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第26層 新たに踊れ

 マロールの言う通り、こんなところで危険な目に遭ってる場合ではなかった。


「シズク、次の接敵で『特殊システム』を使う。一応そのつもりでいてくれ」


 そう告げる。


「は、はいぃ!ど、どーすればい、いいいんですかね??」


 シズクは上擦った声で返事をして、背筋を伸ばし右往左往している。


「特に何かしなきゃいけないわけじゃないが、能力値が格段に上がるからいつもと勝手が違うかもしれない。うまく自分で調整してやってくれ」


 シズクの肩を叩いて落ち着かせようとしてみたが、カチコチで落ち着くどころではない。

まぁ、戦闘になれば上手くやってくれるだろう。

俺はシズクよりも、もう1人の方が気になった。

シズクの影で落ち込んでるメーリィに目を向ける。


彼女は今まで3階層までしか降りたことがなく、初の5階層だった。

そして自分の迂闊さと驕りで死にかけたのだ。落ち込みもするだろう。


「メーリィ、さっきのは仕方ないさ、はじめての5階層だ、次は俺とシズクは『システム起動』をする。君はとにかく我が身の安全を考えてくれ」


 そう声をかけるとメーリィはシュンとなり俯く。


「ご、ごめんなさい。、わ、私、う、浮かれちゃって・・・」


 半泣きの声でさらに小さくなる。


あぁ、声かけに失敗した。


 俺はメーリィの頭に手を置き、俯いている彼女の顔を覗き込み、視線を合わせて


「大丈夫、失敗は俺たちがカバーする。だがこの仲間内で回復魔法が使えるのは君だけだ。最後の最後に頼るのは君しかいない。だからまず自分を守ってくれ。やれるか?」


 そう聞くと、落ち込んでいた彼女の顔が少し喝が入り、決意を新たに頷いて


「はい、そうですね。私は私の仕事をしなくちゃ!」

強い意志が瞳に宿ったのを確認して俺も自分の気持ちに喝を入れる.

「よし、次の戦闘に行くぞ!」

そう言って皆で前進する。


しばらく進むと広い場に出る。こういうところでは大型の魔物が出ると相場は決まっている。

俺たちはさらに警戒を強めた。

すると、地面から木の枝がメキメキと出てきて、それはどんどんと伸びて4m程の人の形を成す。

木人形ウッドゴーレムだった。

木人形ウッドゴーレムは中型くらいの大きさで動きは遅いが、一撃の重みはこの階層では他に類を見ない。ただ速度は遅いため当たらなければよい。

ただ形状に固定概念がなく、意外な形に成型されるので楽観視はできない。

そして厄介なのはその再生能力。

コアとなっている部分の魔力が枯渇するまで増殖再生を繰り返す厄介な相手だ。

俺はシズクに目線を送り頷いた後、

「特殊システム起動」

と呟く.

すると


特殊システム起動

相棒選択

▶︎メーリィ・カドマエ

 シズク・セキグチ


選択項目となる。

一つ気になったのはマロールの名がないことだったが、今はそれどころではない。

「相棒、シズク!」

と叫ぶと



『相棒と踊れ』(バディリンクシステム)

モード『長期持続型』(ヴィニーズワルツ)起動中

相棒バディ

▶シズク・セキグチ

 メーリィ・カドマエ


に切り替わる.

俺はすぐに木人形ウッドゴーレムに向かって駆ける。

だが、思ったより身体が重い感じがする。

いや、身体のキレは格段に上がり、先ほどまでとは別物になっている。

両の腕は力で漲り、さきほどより全然強い一撃を繰り出せる感覚はある。だが妙な違和感があった。

気になるのは


モード『長期持続型』(ヴィニーズワルツ)起動中


の文字。

 メーリィの『短期集中型(フォックストロット)』とは違うものだった。

違和感はそのせいだろう。

名前からして全体的な能力向上が『短期集中型』より低い分、長時間稼働に向いていると言ったところか。

 俺はメーリィと繋がっている時と違う感覚を、動いてみて自分の中で修正する。


「な、なんて・・・・こんなことって・・・」


 驚きの声を上げてるのはシズク。

自分の身体的異変に驚愕しているのだった。


「シズクっ!!敵が来るぞ!!」


 俺の声でシズクが我に返り、大盾を担ぎ直す。

木人形ウッドゴーレムは完全な人の形となり、ゆっくりと動き始める。

俺とシズクは木人形ウッドゴーレムの左右に分かれる。


 シズクは腰に挿してある小型の破砕槌メイスを右手に持ち、一気に木人形ウッドゴーレムに突撃して一撃を加える。

まだ形成されたばかりだったので外皮が固まっておらず楽に破壊できる。

出来立ての腕がシズクの一撃で粉砕される。


 反対側に回った俺も一気に腕と足を斬りとる。

木人形ウッドゴーレムはなす術なく地面に伏せる。


「ぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 シズクが急に吼える!!

俺もメーリィもびっくりする。

普段、物静かなシズクが人が変わったようだった。


「フーッ!!この力、すごすぎますっ!!」


シズクはまるで獅子が威嚇するように笑い、破壊された腕が再生し始めた木人形ウッドゴーレムにまた突撃をして、再生部分に一撃入れて砕く。

さらに頭と思われる部分にも一撃を入れてさらに大盾をまるで楔のようにぶっ刺す。

 俺は潰れた頭の奥に見える木人形ウッドゴーレムコアに剣を突き刺し、止めを刺す。

コアにひびが入り、木人形ウッドゴーレムはどんどん枯れていった。


 あっという間のことに、少し離れたところで事の顛末をじっと見ていたマロールは唖然とする。


「な…なんで、F級(Fランク)が…。5階層の木人形ウッドゴーレムとはいえ・・・こんなにあっさりと…。これが、デモントさまがおっしゃってたF級(Fランク)の新たな力…」



やれるようならもう一話いきたいっ!!

がんばります!!

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