75 おっさん天国へ行く?
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どのくらい寝ていたのだろう。
数分かもしれないし1時間くらいかもしれない。
俺は、ぱしゃっ、ぱしゃっという水音で目が覚めた。
俺が寝ぼけ眼でその水音の方に目を凝らすとそこには天使がいた。
視線の先には一糸まとわぬ生まれたままの姿で水場に入り、岩場から流れ落ちる水飛沫を気持ちよさそうに一身に浴びているサーシャの姿。
雪の様に白い肌に木洩れ日からこぼれた陽の光が降り注いでいる。
その景色はこの世のものとは思えないほどのものであった。
「おじさん、起きた?」
俺が目覚めたことに気付いたサーシャがこちらに視線を向ける。
小ぶりであるとはいえはっきりと女性のそれであるとわかるふくらんだ乳房が目に入った。
神様、ここが天国でしたか!
俺はサーシャの裸体から目を離すことができなかった。
「ちょっとサーシャさん! 何をなさっておられますの!」
ルージュも目を覚ましたのだろう。
全裸のサーシャの姿に気付き、大きな声を上げた。
「ん? 水浴び」
サーシャは何が問題なのかと首を傾げた。
「おじさまっ、見てはダメですわ!」
ルージュは俺の後ろに回り込むと後ろから両手で俺の目を塞いだ。
ルージュが勢い込んで俺に蜜着したのでルージュの豊かな双丘が俺の背中にくっついてゆがむ。背中にこれまで感じたことのないやわらかさを感じた。
あー、ひょっとして俺ってもう死ぬの?
なんか人生の残りの運を全部使い切った感じなんですけど?
「でも水浴びか~、ちょっと汗もかいちゃったしそれもいいね~」
「そりゃいいな。あたしも浴びたいぜ」
アンジェとユリアもいつの間にか目覚めたのか水浴びをしているサーシャを眺めている。
「レイアさんも浴びていきませんこと?」
「えっ、でも……」
レイアが俺を見るとみんなの視線も俺に集まった。
はいはい、ちょっと離れておきますよ。
「お~い、おっさん。覗くなよ~」
「おじさん、信じてるからね」
その声に押されて俺は泉に背を向けて泉とは反対側を向いている。
俺の背後からは「冷たーい」とはしゃく少女たちの声とパシャパシャと水を掛け合う声がした。
「おじさん、お待たせっ」
俺が地面に這うアリの数を数えて無我の境地に達してしばらくしたころ、水浴びを終えたアンジェたちがやってきた。
「そろそろ帰ろうぜ」
「そうですわね。もう、いい時間ですわ」
俺たちはそう言って森を出ると再び丘へと戻り、そのまま街へと戻ることにした。
行きと違って帰りは下り坂だから楽だ。
あまり時間を掛けずに俺たちの街の城壁にまで戻ることができた。
「今日は楽しかったわ」
城壁の中に入るとレイアがそう俺たちに礼を言った。
「あんまり大したことじゃなかったけどな」
「ふふっ、私にはちょうどいい休日だったわ」
心から満足してもらえたなら俺としても嬉しい。
昨日はちょっと荒れてたみたいだからな。
少しでも気分転換になったのならよかった。
「あ~、フレイアさん。探しましたよ!」
別れ際にやってきたのは体格のいい若い男だ。
どうやらレイアを探していたらしい。
「あらっ、ちょうどいい時間だったみたいね」
レイアはそう言うときりっとした表情をした。
俺も何度となく見てきた一流の冒険者の表情だ。
「みんな、今日はありがとう。また会いましょうね」
「うん、レイアさんも元気でね」
レイアはうちのリーダーであるアンジェとそう言葉を交わして握手した。
「おじさん、今日は楽しかったわ。また機会があれば、ね」
レイアは別れ際わざわざ俺に向かってそう声を掛けてきた。
「ああ、気を付けてな」
俺はいつかの酒場と同じようにそう返した。
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何て短いタイトルなんだ!
是非一度お試し下さい。
当初、ちゃんとした(ちょっとシリアス)作品を書こうと思って始めたのですが、どうしてもコメディっぽくなってしまう。
といいますか第1話から完全にコメディです。ありがとうございました。