0話 プロローグ
あらすじ内にも書いてありますが、気長に楽しんでください。
+基本的に初の作品なのでおかしいところは教えてくれるか、気にしない方針でお願いします。
今より昔、神代の時代の地球には人と神々は共生して暮らしていた。
しかし、時代が進み神々は人から離れて神代の時代は終わりを迎えた。
神代の時代が終わってからは神々は世界の管理に集中するために天使と言う監視者兼神々の代理人を作り出した。
その中でも強力な存在は熾天使と呼ばれて、ある時に信者へ助言を与えたり、ある時は時に奇跡を起こし信者を救ったりと、神代以降の時代は熾天使が神々の代行をすることが多くなっていた。
そんな熾天使が神々の代理人をし続けて約2000年以上の時が過ぎて現代では熾天使たちも人類に干渉する機会もなくなっていた。
そんな中現代の熾天使はどうなっているかと言うと......。
『うーん、この映画はいまいちだな~』
ソファーで寝っ転がりながら地上を監視しているモニターで映画を見ている緑色の髪が特徴な熾天使の一人であるガブリエル。
『この男と男が(規制)して(規制)して(規制)をする関係実に興味深い......』
椅子に座りながら時折『ふふふ...』と笑いながら面白がってR18のBL同人誌を読んでいるのは茶色の髪が特徴な熾天使の一人ラファエル。
『......』
山のように積まれている本をジャンルに関係なくただ黙々と読んでいる青い髪が特徴な熾天使の一人ウリエル。
『さあ、来なさい!そんな軟弱な様では私が不在の際の有事に対応が出来ず我々の主人を守ることが出来ないぞ!』
そして配下の天使を稽古している赤髪が特徴な熾天使の一人ミカエル。
この様に熾天使はやることが無く暇な時間を過ごしていた。
そんな中天使の一人が熾天使に伝令を伝えに来た。
『ミカエル様はいらっしゃいますでしょうか?』
それを聞いたミカエルは配下の稽古を中断して伝令に来た天使に話を聞く。
『私はここにいるが、何か用か?』
『はい、何でも準備が出来たのこととの事で、その知らせと他の熾天使の方々にも召集がされておりますので連れてくるようにと、ゼウス様より伝言をお預かりしました』
『そうか、了解した』
伝令に来た天使はそう聞くとその場を去っていった。
(遂にこの時が来たか......)
そう思いながら同僚である熾天使を呼びに行くのであった。
♢ ♦ ♢ ♦ ♢
熾天使四人が揃い、向かったのは自分たちの創造主たる全知全能の神ゼウスの神域であった。
神域に入ると王城の謁見の間の様な場所になっており、王座の席には四十代程に見えるがダンディーな男、ゼウスが座っている。
その隣には二十代前半に見える美女のゼウスの妻であるヘラが居た。
『熾天使ミカエル、同じく熾天使ガブリエル、ラファエル、ウリエルと共に御身の前に参りました』
『うむ、よく来たな其方らもよくやっているようだ』
『いえ、今は信者などに干渉することがあまりなく暇をしていたの寧ろ物足りない程でした』
『そうか、相変わらず仕事に熱心なことだなミカエルよ。其方もそう思うだろヘラよ』
『そうね、配下の天使との稽古であのガキがボッコボコになるくらいのを見てて愉え......うっうん、強くなっているいるとこを見ると配下の天使にも期待が出来てすごいと思うわ』
そう二人に褒められたミカエルは嬉しく、心の中で喜んでいた。
『それで要件と言うのは何でしょうか?熾天使全員を呼ぶという事は何かあるのですか?』
『うむ、ミカエル、お主が前々から言っていた兼だが、配下の天使たちの練度にも問題が無く、異界の神も許可を頂いた』
『では、あの件が叶うということですか?』
『そうなるな』
ゼウスがそう言うとミカエルは喜びを抑えきれずに喜び、他の熾天使とヘラは困惑していた。
『貴方、ミカエルは何を願ったのですか?』
『何、ミカエルはこの2000年近く休むことなく我々に貢献してきたから、100年近く休暇を与えようと思っていた所で、ミカエルからの要望で異世界で休暇を取りたいと数十年前に言われてな、我もいつも頑張っているミカエルに報いたいと思ってな、異界の神と交渉をして異世界で休暇を過ごせる様にしたんだ』
『『『ええぇぇぇぇ!!』』』
それを聞いた他の熾天使達は驚き、ヘラは意外のものを見る目をしていた。
『ちょっとミカエル!どういう事!?』
『そうです!私たちに黙って面白い事をするなんて狡いよ!』
『未知の本...未知の知識......』
他の熾天使達は暇から抜け出したミカエルに嫉妬して声をあげる。
『それを言うなら皆はちゃんと職務をこなしていたの?』
ミカエルがそう言うと熾天使達は言い返すことが出来ず黙る。
『そう言う事だからミカエルは異世界に休暇に行くことになったから、他の熾天使達に言っておきたくてな』
『ならゼウス様、私も次の休暇で異世界に行きたいです!』
『それを言うなら私も』
『同じく...』
『無理だな』
『『『えっ?』』』
他の熾天使達の要望はゼウスにより却下された。
『どうしてですか!』
『それについてはこの人に説明してもらおう、入っていいですよ』
ゼウスがそう言うとガラスが割れた時の音が響くと同時に空間に亀裂が生じた。
その亀裂から出てきたのはおどおどした緑色の髪の少女と黒髪の中性的な青年であった。
『貴方、彼等は?』
『うむ、少女の方はミカエルの休暇先の異界の女神で、青年の方はこの世の時空間を司る我よりも上位の神だ』
『初めまして、僕の名前はハーンマウント。今回第二階級の天使が異世界にわたると聞いてやって来た者さ』
『は、は、初めまして、今回こちらの天使を招待する世界の女神のリベレートです、よ、よろしくお願いいたします』
『さて、それじゃあ君たちの思う疑問に答えるとしようか』
そうハーンマウントが言って説明する。
『まず、リベレートちゃんの世界は一言で言えば魔力......地球には存在しないがその材料となる【エーテル】と呼ぶエネルギーが不足の状況にある』
『エーテル?』
エーテルと聞いてゼウスやヘラと言った神以外の熾天使は全員が首を傾げた。
『おや?ゼウスさんのとこはエーテルについて教えてない感じかな?』
『そうですね、基本的に天使達には人間の対応が主で、世界の管理などは殆ど教えたことが無いのですよ』
『なるほど、天使達に簡単に教えるとエーテルは地球の場合で言えば星の生命力の事を言っていて、エーテルが存在しないと星が滅びる物なのさ』
『『『『はぁ!?』』』』
『そんな中、リベレートちゃんの世界には魔法と呼ぶものが存在していて、エーテルとそれを変換した魔力を使って世界を維持していたが、最近エーテルが不足していたところをゼウスさんが取引をして地球のエーテルの一部をリベレートちゃんの世界に送ることを承諾した感じさ』
『ちょっと待って、エーテルは星の生命力なんでしょ?一部とはいえそれをあげて大丈夫な物なの』
エーテルは星の生命力それを失うことは星を滅ぼしかねない行為だからである。
そう聞くとハーンマウントは『問題ないよ』と答えた。
『そもそもエーテルと呼ばれるものは基本的に星自ら作り出したエネルギーを自分の生命力に使っている感じだから、基本的にエーテルの消費が追い付かないのは問題だけど、地球は基本的にエーテルの生産量が多いから問題ないのさ』
『それって、どういう事?』
『基本的にエーテルは神秘的な場所で生成されて、地球の場合秘境と呼ばれる場所が多いからその分エーテルの生産量が多いのが今の地球さ』
地球には未だ解明されていない地が多く存在したり、人間にとって神聖的な場所も多いためにエーテルの生産量が多いことをハーンマウント説明する。
『さて、話がずれたけど、そのエーテルがリベレートちゃんの世界で不足気味になっていて、それを解決するために行うのが【転移システム】と呼ばれる物さ』
『転移システム?』
それを聞いてゼウスとリベレート以外の者は首を傾げていた。
『転移システムって言うのはこの次元での地球では初めての事だが、意外と他の次元では多く行われていて、簡単に言えば転移システムを使うと目的の世界に魂や物を転移させることが出来る物で、それの副次効果として、送られる物と同時にエーテルが送られて来るから、まあ最近では人生を不幸に送っていた人を選び、救うついでに同時にエーテルを送る事が主な目的として使われているけどね』
『つまり、今回ミカエルを異世界に送る事で、リベレートさんの世界にエーテルを送ろうとしている感じかな?』
未知を知りたいウリエルがハーンマウントに聞くと『半分正解』と返した。
『実際送るのはミカエルさん本人ではなく、僕が調整しながら作ったホムンクルスにミカエルさんの魂を共有して、本体の方を地球の方に置いておいて、意識をホムンクルスの方を主体とすれば、ゲームの世界のアバターの様に異世界に送ったホムンクルスに同調が出来る。しかもアバターの様な存在だから本体にダメージは絶対に発生しないメリットもあるのさ』
『でも、普通に本体を送る事も可能な気がするけど、何でそんな回りくどい方法で異世界に送ろうとしているの?』
それは理論的には送る事は可能であるが、何故ホムンクルスに意識を移して転移させるのかをウリエルは疑問に思ったからである。
『それは単純に天使をそのまま送ると空間にバグが生じるからその対策さ』
『バグ?』
『そう、かなり昔に別次元で天使と同じ亜神として扱われる第二階級の中でこの世界にも存在するオリオンが異世界に飛ばされた際に、魂の格が以上に大きく空間にバグが生じてその付近で空間が乱れる現象が発生し修復に僕にとっては一瞬だったけど周囲の時間が数万年進んでいてそれの修復するのがめんどくさかったから、第二階級以上の者が転移する際は魂の格を下げて送る事が義務としている感じさ』
それを聞いて熾天使は全員、自分たちの知るオリオンを想像する。
そして地球での神話も考えて荒々しい気性である為、誰か神を怒らせて異世界に飛ばされたと言うイメージが熾天使全員共通に思った。
『これが他の熾天使達を送れない理由に繋がるのさ』
『何か問題でもあるの?格を落とすくらい普通に出来るけど?』
ガブリエルがハーンマウントに言うと『全然違うよ』と答えた。
『まず、自分で格を落とす行為だけど、確かにそうすれば転移システムを使っても問題ないが、それは二度と天使にも戻れなくなることと同じさ』
『どういう事?』
ガブリエルが疑問に思うとラファエルが答える。
『まず、私達天使は神々によって作られた存在だから第二階級でいられるけれど、一度第三階級に落ちる事は堕天と同じ行為で、二度と第二階級に戻れなくなることで、どんな方法を使ってもそれは昔から覆る事のない事実となっているのさ』
『そういう事、だから僕の方法でやれば本体は問題なく第二階級のままで、ホムンクルス自体は第三階級と変わらないから、バグが生じることがないのさ』
『なるほどね......』
ラファエルとハーンマウントの言葉に納得したガブリエルは『そうだ!』と何かを閃く。
『つまり、ホムンクルスを使えば異世界に渡れるのだよね?』
『そうだね』
『じゃあ、私のホムンクルスも作ってください!』
そう言いながら全力土下座をして言う。
それを見たラファエルとウリエルも『狡い!』と言って同じように土下座で頼み込む。
ハーンマウントはそれを見て数分考えると答えを出す。
『いいけど、かなり先になるけどいいの?』
それを聞いた三人は『問題ない』と答える。
『何かすいません』
『別に大丈夫ですよ』
ゼウスは何か申し訳ないと思い謝罪していた。
『さて、他の熾天使は納得したようだし、転移の準備は終えているから仕事の引継ぎをしたら呼んでちょうだい』
『わかりました』
ミカエルにハーンマウントはそう言うと空間の亀裂の中に入っていった。
その後、ゼウスや他の神々とも仕事の打ち合わせや配下の天使に仕事の引継ぎを行い、いつの間にか二日が経過していたのであった。
♢ ♦ ♢ ♦ ♢
引継ぎを終えてからひと眠りしてミカエルはハーンマウントを呼ぶ。
『準備はできた感じかな?』
『もちろん引継ぎなども終えてやり残したことは思いつく限りは無いさ』
『了解。それじゃあ、そこに出したのベットで寝てくれるかな?』
ハーンマウントに言われたミカエルはそれに従いベットに寝る。
『寝たね、それではホムンクルスに意識を移すから、目が覚めると異世界になっているから、着いたら【ステータス】と意識しながら思えば、色々なサポート機能をつけてあるからそれを確認してね』
『わかりました』
『それでは良い異世界ライフを!』
ハーンマウントがそう言うとミカエルの意識は段々と薄れていくのであった。