表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄の剣物語ーヒーローズ・ソード・ストーリーー  作者: カイ・ラヴィンガーデン
16/40

荒れ地での出来事を糧にして



 少し前に戻るが、温泉宿の娘は結婚したらしい。


 なんと女性同士でだ。


 不思議な登録をすると届けてくれる郵便鳥が手紙をくれたのだ。


 手間賃をやって、会釈に会釈で返して、空を飛んでいく鳥に手をふる。



 うわさには、ジーピーエス脳??ってやつらしい。


 どんな場所にだって根性で届け物をするあの鳥は、世界最強のうさわが出ている。



 あの鳥に会いたくて手紙の受け届を依頼する者もいるが、


 あの鳥の気まぐれで郵便はされていて、


 時に登山をしている者におしるこを届けた伝説がある。

 


 あの鳥は天から使いだという説もある。


 だから食べてはいけない、と。



 正直見た目は、僕的に「美味しそう」じゃない。


 オレンジと黄緑色の基本色のあの鳥は、かっこいい尾みたいな『とさか』を持っている。


 南国カモメ、って言うらしいけど、現地のひといわくあんまり美味しくないらしい。


 父から聞いた話のたぐいだ。



 時間によって色が変わる石のついたネックレス「ゆめのあと」は、


 父が話してくれた逸話だと思っていた。


 なのに温泉地帯から発見されたみたいで、同封されていた。



 現地でもなかなか珍しく、宝物指定されている品。


 それを僕とアデルに贈ってくれた。


 その南国カモメは、飛び立ったあと、死んだ。



 驚いて僕とアデルがかけよると、


 南国カモメさんは「寿命や。わし心臓ボロボロやねん」


 と、喋った。 


 南国カモメさんって喋るんだ?とちょとびっくりしてる時、


 ことりと首から力が抜けて死去した南国カモメ。


 おそらく、心臓発作。


 持ち物を調べると、まだ届け先のメモが残っている。


 カバンに手紙が一通入っていた。



 これも何かの縁だろう、ってことで、アデルと一緒に手紙を届けに行った。


 住所があながち近かったからだ。



 荒れ地地帯を通り抜け、そして草原を見つける。


 そこに大きな天幕が張ってあって、そこに宛先人はいた。


 アーバと言う美少女。


 思わず息を呑んだのは、頭に巻き角があったから、


 すらっとした細い線に、曲線もそなえている体つき。


 18歳らしいが、ひとり子供がいる。


 その件でアデルと話が盛り上がった。


 両方とも娘がいるのだが、誕生日が一緒だったから。


 これも何かの縁だろう、と泊まることになった。



 どんなことをしてこの草原で暮らしているのか、と聞くと・・・


 放牧と言ったからヒツジかヤギを飼っているのかとぼやいた。


 するとかぶりを振られる。


 じゃあ、牛か・・・ブタ?



「竜」



 この一家は竜のブリダーをしていて、売り買いが生業らしい。


 ひとなつっこいタイプを育成する役割の家で、ぜひ見せて欲しいと願い出た。



「DNA情報が欲しい」と言われる。



 少し間を開けて、なるほど、と察する。


 アデルの方を見ると、アデルもこちらを見た。



「俺とこいつと、どっちがいい?」


「ん~・・・両方!」



 ――

 ――――・・・・と言うわけで、身体当たりがあった。


 身体当たりって言うのは、「心当たりがある」みたいななまりだ。


 

 草原の朝は寒い。


 みじろぎをしている時にくしゃみをすると、横にいたのはアデルだった。


 アーバはテントの外にいて、衣を着直すと僕はテントの外に出た。


 一緒に朝焼けを見て、感慨深い。



「出来てたら産んでおいて?」


「分かってる。もしかしたら孕んだ」


「うん・・・なんて言っていいのか分からない」


「優しい男だな」



 しばらく白んできた茜色の空を見つめ、「そう言えば」と思う。


「手紙の差出人は、君の愛しのって書いてあったよね?」


「ああ、気にするな。ただの気持ち悪いやつだ」


「生理的に無理、のこと?」



「そう」


「まさか、言い寄られてるの?生理的に無理なひとに?」


「そうなんだ・・・」


「アーバが産んだのは―・・・」


「いいや、別の男の子供だ。旦那の親友に言い寄られてる」


「・・・ん?」



 何か、嫌な予感がした。



「おはよう」


 そこにアデルがやって来た。


「おはよう、アデル」


「・・・ん?何かあったのか?」


「昨日ちらっと聞いてたけど、アーバの近しいひとが事故で死んだこと」


「旦那のことだ」とアーバ。


「「やっぱりか」」と僕たち。


「ん?」


「「手紙を読んでる時に口に出していたよ、君」」と僕たち。


「なんだ、急に?」


 アデルと僕は顔を見合わせ、うなずきあった。


 アーバの方を見ると、言った。


「手紙の差出人は」と僕。


「アーバの旦那を事故に見せかけて殺した」とアデル。


「なんだって?」


「「犯人だ」」



 ――・・ ーー ・ ・―――――・・・・



 小ぶりな城の城主の次男。


 それがアーバに言い寄っている、アーバの旦那さんの親友。


 その城の次男が、自費出版でデビューしたのを知っていた。


 その本の内容から察するに、著者は本当にあったことを書いていた。


 まぁ、それは物書きとしての勘だ。



 そしてアデルもその本を里にいた頃、読んだことがあった。


 その小説を名乗る読み物には、殺人事件が書いてあった。


 事故に見せかけた、殺人。


 そして、それは・・・獰猛な竜の使い手が親友を竜に喰わせるというもの。


 合い言葉で、だ。


 アーバ宛ての手紙には、獰猛な竜の使い手より、とあった。




 パーティーに潜入するために、僕たちはアーバ一家に服を借りた。


 アーバ一家が持ち合わせていたドレスを着たので・・・女装ってことになる。


 どうせなら化粧もしよう、ってことになって・・・


 アデルはアデルのお母さんにそっくりだった。



 名前でバレないように、偽名を考えた。


 「キャンディー」と「ストロベリー」だ。


 僕が、キャンディー。



 城内に宴が催されていて、手紙と一緒に贈られたドレスを着たアーバは美しい。


 そして主催の席の側には、首輪をした竜がいた。


 どうやら誕生日の宴らしく、「お友達も一緒していい」ことになった。


 キャンディーはバレないかどうか、ドッキドキ。


 だって女装は『心が女性』じゃないと禁止されてるから。

 

 でも緊急事態の時とかは情緒で免除される、はず。


 

「お前、うちの旦那を殺したのかっ?」



 いきなりアーバが主催を目の前に叫んだ。


 そして大笑いをした主催は、お前を肴に酒が呑みたいと声を透した。


 シャンパンを煽ろうとした主催の手首に手刀を落としてグラスが床で割れる。


 場内がざわついた。


 キャンディーさんは許しませんのことよ。


 ストロベリーさんことアデルは、「その竜に食べさせたのね、最低よ」と叫ぶ。



 ※女装は禁止されてるから、女性的な喋り方を練習したんだ。



 苦虫を噛みつぶしたかのような顔をした主催は竜の首輪をはずした。


 かまえる。


 主催は書籍に書かれてあった合い言葉を言った。



「【赤い花の花弁が散る】」



 そこで魔法石指輪から伝説の剣を取り出した僕は、大きな竜の首を一度ではねた。


 腰を抜かして失禁した主催を前に、愛人たちが彼を殴り殺した。



 何かあったんだろうが、その場にいた男性陣から求愛があった。



 キャンディーとストロベリーは急いで城をあとにして、アーバも別道に逃がした。


 旅が終わって落ち着いた頃、アーバから連絡があった。


 産んでおいた、と。


 アーバは里に引っ越して来て、今ではアデルの奥さんだ。


 先に産んだ娘の「アーラン」ちゃんもアデルが引き取った。


 ちなみにアデルの連れ子は「レンジィ」


 アーバとアデルの間の娘には巻き角があって、名を「カレン」と言う。


 僕のことを「おじちゃん」と呼んで、同じ里で共に生きている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ