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74 おっさん泉で休む

 ちょうどお昼の時間になったことから丘の上でシートを敷いて昼食を食べることにした。


 日差しが強いことから森に近い場所の木がまばらに生えている木陰ができているところを選んだ。


 ここで車座くるまざになって昼ご飯を食べる。


「クエストでお腹を満たすだけの携帯食を食べるのと趣がだいぶ違うわね」


 レイアがぽつりとそう口にした。


 おっさんはクエストに出ないからよくわからないがそういうもんなんだろうか?


「そうですわね。クエストで街の外に出ているときはゆっくり味わうということはありませんし。普段こうやって自然の中でゆっくりくつろぐということもありませんものね」


「まあ、普通は魔物を警戒しないといけないしな。でも、この範囲はまったくいないから安心していいぜ」


 ユリアのスキルの索敵能力はこういう場ではかなり役立つようだ。


 サーシャは黙々とお昼ご飯を食べている。


 マイペースでいいね、きみは。



 お昼ご飯を食べたら、ちょっと森の中へと入る。


 アンジェとユリアに先導されて俺たちはその後をついて行った。


「こっちに何かあるのかしら?」


「ああ、まあ、そこまでのものじゃないが、滝があるんだ。暑いときにはちょっとした隠れスポットだな」


 まだそんな季節ではないが、今日は天気もいいし、気温も上がっている。


 ちょっと水しぶきがあるくらいがちょうどいいかもしれない。


 森に入って5分。


 木々が途切れたかと思うと急に視界が開けた。


「は~い、到着で~す」


 アンジェが高らかにそう宣言すると、目の前には透き通った水で満たされた泉があり、側には岩でできた崖が競り上がっている。


 泉には崖から滔々(とうとう)と水が流れ落ち、水しぶきを上げている。


 高さはほんの5メートルくらいで滝としては小規模なものだが、森の中の静謐な空気と澄んだ水とがあいまって神秘的な雰囲気に包まれている。


「きれいね……」


 レイアはそう言って泉の側にまで歩みを進めた。


「うわ~、水が冷たいっ!」


 アンジェもレイアに続いて泉に近づき水に手を浸してそう口にした。


「喉がかわいたよ。飲んでも大丈夫だろ?」


 ユリアが上流に行き手で水を掬うと口に含んだ。


「う~ん、冷たくてうまい」


 満足そうなユリアの表情を見て他のみんなも続いて喉を潤した。


「あ~、なんか眠たくなってきたね~」


 アンジェはそう言って、泉近くの木陰にシートを敷いた。


「そうですわね。最近、ちょっと頑張り過ぎでしたし」


 ここ最近こなしたクエストは密度が濃いものだったからな。


 やはりみんな疲労が溜まっていたようだ。


 Cランクにあがったばかりだというのにギルドの指名依頼で成果を出し、Bランクのクエストに挑戦した。

 その上でBランクダンジョンには期間を空けずに潜ったのだからそれも仕方がないだろう。


 そういう俺はやはり昨日夜遅くまで飲んでいたのでやはり睡眠不足だ。


 ちらっとレイアに目を向けると同じく眠そうな感じだ。



「じゃあ、魔物避けを撒いてあと念のため誰か1人が起きとけばいいっしょ?」


「わたし、起きてる」


 サーシャが見張り役を申し出たので俺たちは思い思いにシートに横になって寝転んだ。


 仰向けになって空を見上げると木々の枝葉の隙間から木漏れ日がちらちらと目に入った。


 そしていつの間にか俺は眠りについていた。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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