1話 ハロー異世界
お久しぶりです(11日ぶり)。
どれくらい寝ていたか分からないけど、目が覚める。
目が覚めて目の前にあったのは木々の生い茂った森で、私はその森にある大樹の根本に人が寝れる様な窪みの中で寝ていた様だ。
「ここが異世界か……」
そう私が思うと急に天界で人間を見ていたスクリーンの様な画面が表示された。
"何これ?"と思いつつ画面に手をかざした。
『ようこそ、異世界へ。調子はどうだい?ミカエルさん』
そうして表れた文字に困惑していると次々と文字が表示される。
『まずだけど、この画面の様なのはこの世界の誰もが使える『ステータス』と言う自身の強さを表示する魔法を少し改良して、現代の地球で言えばチャットの様な機能を付け足した物で、使えるのは現状ミカエルさん1人って感じかな』
よく喋るなと思っていると次の文字が表示される。
『ちなみに、『誰だこいつ?』って思っていると思うから軽く自己紹介させて貰うと、このチャットは君を異世界に送ったハーンマウントの分霊の様なものが対応しているから、普通に呼び方は分霊でいいよ』
それを聞いて少し驚いた。何故なら神の分霊と言うのはある種熾天使よりも上位の存在で、天使などよりも神の代理人としては正しい存在だからである。
ちなみに驚いた理由のもう一つあり、本来の分霊の凄さに対して、ハーンマウントの分霊の扱い方が異様に思った事である。
そんな風に考えていると次の文字が表示される。
『まあ、僕の存在は置いといて。とりあえずステータスと頭の中で唱えてもらえるかな?』
そう文字が記されていたので、それに従って『ステータス』と思い浮かべる。
すると別の画面が現れたので確認する。
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名前 ミカ
性別 女
種族 人間
年齢 12歳
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そんな風に出て来たのを確認してチャットの画面の方を見ると次の文字が表示されていた。
『ステータスを確認したかな?それじゃあ説明させてもらうね』
そう言って分霊さんは説明し始めた。
『まず、名前についてだけど、これはミカエルだと色々アレだと思って、エルのところを消して"ミカ"と言う名前にしてある。まぁ一種の偽名みたいな物と思ってくれて良いよ』
偽名にする事にはあまり気にしない形で、次の説明を見る。
『次に性別についてだけど、基本この世界では両性と呼ばれる種族はどれも人間や亜人以外の存在で、そこら辺が面倒だから、取り敢えず女性にしておいた感じかな』
その取り敢えず女性になった理由がわからないと思いながら文字を見ていると、薄らと何か文字が表示していた。
『ちなみに女性になった理由は、ミカエルさんの性格的に騎士に近しい物があった為、男性にすると面白みに欠ける為、女性にした。それにミカエルさんの実力からして"くっ殺せ"見ないな展開はまず無いと思うから安心してくれ』
「何も安心できるか!」と内心思いながら次に出た文字を見る。
『次に種族に関してだけど、ホムンクルスはこの世界でも錬金術の禁忌の一つだから、ステータスを少し弄って、種族を人間にしてある感じだよ』
その言葉に少し思う事があった。中世のヨーロッパで錬金術が流行り出した頃、1人の人物が人体錬成を行っていた事を。
その人物は理想の女を作りたいが為に、錬金術の他に黒魔術や儀式を行い、遂に人体錬成を成功させたが、儀式の影響で悪魔が宿り、神官数十人を使ってようやく悪魔の浄化に成功した出来事から。
『悪魔の憑代となった人体錬成に関する技術は全て灰にして、今後この様な事を起こらぬよう、これらの技術は禁忌とする!』
この様な感じでホムンクルスとは言わば人造人間で人体錬成で生成した存在に命を与える行為だから元となる人体錬成が禁忌とされているなら、その先にある人造人間などは、生命を創造するに近い行為である為、生命の冒涜と協会の様な組織から言われかねないと思った。
『まあ、ミカエルさんのホムンクルスは特別製で、今の状態で言えばリミッターの様な物で人間に近い状態であるが、三段階のリミッターを外していくと、一段階目で熾天使としての能力が25パーセント程使用が可能になり、二段階目で50パーセント、三段階目で熾天使としての能力が完全解放になる感じさ。まあデメリットとして時間制限があって、それを超過するとそのホムンクルスでも耐えられなくなって崩壊するから基本的に本気で使うとしても、一段階目までにしてほしいかな』
要約すると熾天使の能力が使える特別製だけど、あまり使うなと言う事らしい。
その事に納得すると次の文字が記される。
『次に年齢に関してだが、この世界には冒険者と呼ぶ職業が存在していて、ダンジョンや依頼をこなす何でも屋みたいな存在で、基本的に12歳になれば冒険者ギルドに所属が出来て、ダンジョンの通行許可や依頼を受ける事が可能になるから、お金を稼ぐ為に12歳にした感じだよ』
つまりお金稼ぎの為に冒険者ギルドに所属して、お金を稼ぎながら生活すれば良いと言う事に思えた。
正直それはありがたい事である。天界では配下の天使達に訓練などをしていて、武力には自信があった為、戦闘系の職業は相性が良い物であった。
『それと今のミカエルさんの見た目は元の熾天使だった時のミカエルさんをモデルにして、12歳くらいの見た目に設定されているから、荒くれた冒険者達からは舐めて掛かると思うから、ギルドの規定以内の出来事で対処してね』
少し対応を考えていた方が良いかなと思いながらと次の文字を読む。
『さて、次にスキルを確認しようか。ステータスの部分にスキルと呼ばれる場所があるからそこを確認してみて』
そう記されていたので、それに従う様にステータスの画面にあったスキルと記された場所を押す。
画面を見ているとステータスの下にスキルが表示された。
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【スキル】
剣術 Lv.9
槍術 Lv.8
体術 Lv.8
炎魔法 Lv.10
聖魔法 Lv.8
無属性 Lv.1
異界言語 Lv.--
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そこに記された剣術、槍術、体術、炎・聖・無の魔法のを確認してチャットの方に戻る。
『いやー、ミカエルさんに意識を移した際にホムンクルスに移した意識本人に合わせたスキルを発現する様にしていたけど……見事に戦闘系に近いスキルばかりで少し驚いたよ』
そう記されていて思い出すのが天界での日々であった。
天界では基本的に配下の天使達を指導する為に訓練をしたり、稀に半神であるヘラクレスさんや軍神であるアレス様やアテナ様が暇潰しに戦闘をしたりしていて、体を動かす事以外殆どしていなかったと思えた。
(これって不味い事なのかな……)
そう思っていると次の文字が記される。
『確かに多少不安に思う事だけど安心して良いよ。この世界の冒険者って基本的に犯罪を犯さなければ問題無いし、基本的に実力主義みたいな事があるから戦闘系のスキルだけでも問題ないさ』
どうして考えが読まれたかはさておき、特に問題無いなら安心して良いだろう。
『それじゃ、スキルについての話そうか』
スキルの説明になる様なので、私は詳しく見ていた。
『まず、スキルと言うのは言わば練度の様な物でレベルが高い程そのスキルの扱いがしやすくなる感じさ』
つまり自分の実力が数値がされていると言う物だろう。
『そしてレベルの説明だけど、こんな感じかな』
そう記されるとチャットに表の様な物が表示された。
Lv.1 初心者
Lv.2 手慣れ
Lv.3 一人前
Lv.4 中級者
Lv.5 超えし壁
Lv.6 上級者
Lv.7 凄腕
Lv.8 達人
Lv.9 超人
Lv.10 超越
『こんな感じなのが一般的で、実力によって変わり、そこに魔法などを関連付けるとこうなる』
Lv.1 初級魔法
Lv.4 中級魔法
Lv.6 上級魔法
Lv.9 超級魔法
Lv.10 王級魔法
『そして魔法のレベルが上がるメリットは魔力の消費の軽減や威力増加が望めて、レベル1の魔法がレベル2の魔法に勝とうとすると元の魔力次第だけど、基本的に10倍近くは違いがある』
チャットでの説明を聞いて私のスキルレベルを見る。
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炎魔法 Lv.10
聖魔法 Lv.8
無属性 Lv.1
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うん、明らかに異常である。
『ちなみにミカエルさんのレベルが異常と思っている様だけど、実際のミカエルさんよりもこれで抑えているつもりだよ?』
(?!?!?)
考えが読まれた私は二つの意味で驚いていた。
つまりこれで抑えてあると言う事は本来どんなスキル構成になるかは考えたくなかった。
『ついでに言うと、熾天使としての能力を解放するとこんな感じになるよ』
「いや、ちょっと待て」
そう私が言うが普通に表示される。
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【スキル】
天剣術 Lv.9
天槍術 Lv.8
天体術 Lv.8
天炎魔法 Lv.9
天聖魔法 Lv.8
無属性 Lv.1
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やっぱり異常な性能をしている。
『ちなみに天剣術や天炎魔法と言った類いは基本的に人間は使用出来ない物だからね。使ったとしても効果が発動する事なく使用者の身体が消滅するくらいだから』
そんな物騒な物を何故使える様にしたんだと思いながら、なら無属性とは何だと思う。
『まあ、基本的に使う事はほぼ無いだろうと思うから、無属性についての説明をするね』
そうしてチャットに説明文が記される。
『まず、無属性を説明する為にこの世界の魔法について説明するね。基本的にこの世界には七つの属性が存在して、火・水・風・土・光・闇・無が基本七属性と呼ばれる物で、そこに上位の属性としての炎・氷・雷・重・聖・魔・時・空の八つが上位属性が存在していて、基本的レベル6になると上位の属性が解放される様になっていて、それぞれ火は炎に、水は氷に、風は雷に、土は重に、光は聖に、闇は魔に、無は時と空になる』
それを読んでいて、何故無は二つの上位属性があるのかと思うと次に文字が記される。
『そして、この世界では誰でも魔法が使えて、無属性は別名“共通属性"と呼ばれて誰もが使える属性でもある。しかし、上位属性である時と空の二つの属性は殆ど知られていない。その理由は単純で、無属性をレベル6にした人が少ない事が原因である為知られていないのが普通で、今では時と空の属性は勇者や魔王と言った特殊な人のみ扱える属性としての知られている』
それに納得して、無属性にはかなり有用な属性と言う事がわかり、期待が持てた。
『ちなみにミカエルさんの無属性がレベル1な理由は地球には無属性と言う物が存在しないから、この世界には来た際に追加された感じだよ』
それを読んで、無属性に異彩があった事に納得。
『それと無属性をレベル上げしようと思っているなら身体強化の【フィジカルブースト】や防御魔法である【マジックシールド】を常時展開していたら、早くて1年、遅くても10年以内には時か空の属性が手に入ると思うから使ってみると良いよ』
私はそれを読んでそんな物があるのかと思いながら、取り敢えず【フィジカルブースト】を展開する。
すると体が軽くなる感覚がして、展開できた事を実感する。
『感覚的に体が軽く感じたかな。それが【フィジカルブースト】で、
それ以外にも筋力を強化する【パワーブースト】、機動力を強化する【スピードブースト】
魔法の威力を強化する【マジックブースト】と、他にも色々な強化魔法があるからその時に応じて使うと戦闘とかを優位に進める事が出来るよ。後他の強化魔法や防御魔法は基本的に冒険者ギルドの書庫にあると思うから、そこは自分で調べるてね』
他にも強化魔法がある事を聞いた私は内心ワクワクしながら読んでいた。
『とりあえずステータスの説明はこんな感じで終わりにして、他に聞きたい事が有ればチャットで質問してくれれば、多分返答があると思うからよろしくね』
「それは安心できるか?」と私は内心思いながら、頼りにはなりそうなので気ままに期待する事にする。
『さて、ミカエルさんの今後の活動についてだけど、取り敢えず森を抜けた先にタルタスと言う辺境の都市があるから、そこで冒険者登録をして金銭を稼ぎつつ、色々な場所に行ってみるのも良いと思うよ』
私はそれに納得して、今後の動きを決める。
『それとミカエルさんの寝ていた所に小袋が置いてあるからそれを持って行くと良いよ』
チャットを見て、寝ていた大樹の根元を確認すると確かに小袋が置いてあった。
『その小袋には路銀と貨幣価値について書いてある紙が入っている財布代わりの小袋と食料が少々(一週間分)が入っているから道中だったりで使うと良いよ。それに小袋自体にミカエルさんの魔力を登録しているから、ミカエルさん以外が小袋から物を取り出したりするのが不可能で、更に追跡の魔法をかけて紛失防止や、魔力によって例外を除けば破壊不可と色々とすごい機能が付いているから、要心しつつ、使うと良いよ』
そう記された様に中には小袋が入っていて、ジャラッと音がした。
『まあ、後は自由に異世界を楽しむと良い!』
そう記されるとチャットの動きは止まったので小袋を持って、大樹を後にする。
「ハロー、異世界。楽しい生活の始まりだ」
空を向いて呟き、異世界での生活が始まったのだ。
何かサブタイトルに【 」】が入っていたらしいので修正しました。
【9/10追記】