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9 おっさん初仕事をする

「で、これはこのまま放っておいてもいいものなのか? それとも急ぎでやらないといけないこととかあるのか?」


 俺は事務室に散乱しているミミズ文字が書かれた書類を指差して尋ねた。


「ああっ、そうだ! 冒険者ギルドに提出する報告書って今日までだった!」


「はあっ? 今日!? それは早く言えよ!」


 アンジェは「ごめんなさ~い」と言いながらこうして初日からドタバタすることになった。

 まあ、その報告書はベテラン事務職の俺からすればどうってことないものだった。


 アンジェに話を聞いて、それをさくっとまとめるだけの簡単な仕事だ。


 午前中にはできたので、俺が冒険者ギルドに出しに行くことになった。




「そういえばこのパーティーに雇ってもらうならギルドに報告しないといけないな。ついでにその関係の手続もやってくるけど、そもそもこのパーティーってなんていう名前だ?」


 さっきまとめたばかりの報告書の最終チェックをしながら俺はアンジェに尋ねた。


「このパーティーの名前は『荒野に咲く華乙女団はなおとめだん』だよ。いい名前でしょう?」


「……」


「あれっ? ダメだった?」


「いや、ダメでもないし、確かにむさくるしい男が多い冒険者の世界で女の子たちだけのパーティーはまさに『華』なんだけどな。ただ、そんな名前のパーティーに俺みたいなおっさんがいることの違和感がハンパなくてな。俺ってここにいてもいいんだろうか……」


「ああ、何だ、そんなことか~。まあ、いいんじゃない? おじさんがクエストに出ることはないだろうし」


「しかし、事務職とはいえ、ハウスに閉じこもっているだけじゃないからな。ギルドに行って報告や調整もするし、場合によっては他のパーティーやクランとの折衝もある。全く俺が人目に触れないということにはならないぞ」


「う~ん、じゃあ、おじさんも女の子になればいいんじゃない? 女装でもする?」


「いや、それは勘弁してくれ」


 こんなおっさんが女装して誰得だよ。


 変な扉を開いてしまったらどうしてくれるんだ!


 ただでさえ嫁の来てがないのに。




「それじゃあ、報告書の提出と俺のパーティー加入の手続をしてくるぞ。他にギルドに用事があるんならついでにやってくるから何かないか?」


「う~ん、別にないかな?」


「わかった、じゃあ、行ってくるぞ」


 俺はそう言ってパーティーハウスを出た。




「おお、この場所はあそこか」


 俺は昨日、このパーティーハウスへ自分で来たらしいが、あの酒場からここまでどうやって来たのか未だにわからん。


 まあ、この街には長いこと住んでいるので周りの景色を見ればだいたいここがどのあたりかくらいはわかるというものだ。


 冒険者ギルドへは歩いて10分くらいというところだろう。


 俺は歩いて何度来たかわからない冒険者ギルドへと到着すると入り口の扉を開いた。


 

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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