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4話 依頼と言う名のバイト

椅子に座っていると肩甲骨が少々痛いな...(運動不足)。

「依頼完了、お疲れ様でした」


「おう、また良い依頼があったらよろしくな」


 そう言って私達は受付を後にして空いている席に私の所属しているパーティーで座る。


 私が所属しているパーティーは【紅の決意(くれないのけつい)】と言うパーティーで私、ルカはパーティーの近接攻撃担当をしていて、黒いローブを着たマリンは魔法攻撃を担当、騎士の鎧をしたアスカは盾役として担当し、シスターの姿をしたムイは回復魔法で回復役として担当し、身軽な服装をしたソーカは偵察や遊撃を担当するシーフとバランスが良いパーティーである。


「それじゃ、いつも通り依頼の報酬を分け合うか」


 今回の依頼はオーク6頭分の肉の納品で大銀貨一枚と銀貨5枚なので5人パーティーで分けると1人銀貨3枚とになる。


 これは冒険者としては成功している冒険者の収入としては普通くらいであるが、それでも一週間は問題無く生活ができる稼ぎだ。


「それじゃ、この後はどうする?」


 そう聞いて来たアスカに「家の用事があると言って」答える。


 私の家は宿屋兼酒場を経営している為、冒険者の仕事以外は家の酒場で手伝いをしている事から仕事後は殆ど予定が合わないのである。


「そうか、まぁいつものとこだししょうがないか……他は?」


「私は孤児院の子供達が待っているので無理ですね」


 ムイは教会の経営する孤児院のシスターで孤児院が資金不足な為、自力で資金を稼いでいる感じだ。


「私は魔法の研究があるのでパス」


 マリンは基本的魔法以外に興味が無いからか、冒険者の仕事以外の殆どを魔法の研究に費やしていて仕事後は直ぐに帰宅する感じである。


「そうなるとソーカはどう?」


「私?私は別に予定は無いかな」


 そして最後に残っているソーカに聞くと予定が無いと言う事でアスカは期待の眼差しをソーカに向けていた。


「わかったよ、付き合うから」


「よし、それじゃルカの店で飲もう!」


 どうやら私の家の酒場で飲み合いそうだなと思いながら聞き流す。


「報酬も分けた事だし、今日は解散としよう」


「そうね」「同感」「了解」「わかりました」


 そう話して私達は席を立って解散して、私は家に向かう。


 数分ほど歩き家に到着して、従業員の部屋で着替えてから厨房に入る。


「今帰ったよ」


「おう、帰ったか」


「今日の混み具合はどう?」


「ハッハッハ、混み具合は普通だが、今日は手伝いが入っているから比較的に仕事が楽だぞ」


「手伝い?誰か入ったの?」


 そして、誰かと思い酒場の食事場に向かい確認する。


「えっ?何であの子が働いているの?」


 そこで給仕をしていたのは昨日から宿泊している少女であった。



︎♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦


「え?嬢ちゃんが依頼を受けたのかい?」


「はい、丁度宿泊しているので一石二鳥かと思いまして」


 受付嬢から提示された依頼は月光亭の手伝いで、どうやら月光亭の料理担当の妻アリナに少し楽をさせたい為に依頼を出したらしい。


「にしても、この依頼を受ける人がいるとは少し驚いたぞ」


 ドルマの話を聞いた感じ、そもそも雑用依頼自体があまり人気では無いらしく、この依頼を出したのでさえ三ヶ月近く前だと言う。


「まぁ、受けてしまったし、気にしないでください」


「そうか、そう言ってくれるとありがたい。俺はドルマ、よろしくな」


「こちらもよろしくお願いします」


 そんな感じに話して従業員室に案内される。


「ここが従業員室になって、そこに扉があるから赤い札の方に入ってこれに着替えてくれ」


 そんな感じに給仕服を渡されたので私は赤い札の扉を開けて中に入る。


 そこは衣装棚が数個設置されていて、そこに名前が書いてある事に気づいた私は名前の書かれていない衣装棚を使う。


 給仕服には数分で着替えて終わり、部屋を出た私はドルマの元に向かう。


「着替え終わりましたよ」


「そうか、それじゃあ厨房にいる妻のアリナの指示に従って行動してくれ」


「わかりました」


 ドルマの指示通り厨房にやって来たが、どうやら調理に集中してる様で少し待つ。


 待っている間に手洗いなどを済ませて、調理を眺めて数十分してやっとひと段落したらしい。


「あら、こんな所で何をしているの?」


「月光亭の手伝いの依頼を受けたミカです。ドルマさんから貴女に指示に従ってくれとの事なので待っていた所です」


 普通に答えるとドルマの妻は少し考える。


「とりあえずわかりました。それじゃ食事処の机を拭いといてちょうだい。拭くものはドルマに聞いて」


「わかりました」


 そう言う事なので私はドルマの元に向かい拭き物をもらいに向かう。


「ドルマさん、拭きものって何処にありますか?」


「拭きものか?それならここにあるからこれを使え」


 そう言って渡されたのはそれなりに年季のありそうな拭きものであった。


 それを受け取った私は拭きものを水洗いして、よく絞り、机を拭いていく。


 一つにつき2分ほどで拭き終わり、ドルマさんに水洗いした拭きものをどうするかを聞いて、対処してからアリナさんに次の指示をもらいに行く。


「机拭き終わりました」


「そう、ちょうどいいわ、手を洗って野菜から野菜の方を洗って下処理をしといてちょうだい」


 そう言われて私は手を洗い、指定された箱の野菜を見る、とうもろこし×20、ジャガイモ×30とそれなりの量であった。


 私は直ぐにとうもろこしを取り出して外の葉の部分を外して、残った髭の部分も取り除き、水で洗うと言う作業を繰り返す。


 結果として30分程で終わり、次のジャガイモの方に入る。


 ジャガイモに付いている土を洗い流し、次に芽を取り除いて、皮を剥く作業をこれまた繰り返す。


 そして1時間程してジャガイモの作業が終わったのでアリナさんに報告に向かう。


「アリナさん、下処理終わりましたよ」


「もう、終わったの?なら娘のアルマを読んで来て」


「わかりました」


 と言ったのはいい物の、アルマさんは昨日酒場の受付をしていた子であると思うが、私自身アルマさんの居場所を知らないので、ドルマさんに聞いてみる。


「ん?アルマか?アルマなら今買い出しに行っているところだぞ」


「そうですか……」


 どうやら買い出しに出ていて月光亭内にはいない様だった。


「それで、アルマに何か用か?」


「ええ、アリナさんが読んでほしいとの事なので」


「成程、それじゃ一つ頼まれてくれないか?」


「何でしょう?」


 何か頼み事があるのかと思うと、二つの紙と小袋を渡される。


「一つ目の紙には商店街の地図が書いてあるから、そこに行ってアルマに会ってくれ。そしてもう一つの紙には追加で買い出しして欲しいものが書いてあるから小袋にある金で追加で買ってきて欲しい」


 追加の買い出し品を見ると主に肉類とお酒が書かれていた。


「わかりました。少々行ってきます」


「ああ、よろしく頼むよ」


 話し終えた私は月光亭を出て、商店街に向かうのであった。



♦︎ ︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦


 月光亭を出てから商店街にはまず、冒険者ギルドのある広場に向かい、次に商業ギルドのある南西の方にストリートがあり、そこが商店街となっている商業ストリートである。


「さて、何処にいるかな?」


 そんな感じで始める。

 ストリートに入ってから武器屋に魔道具店、宝石店、服屋、八百屋に魚屋、古書店に魔導書店と沢山の店を探すのであった。


 探し始めるが1時間程探しても見つからないので、どうしようと思っていると、路地裏の方から何かの気配を感じだ。


 嫌な予感がぷんぷんとしていて、近づきたく無いのだけど、第六感とも言うべき何かが行けと信号を出しているので、渋々と路地裏に入る。


 警戒心を上げて奥の方に進み、辺りが建物の影で暗くなっていると、唐突に声が上がる。


「嫌、来ないで!!」


 聞き覚えのある声であったので、私は即座に声の聞こえた場所に向かう。

 

「けっ、大人しくしろ!」


「きゃっ!」


 アルマを囲んでいる男の1人が大人しくさせる為に頬を引っ叩く。


「おい、あまり傷を付けるなよ。依頼人に怒られるぞ」


「御頭、こう言うガキは痛い目を見ないと言う事を聞きませんよ」


「うぅ……ぐす……」


 アルマは恐怖で涙を流して、震えていた。


「よし、さっさと退散するぞ」


 そこにアルマを抱えようとした男の1人を私は勢いのままドロップキックをかまして男を吹き飛ばして壁に叩きつける。


「何!?」


「誰だ貴様!!」


 私は男達の問いに答えず即座に近くにいた男に左手で鳩尾に拳を当て、悶絶して蹲りかけている男の側頭部に右手で裏拳を当てる。


 その2連撃を食らったお言葉白目を剥いて気絶する。


「本当に何者だ貴様!闇ギルドの奴か!」


 私はそれに答える事なく無言で近づくと、男は恐怖したのかナイフを取り出して、真正面から私に目がけて突撃してくる。


ゴツッ!


 しかし、男のナイフは突き刺さる前に壁の様な物に打つかり、勢い良く壁の様な物に頭をぶつけた。


「な、何が……」


 男がよろけているところに私は即座に攻撃に転じ、男に接近してから鳩尾に肘打ちし、先程の男と同様蹲りかけていたところを前腕部の向きを変えて男の顎目がけアッパーで攻撃した。


 結果は先程の男と同様に数十センチ浮かび白目を剥いて後ろに倒れた。


「ふぅ……」


 囲んでいた男を倒して残心しつつ、アルマの方に向かう。

 アルマに近づくとアルマは涙を流し寝ていた。


 それもそうだろう。

 何せ齢12歳の普通の少女が誘拐されかけたら恐怖を覚えないはずが無い。


「とりあえず【治癒(ヒール)】」


 頬にある叩いた跡があったのでそれを治す為に回復魔法をかけて治癒する。


「さて、どうしよう……」


 アルマが買い出しをした食材なんかは小袋があるので問題ないが、アルマは寝ている為に放置できないし、倒れている男達も放置するには危険と思えた。


 そんな風に思っているとチャットが表示されて何かと覗くと「これは……」と言う方法が記してあり、どうするか悩んだ末に書かれている事を行うのであった。



♦︎ ︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦


 私はアルマを月光亭に送ってから男達を処理する為に冒険者ギルドに向かった。


「あら、どうかされました?」


「ええ、ちょっとした事があって」


 いつもの受付嬢に話して男達について話した。


「なるほど……わかりました。では職員を向かわせますね」


「あっ、それについてだけど、連れて来て居るから何処に出せば良いかな?」


「……少々お待ちください」


 受付嬢は少し考えて奥に行き他の職員と話していると、数分で話し終えたのか別れて、話していた職員は別の場所に向かっていった。


「それではついて来てください」


「わかりました」


 そして受付嬢に連れられてやって来たのはギルドの訓練場で、今のところは誰もいなかった。


「それではここに出してください」


「わかりました」


 そう言って私は指を弾き、魔法を解除した。

 すると私の手には鎖が現れると握られた鎖の先にアルマを襲った男達が巻かれていた。


「これは、【透過(とうか)】ですか?」


「ええ、さすがにそのまま持ってくるのはアレと思って。それとついでにロープを貰っていいですか?この鎖魔法で作った物なので」


「……わかったわ、訓練で使う縄ですが問題ないですね」


「ええ、よろしくお願いします」


 受付嬢に頼むと訓練場にある道具入れを漁り縄を持って来てくれた。


 とりあえず鎖を解除して縄で縛り再度捕縛してから話になる。


「こちらの方達は誰か分かりますか受付嬢さん?」


「ええ、この三人は元【四つ星】って冒険者パーティーの三人だわ」


 話を聞くと元は4人パーティーでCランクパーティーでも上位に入る実力であったが、ダンジョンでリーダーを失いってから落ちぶれて、最近では表で活躍する話も無くなっていたらしい。


「おそらく、闇ギルドに関わっていたと思うね」


「そうですか……それでこの人達はどうしますか?」


「無論、表に出ていなかったと言ってもギルドに所属している者には変わりないので、ギルドが処理したいと思います」


「……わかりました。月光亭の方には私が伝えときます」


「よろしくお願いします」


 そう挨拶して私はギルドを後にして、月光亭に向かった。

週末に投稿できるよう頑張ります(進捗三割)。


10/4 ルビを追加したのと、【ヒール】を【治癒(ヒール)】に変更しました。

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