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転生のおと  作者: 津多 時ロウ
第1章 紙月

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第16話 ワタシ①

[1589年2月某日]

 目出たくワタシも15歳の成人を迎えられた。

 成人から7日後の或る日、目の前が真っ白になったかと思えば、ベッドにいて、その間ワタシは意識を失っていたらしいが、特に体に異常はないみたいだ。

 明日は、今後について父上と話をする。

 最近、商人というものに急に興味がわいてきたのだけど、父上は分かってくれるだろうか。


[1589年2月某日]

 父上と話をした。

 ワタシが商人になりたいと言うと驚いていたが、反対せずに応援してくれた。

 父上の期待にこたえなければ。


[1589年3月某日]

 屋敷によく出入りしている商人に、働かせてくれるようお願いしたところ、快諾してくれた。商人も人手が足りなくてありがたいと言っていた。

 父上から商人を紹介しようかと聞かれたが、自分でお願いしてみて良かった。


[1589年3月某日]

 今日は町に出て住居を探した。

 貴族のままの生活では、下働きも満足に出来ないだろうと考えたからだ。

 服も平民の標準的なものを購入した。貴族の服のままでお店にいては、他の者が委縮してしまうので、と商人から助言をされたからだ。なるほど、そういうものなんだな。


[1589年3月某日]

 今日から住み慣れたお屋敷を出て、領都の中で一人暮らしを始めた。

 家督の継承権は放棄しているが、父上から1ヶ月分の生活費を援助して頂いた。

 お屋敷を出ると決めたときから、使用人にお願いをして家事を色々と教えてもらったので、うまくやっていける気がする。

 ここから大商人へ向けて頑張るのだ。


[1589年4月某日]

 商人のもとで働き始めてから3週間経った。

 ああ、いけない。アイゲントーマと呼びなさいと言われていたんだ。

 下働きの手始めとして、主に倉庫の整理と在庫のチェックをやらされている。

 同年代の者は接客もしているので焦りはあるが、働き始めた年齢が3歳ほども違うのだ。

焦らずにやっていこう。

 ワタシが他の者と異なるのは、帳簿の付け方を教えてもらえていることだ。読み書きと計算が優秀とのことらしい。


[1589年10月某日]

 アイゲントーマのもとで働き始めてから半年ほど経った。

 倉庫の整理と在庫のチェックにもだいぶ慣れた。

 アイゲントーマの広い倉庫には、それにしても様々な商品が置いてある。

 家具、食器、香辛料、保存食、テント、それから武器と防具。

 15年位前から増え始めた例の生物に備えるためだろうと思うが、最近は武器と防具がよく動いているように感じる。


[1590年1月某日]

 無事に新年を迎えられたことに感謝いたします。

 今年もお守りくださいますようお願いいたします。


[1590年3月某日]

 働き始めてから1年経ちました。

 下働きは相変わらずですが、たまに接客を任されるようになりました。

 貴族が商売を行うことはあるけれど、商人になることはないらしいです。

 特にワタシが産まれたオダ家は国内でも有数の大貴族らしいので、正直、反対されると思っていたのですが、父上が賛成してくれて良かったです。

 家督は兄が継ぐでしょうから、次男のワタシは自分の夢のために頑張ります。


 オダ家と言えば、3代前の祖父が謀反の濡れ衣を着せられて王軍に殺害され、何故かその甥も何者かに暗殺され、更には当時の王様のご家族も悉く病死し、今は王様の弟だった公爵の家系が王様なのですから、世の中、何があるか分からないものです。

 家系図を見ながらその話を初めて聞いたときは憤ったものですけど、領地は半分になったもののオダ家は存続しているし、ワタシも貴族を捨てて大商人になるから、どうでも良いのですけど。

 そう言えば父上と暗殺された甥御さんは一緒に育てられたとかで仲が良く、商売にも興味を持っていたということで、とても親近感があります。

 ところで、祖父殺しの黒幕はやっぱり当時の王弟だったのでしょうか?




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