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70 おっさん再び出会う

 冒険者ギルドは何やら大変なようだったが俺たちのパーティーは明日は休みだ。


 週に1度の全体の安息日ではなく、パーティーとして休日と定める日だ。


 ありがたくも俺のような事務職も休みにしてもらえているということもあり、その前日である今晩、俺は酒場に繰り出すつもりだ。


 遅くまで飲み歩いても明日は休日!


 朝早く起きなくてもいい!


 多少の羽目を外してもいいというこの解放感!


 アンジェたちパーティーのお子ちゃまたちが部屋で休んでいるのを後目しりめに俺はパーティーハウスを出て1人いつもの酒場へと向かった。


 いつもの酒場に入ると、もう多少遅い時間ということもあり人はまばらだった。


 うち以外は明日も普通に仕事の日だろうから仕方がない。


 いやいや、みなさま、お勤めご苦労様でありますな。


 俺はカウンターへと向かうとそこには一人先客がいた。


 赤色の髪の若い女性。


 そして特筆するべきでかさのちち


 間違えるはずもない。


 ちょっと前にこの酒場で出会ったレイアだ。



「お嬢さん、またお会いしましたね」


 俺はそう言ってレイアの隣の椅子に座った。


 俺がマスターに目線を送るとマスターが頷き、いつものエールが俺の前に用意された。


「う~ん、あら、この前のおじさん?」


 レイアの様子からして、もうかなり飲んでいることが伺えた。


 レイアの手にはウィスキーの入ったグラスがある。


 この、確かこの前はアルコール度数低めの果実酒飲んでたよな。


 今日は違うんだ。


 そう思いながら俺は駆けつけ1杯ということでエールをひと口。


 うん、いつもどおり美味い!


 やはり仕事終わりのエールは最高だ!


 休日前であればさらに上手さアップ、ドラドラバンバンだ。


「今日は随分飲んでいるようだな。明日は休みか?」


「ええ、というかしばらくは休みね。少なくともこの街にいる間は仕事をする予定はないわ」


 ほほぅ、エブリデーホリデーですか。


 それは羨ましいですな。


「じゃあ、この街での仕事は終わったんだな。お疲れ」


 俺はジョッキをレイアのグラスにチンと合わせた。


「ええ、まあ、終わりは終わりね」


 レイアは苦笑しながらそう言うとグラスを一気にあおった。


 そしてマスターにおかわりを要求する。


「おいおい、さすがにペースが早すぎだ」


 俺も苦笑いしながらジョッキに口を付けた。





 結局レイアは俺に仕事の話は何もしなかった。


 最初はただ無言で酒を飲む。


 そんな時間が続いた。


 彼女の隣で俺はただそれに付き合った。


 そんなとき、不意に彼女が口を開いた。


「ねぇ、おじさんも私の胸に興味があるの?」


 レイアはとろんとした潤んだ瞳で俺を見ながらそう言った。


「まっ、まあ、俺も男だからな。そんな立派なものを目の前にして興味がありませんとは言えないさ」


 レイアが身体ごとこっちを向いているのでレイアの胸元が大きく開いた魔女服とそこから飛び出すスイカのような大きな上乳が目の前にある。


 上から見下ろせば深い立派な谷間があり思わず視線を吸い寄せられてしまう。


 ただ、俺は紳士だからな。


 それを見ないようにと顔を反らした。


「ふふっ、おじさん、見ないようにしているつもりだろうけど、チラチラこっちを見てるわよ。でも不思議ね。おじさんにだったら見られてもいいと思っちゃうわ」


 えっ、それってどういうことですか?


 これが伝説のOKサインですか?


 くそ~、そういう経験がないから俺にはまったく判断がつかないぜ。


 ここでがっついて嫌われるのも嫌だしな~、かといって据え膳だったらもったいないし。


 う~ん。


「おじさんってホント面白いわね~。これはあれかしら? ひょっとしておじさんってどうて「さあっ、今日は飲もう。おじさんがおごっちゃうぞ!」


 何か不穏な単語が目の前の美女から出てきそうで思わずそれを遮った。


 そこはおじさんの聖域トップシークレットだからな!


 おいそれとは踏み込ませるわけにはいかないんだよ。


「ふふっ、じゃあごちそうになっちゃおうかしら」


「おお、飲め飲め。明日は休みだし俺も飲むからな!」


 こうして夜が更けるまで俺たちの夜は続いた。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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