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2話 タルタス

やっと、執筆効率が上がるよ(移動時間が多くなるため)。

 大樹を後にしてから途中小袋に入った食料を昼食に食べたり、森の中をある程度地形確認をしていたからこれだけ遅くなったと思った。


 感覚6時間ぐらいが経過していたと思う時間がして、ようやく辺境の都市であるタルタスに到着した。


 タルタスは辺境の都市なだけあって、防壁がかなりしっかりしていて、防壁の上には数人の兵士が巡回していた。


「とりあえず都市に入るか」


 そう思ったので防壁にある入場門に向かう。



♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎


 近くで見る防壁は遠目で見るよりも立派に思えて、地球にあったら歴史遺産になる程に素晴らしい様に思えた。


 防壁の幅は広く50メートルはある。


 防衛に感して、これ程信頼できる防壁もそれ程無いだろうと思えた。


 そんな風に防壁を観察しながら歩いていると背後から声をかけられる。


「お嬢ちゃん、そんなとこで何をしているのだ?」


 背後を向くと槍を持った兵士がそこにいた。


「えっと、この様な立派な防壁が珍しくて、入場門に向かいながら眺めていた感じです」


「わかるか。この防壁は初代辺境伯様が莫大な資金を自腹で投じて10年の歳月をかけて築き上げて、以来130年近く魔物や敵兵を撃退しているこの辺境都市で一番自慢できる防壁さ」


 兵士は防壁を誉められたのが嬉しいのか、防壁について話をしてくれる。


 その話を聞く限りやはり凄い防壁だと言う事がよくわかる。


「おっと、話が逸れたな。お嬢ちゃんが一人で何故入場門に向かっているのだ?親はどうした?」


 そう聞かれたので分霊さんのチャットにあった、もし自分の出自などを聞かれたらどう答えるかについて記されていた設定を話す。


「えっと、両親は私が幼い頃に魔物に襲われて亡くなっていて、その後祖父に引き取られて一緒に暮らしていたのですが、先月に凄まじい勢いのくしゃみをしてそれが原因でショック死して、一人になったので祖父が生前くれた魔法の小袋に必要最低限の物を入れて、この地で暮らしていこうと思ったから来た次第です」


 これの設定を読んだ時に「くしゃみでショック死ってどんなくしゃみだよ……」と思いながら私の出自について話を聞いた兵士は少し疑問に思う顔をしていた。


 それはそうだ両親はともかく、祖父の死因が残念すぎるからである。


「そ、そうか、何か大変だったんだな」


 兵士の同情する様な言葉が少し突き刺さる。


「とりあえず事情はわかった。入場門まで案内するからついて来な」


 そう言われたので兵士に連れられて入場門に向かう。



♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎


 防壁の入場門に着くと一室に案内される。


 そこは簡素な作りで机と椅子、道具棚が有るだけの部屋である。


「さて、お嬢ちゃんは身分証となる物を持っているか?」


「持ってません、ここに来た理由の一つに冒険者ギルドで身分証を作ろうと思ったからなので」


 そう聞かれたので素直に持っていない事を伝える。


「そうか、身分証が無いなら入場料は銅貨3枚になるけど、持っているか?」


「大丈夫です、一応祖父の家にあったお金を持って来たので」


「そうか、じゃあ早めに冒険者に冒険者になると良い。そうすれば入場料は無料になるからな」


「わかりました。ちなみに他の入場料ってどうなるのですか?」


「そうだな、冒険者は基本無料、市民も住民カードが有れば無料になるな。ただ商人からは銅貨5枚、身分証が無かったらお嬢ちゃんの様に銅貨3枚になるな」


「なるほど……」


 兵士の話を聞いていると兵士は水晶玉の様な物を道具棚から取り出して机に置く。


「これは?」


「これは判別の水晶玉と言って犯罪者なら赤色、犯罪歴がある人は黄色、犯罪歴なども無い人は青色に光る魔道具だな」


 不思議な感じがして私はその水晶玉を覗く。


「これで対象の安全性を調べる感じですね」


「その通り、とりあえずこの水晶玉に触れてくれれば判別出来るから触って見てくれるか?」


「わかりました」


 そう言われたの私は兵士の言う通りに水晶玉に触れる。


 すると水晶玉は青く光り私に犯罪歴が無い事が証明された。


「ありがとう。それじゃあ、ようこそタルタスへ」


 兵士にそう言われて私はタルタスに入場したのであった。



♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎


 タルタスに入場して、まず目に入る光景はメインストリートと言わんばかりの活気に溢れた商人達や冒険者がわんさかしていた。


「さて、タルタスに着いたことだし、まず冒険者ギルドに向かうか」


 冒険者ギルドのある場所はメインストリートを進んだ先にあるギルドの建物が集まる広場を囲む建物群の中に北東にある建物が冒険者ギルドであると兵士から聞いている。


 なのでそれに従う様に進み広場に到着する。


 広場に到着すると北東には冒険者ギルドが見てたので、ギルドの建物に入る。


 建物に入ると冒険者が多く集まっていて、そこから空いている受付を探してそこに向かう。


「ようこそ冒険者ギルドへ、何か御用ですか?」


「冒険者登録をしに来ました」


 受付をしていたのは二十代前半の紫色の髪に眼鏡をした受付嬢で、私は冒険者登録をしに来たと言う。


「わかりました。それではこちらの書類を書いていただきますが、書けなせれば代筆をさせてもらいますが必要ですか?」


「大丈夫です」


 この世界の言語についてはおそらくスキルの異界言語の影響か文字については問題ない。


 なので問題無いと返答をして書類を書き、それを受付嬢に提出する。


「それでは次にこの水晶玉に手を触れてください」


 受付嬢に言われたので私はそれに従い水晶に触れると青白い光を出した。


「これって犯罪歴を判別する魔道具ですが?」


 少し気になったので、私は受付嬢に尋ねてみた。


「少し違いますね、これは触れた対象のステータスにある名前、性別、年齢、種族、ランクを冒険者ギルドに情報保管される感じですね」


 どうやら現代で言う個人情報で登録する会員のような物で、何かあれば指名手配などに使うためだろうと予想する。


「ランクとは何ですか?」


 ランクについてはギルドの階級の様に思えるが、一応確認する。


「ランクと言うのは冒険者ギルドにおける階級でして、新人のEから最上位のSまでの六段階になっており、依頼を受ける際はランク以上の依頼を受ける事が出来ないとされております」


「なるほど、わかりました。それとギルドの書庫について聞きたいのですがいいですか?」


 それを聞くと少し受付嬢を驚いていた。


「どうかしました?」


「いえ、冒険者と言うのは性質武力を完全重視していてかなり多い為、書庫を利用する人がほぼ居ないのですよ」


 それを聞いてチャットにあった冒険者は実力主義の集まりとも言っていたので、何となく納得する。


「なるほど、何となくわかりました」


「書庫を使用するなら、ついでに冒険者ギルドでの規則を説明させてもらいます」


1. ギルド内での戦闘は禁止


 ギルド内で戦闘をする事でギルドの設備を損傷させる事や他の冒険者に被害を与えて依頼の達成率を下げる事を避ける為のものである。


 ちなみにギルド内は禁止であるが、ギルドの外では迷惑をかけなければギルドとしては何も言う事は無いが、見つかれば冒険者としての権限を剥奪処分の対象となる場合があるので、素行の悪い冒険者には注意しといた方が良い。


2. 常設依頼以外の依頼を失敗した時のペナルティ


 ギルドで常設されている依頼は常設依頼として置かれており、基本的にどのランクも受ける事が可能で、失敗しても特にペナルティと言うものは存在しない。


 しかし、ランク規定のある依頼の場合、緊急事態を除いての失敗は出来ず、ペナルティが発生して一つの依頼につき1ポイントのペナルティが付き、10ポイントで降格処分とされる。


3. 依頼の虚偽報告


 依頼の虚偽報告を行った際は依頼を一月の間常設以外の依頼の受注制限が設けられる。


4. 書庫の使用に関して


 書庫を使用する際は銅貨3枚が必要で、その他にも担保として銀貨1枚が必要になり、破損した際は罰金が発生する。


「とりあえずこんな感じですね」


「なるほど……」


 依頼のペナルティは少し厳しいと思ったが、戦闘や虚偽報告は普通なら常識的にしないのであまり気にしなくて良いと思った。


 そして書庫の使用も初心者の冒険者には少し厳しいと思うが、私の場合小袋にそれなりの量の貨幣があるので、問題無く使用が出来る。


「わかりました。今日は時間的に厳しいと思うので明日書庫を使わせてもらいたいのですが、良いですか?」


「勿論問題ありません」


 とりあえず明日の予定が決まったので、そのまま今夜泊まる宿について聞く。


「宿屋の紹介ですか……」


「はい、何処かおすすめの場所はありますか?」


「そうですね、どのくらいの宿屋が良いでしょうか?」


「個室であれば特には気にしませんよ」


「わかりました。それでしたら東のストリートを進んだ先に『月光亭』という宿屋があるので、そこがいいかと」


「月光亭……」


 月光亭、どんな場所か気になりながらしていると、受付嬢からカードを渡される。


「こちらが冒険者ギルドのギルドカードになります。こちらは身分証としても使えるので、無くさない様お願いしますね」


「わかりました」


 受付嬢からギルドカードを受け取り、小袋に仕舞う。


「それでは良い冒険ライフを」


 受付嬢のその言葉を聞いて冒険者ギルドを後にして、宿屋の月光亭に向かった。



♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎


 月光亭は受付嬢の言う通りに東のストリートを十数分歩いた位置にあった。


 木造で建てられている建物の開戸を開き中に入ると、そこは酒場になっていて、受付には体格が良い筋肉質の男が座っていた。


「いらっしゃい、月光亭へようこそ。今の時間は宿屋としての受付しかしてないけど、宿泊目的ですか?」


「そうですね」


「了解。泊まる為には身分証を確認したいけどいいかな?」


「いいですよ」


 身分証である冒険者ギルドのギルドカードを渡して、男が確認すると返却される。


「確認した。宿泊は一泊銅貨8枚で、食事は夜にここの酒場が開かれるからそこで別途の料金で食べる感じになる」


「わかりました。連続の宿泊はどうなりますか?」


「どれくらいだ?」


「ひとまず一月の間宿泊したい感じだけどいいかな?」


「了解、それじゃ銀貨2枚と大銅貨4枚になる」


 私はそう言われたので指定された金額を袋から出す。


「ちょうどだな。それじゃ二階の4と目印のある部屋がお客の部屋だ」


「わかりました」


 筋肉質の男がそう言うと鍵を渡されたので、そのままお礼を言って部屋に向かった。


 階段を上がると左右に沢山部屋があり、そこから4の目印のある部屋を探す。


 そして右の奥から四番目の所に4の目印のある部屋を見つける。


「ここかな?」


 そう思った私は鍵を差し込み、鍵が開錠出来るか試すと開錠が出来たので、ドワノブを捻り扉を開ける。


 部屋はベッドに椅子と机、クローゼットと必要最低限の内装になっていて、窓は一つ、光源となるのは魔力で光るランタンの魔道具である。


「よっと」


 ベッドの質感を確かめる為に寝転んでみるが問題無いと感じであった。


 それからベッドで少しうとうとしているとお腹が空いて来たので起き上がって、下の酒場の場所に向かう。


 階段を降りると賑やかな声が広がっていて、男達数人が酒を飲み合っていた。


 そんな光景を見ながら私は酒場の方の受付に向かう。


「いらっしゃい、何かご注文ですか?」


「今日のおすすめは何かな?」


 酒場の方の受付は10歳くらいの赤茶色の髪をした少女がしていて注文を聞かれたので、おすすめを頼む為に逆に聞いてみた。


「そうですね、今日はシチューが美味しいと思いますよ」


「それじゃあ、シチューのセットを頼もうかな」


「わかりました。それでは銅貨3枚になります」


 少女に料金を支払い、空いている席に向かう。


 酒を飲み合って騒いでいる男達の光景を生暖かい目で眺めて料理を私は待つ。


「お待たせしたな、シチューのセットだ」


 そう言って料理を持って来たのは胸囲がD有りそうな筋肉質の給仕をしている赤茶色の女性だった。


「ありがとうございます」


「それじゃ、召し上がれ」


 女性はそう言って、他の料理を運ぶ作業に戻って行き、私は食事に意識を向けた。


「いただきます」


 そう言って私はスプーンに手を取りシチューを掬い口に運ぶ。


(美味しい……)


 肉と野菜がしっかり煮込まれており、野菜自体は味が染み込み、肉は少しスパイシーな味がして、シチューのスープに合っている。


 次にパンを浸して食べる。

 シチューがパンに染み込みこれもまた美味しく、そこに具も少し乗せて食べるとそれもまた美味しい。


 その後、黙々と食べていると数分が経つと食べ終わっていた。


「ふぅ……、ごちそうさまでした」


 そして食べ終えたタイミングに先程料理を持ってきた給仕の女性がやって来る。


「どうだ?美味しかったか?」


「はい、肉や野菜の味が良く染み込んでいて美味しかったですよ」


「そうか、そりゃ良かった。明日料理も楽しんでいると良いよ」


「わかりました、楽しみにしています」


 そう言うと給仕の女性は食器を持って、厨房に戻って行った。


 それを見た私は席を後にして部屋に戻るのであった。


明日の18時に三話も投稿する予定です。

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