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転生のおと  作者: 津多 時ロウ
第1章 紙月
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第5話 ボク⑤

 家庭教師の先生は庶民の暮らしのことも教えてくれた。

 一般的な家はボクの部屋の半分くらいの大きさで、大体5人前後で暮らしていること、台所やトイレやお風呂は家の中ではなく、外に専用の建物を建てて、みんなで利用していること。

 ボクが、それは不便ですね、と言うと首を振って、他の国はトイレもお風呂も無い所が多いんですよ、この国は王様や貴族の皆さんが、領民が健康であれば、人口が順調に増えていき、それが国の発展に欠かせないと信じていますから、トイレやお風呂のお陰で他の国より病気が少ないんです、となぜか少し悲しそうな顔をして話してくれたんだ。


 それからカレンダーのことも教えてくれたよ。

 1年は360日あって12個の月で30日ずつに分かれているんだって。それぞれの月には6柱の神様にあやかって、1月から12月まで順番に、光の月、闇の月、大地の月、慈愛の月、狩猟の月、商売の月、太陽の月、星の月、豊穣の月、治療の月、戦いの月、旅の月っていう名前が付けられているんだけど、でも数字の月を使う人がほとんどで、わざわざ別名を使う人はいないみたい。

 どうして12個に分けたの? と質問したら、農家の人が種まきや収穫をする時期を見るのに便利だから、とだけ言ってた。

 そうそう、カレンダーはシェスト教というところが作って売っていることも教えてもらったよ。

 先生がカレンダーを見せてくれたけど、今日はシェスト暦の1566年10月7日で、フラスコを持った人の挿絵が書かれてた。

 カレンダーはリヒト教というところも売ってるけど、この国ではあまり買う人はいないらしいよ。ちなみにリヒト暦だと今日は11566年10月7日なんだってさ。


「私の授業はこれで終了です。あとはインターナートでしっかり勉強して、立派な人になるんですよ」


 もっと色々教えてもらいたかったんだけど、契約期間が終わってしまったから、先生の授業もお終いになって会えなくなっちゃった。寂しいな。


 伯父からお願いして、家庭教師を引き受けてくれたらしいので、伯父に先生のお名前や素性を聞こうとしたことがあったけど、難しい顔で、まだ早いと言われて教えてくれなかったよ。

 伯父は奥さんに先立たれて結構経つから、きっと先生に求婚してフられたんだろうね。

 先生、綺麗だったもんね。

 しょうがないよ、次があるさ。



 後で知ったことだけれど、先生のように女性でインターナート前の子供の家庭教師を引き受ける人は、とても少ないらしい。

 貴族の女性は教養として色々なことを覚えるものの、政治や商売に関わらないことは、どんどん忘れていってしまい、庶民は教育をする制度がない上に仕事や家事で忙しく、どうしても生活のために必要な知識だけになってしまうから、全般的な知識が必要なケースには向かないのだとか。




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