彼女は自由同盟国に逃げてきて、追っ手に襲われたってことだろう。



 彼女を抱きしめるような形で、ウィーザードボードに乗る。


 そして三人で、医療施設に向かった。



 ・・・更に機械化しないと、彼女は生き延びれない。


 それが診断で、僕が立ち会った。


 医者が意識をうっすら取り戻した彼女に、「まだ生きていたいですか?」と聞く。


 数分、かかった。


 彼女は涙を流した。



「生きて、自由になりたい・・・」



 僕は決めてあったけど、一応ふたりに許可を求めた。


 残りの自由同盟国からのお礼金を、彼女の延命処置のために使った。



 そして生き延びた彼女は、自由同盟国立命のひとりの、行方不明中の姫だった。


 知らずとも助けた僕たちに、自由同盟国は感動したらしくお金は返って来た。


 むしろ偉い人たちとの会食とか、新聞の一面や号外に載るなんて光栄極まる。



「ありがとう、カイ」


「いいんだよ、ミーニャ」



 姫の名前は「ミーニャ」と言って、僕は友人として名前を呼んでいい権限を持った。


 いずれ何かあったら、君たちに協力する、と自由同盟国の代表から手紙を貰った。



 ミーニャは旅を終えた今でも、いい友人だ。


 時々、手紙のやりとりをしている。


 最近、カイたちのように冒険者にたりたいと言われた。


 畏れ多いな。


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