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54 おっさん付与魔法を使う

 

「これでどうだっ!」



 俺はマジックペンを右手に顕現させるとアンジェの冒険用の服に「防御力+10」と書き込んだ。


 光の粒子が服全体を覆っていく。


 そして俺はその光が収まったころを見計らって鑑定スキルを発動させた。



 ――シルバースパイダーの糸の冒険服(状態:普通)


 防御力 25(付与魔法により+10補正済み。補正期間1週間)




「よしっ、上手くいったな!」


 俺は先日レベルアップした『マジックペン』で付与魔法での装備強化に挑戦している。


 どうやら付与する内容レベルと注ぎ込む魔力の量の相関関係によって補正期間が決まるようだ。


 付与するレベルが高いほど魔力を消費するので、その場合はより魔力を注がないと十分な補正期間を得られない。


 装備の強化はケインからの助言でまずは防御力アップをメインにということになった。


 まあ、言われるまでもなく命あっての物種なので当然と言えば当然だろう。


 ただ、うちのパーティーはみんな華奢な女の子たちだ。


 金属製の鎧なんかはいくら付与魔法で重量を軽減できたとしてもやはり重たいだろう。


 付与魔法ギルドに行ってどんな付与魔法を依頼することができのか調べてみたところ、重量軽減という付与魔法もあるそうだがそれでも軽減できる程度はそこまでではない、というのが付与魔法界の常識らしい。

 割合でいうと、10%から20%がせいぜいだそうだ。


 それにやはり動きづらいことは間違いないので、機動性を重視してきたうちのたちにとっては大きな足枷になる。


 


「おじさん、どう? 上手くいった?」


 俺が事務室で試行錯誤をしているとアンジェが進捗状況の確認に来た。


「ああ、防御力が倍近い25になったぞ」


「ほんと! よかった~。革の鎧にすることも考えてたんだけど、やっぱり動きづらいからね~」


 金属製の鎧を選択肢から外すとなると候補となるのは革の鎧だ。


 しかし、革といってもその種類は本当にピンからキリまである。


 Sランク以上の冒険者になるとドラゴンの革、というか鱗の鎧を使っているという噂を聞いたことがあるがこれが上の方。


 下の方はオークの革を使った汎用的な鎧だ。


 こちらは初心者冒険者御用達で大変リーズナブルではあるのだが、いかんせん防御力は低く、その割には重い。


 そして着心地が悪く身体も動かしづらい。


 あと、どんなに処理を施しても特有の臭いが残るという装備した当人は勿論、周囲にも影響するパーティー泣かせの一品だ。


 初心者冒険者は、このオークの革の鎧を早く卒業したくて頑張るらしく、笑い話で冒険者ギルドがわざとオークの革の鎧には特有の臭いを残させているのではないかという話があるくらいだ。


 まあ、これは冒険者業界のいわゆる都市伝説というやつだ。


 今のところ『華乙女団』のみんなの装備はまずは俺の付与魔法で強化できる程度を確認して、今後は、身体の部分部分を保護するプロテクターのような装備を併用していく予定だ。


 アンジェがうれしそうに付与を終えたばかりの服を持って事務室から出ていくと、俺は次にユリアとサーシャから預かっていた冒険用の服にも同じように防御力アップの付与を施した。


 マジックペンを使うとその内容に見合った魔力を消費することになっている。


 ひょっとすると1つに付与をしたらもう魔力切れになったりしないか心配だったんだが、今のところその兆候もなさそうだ。


 技術的に使えるけど魔力量の都合で思うように使えないとなれば、それは最初から使えないのと同じだ。


 そういうことにならなくて良かった。


 俺はほっと胸をなでおろした。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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