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62 おっさんまたまたレベルアップする

 ケインが言った『炎獄えんごく』というのはいわゆる二つ名だ。


 ある程度有名な冒険者になるとその冒険者の戦闘スタイルやスキルにちなんだあだ名が付けられることがある。


 前にも言ったが俺の目の前にいるケインもAランク冒険者で『暴風』の二つ名持ちだ。


 人からは単に『暴風』とか『暴風のケイン』などと呼ばれている。


 くそ~。


 俺も子どものころは将来冒険者になって格好いい二つ名持ちになりたいと思ったものだ。


 話は戻るが確かケインのスキルは力系だったはずだ。

 で、その馬鹿力を使って本来両手で持つタイプの重たい斧を左右の手で1本ずつ持ち、それを二刀流で振り回して戦うとかいう意味不明な戦闘スタイルだ。


 その周りのものを根こそぎ巻き込んで粉砕するスタイルから『暴風』と呼ばれるようになったらしい。


 はっきり言って脳筋以外の何物でもないんだが、『脳筋ケイン』とか言ったらぶっ殺されるからこれは禁句だ。


 昔、そんなこと言ってぶっとばされた奴は一人や二人ではない。


「俺は冒険者じゃないから、この街の冒険者じゃない奴の二つ名持ちのこととかはあまり知らないな。しかし、そんなすごい奴がどうしてこの街に来たんだ? 観光か?」


「バカ言え! 冒険者が来るなんて理由は決まってるだろ? Aランクのパーティーと一緒らしいからな。こういえばわかるだろ?」


 はいはい、わかってますよ。


 クエストで来たかダンジョンに潜るかどっちかでしょ?


「この街に護衛で来る以外にはわざわざ他の街から来て受けるほどの大したクエストは出ていないはずだよな。ということは……」


「ダンジョンだろうな。しかもSランクの『炎獄』をヘルプでつけて遠征してくるレベルだ。ということは『嘆きの谷』の踏破が目的かもしれねーな」


 嘆きの谷か。


 冒険者でもない俺でも知っているこの街の近くにあるSランクに最も近いAランクダンジョンだ。


 たしか、踏破したパーティーはまだいなかったはずだ。


 このダンジョンはアンデッド系の魔物が多く、しかも魔物の量もかなりのもので一筋縄ではいかない冒険者泣かせのダンジョンということは聞いたことがある。


 まあ、うちのパーティーには縁がないダンジョンだな。


 そんな、うちに関係ないダンジョンの話は正直どうでもいい。


「で、その『炎獄えんごく』ってどんな奴なんだ? おっかない大男か? それとも魔法を極めたじいさんか?」


「俺も見たことはないが、まだ若い女らしい。魔法使いで爆炎系魔法の使い手って話だ」


「へ~、そいつはすごそうだな。辺り一面焦土にできるってわけか」


 そんなおっかない女とは関わりたくないな。


 くわばらくわばら。


 やっぱり平和が一番だぜ。


「ああ、しかもそれだけじゃない。女としてこっちの方もすごいらしいぜ」


 ケインはそう言って自分の胸の前に両手を持って来て手の平を自分に向けた。


 なるほど。


 その手はおっぱいを表しているんだな。


 その女はかなりのボインということか。


 そんな立派なものなら是非一度拝みたいものだ。


 そう言えば立派なおっぱいと言えばこの前会ったレイアも相当なものだったが彼女がひょっとしてそうなのだろうか?


 おそらく高ランクの冒険者だとは思うが、まぁ、そんな詮索は野暮だな。


 彼女は彼女だ。


 それにもう俺が関わることもないだろうしな。






 その後も取り留めもない話をして俺は酒場でケインと別れるとパーティーハウスへと戻った。


 さっさとケインの報告書を書いて明日、うちのと一緒に冒険者ギルドに出すことにしよう。


 そう思いながら事務室に入って報告書を書き上げると、俺の右手にあったマジックペンがまたまた光りだした。


 おいおい、この前レベルアップしたばっかりなのにもうレベルアップかよ。


 というか、レベル2になるまでの時間とそれからのギャップがひどすぎるんだがどうなってるんだ?


 ああっ、光が弱くなってきた!?



 ――マジックペン(レベル1・5:カラーペン)


『色々の色のペン。ペン先の太さを極細・細・普通・太・極太から選ぶことができる。インクの代わりに魔力を消費する。キャップは虹色』



 すみません、すみません。


 レベルアップ超うれしいです!


 今さら『はずれ』の進化とか勘弁して下さい。


 もう文句は言いませんから。


 俺の祈りが通じたのか、マジックペンは再び強く光りだし、そして事務室いっぱいに広がり、そして弾けた。



 ――マジックペン(レベル4:属性付与のペン)


『物(生物を除く)に対して属性を付与することができる。ただし、使用者・被使用者自身に効果を与える内容の付与はできない。なお、付与の内容に応じた魔力を消費する。属性の種類はキャップの色による。赤色:火属性、青色:水属性、緑色:風属性、茶色:土属性、黄色:聖属性』



 おおっ、こっちはレベル3の『付与のペン』の進化版だな。


 どうやら属性の付与ができるようだ。


 といっても事務職のおっさんにはイマイチどこまで価値があるのか正直よくわからん。


 明日みんなとケインに話をしてそれとなく聞いてみることにした。

 小数点の表記については縦書きで読まれる方もいるかもしれないということで前作からではありますが「.」ではなく「・」【中黒点表記】としています。横書きで読まれる方は読みにくいかもしれませんがご容赦下さい。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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