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52 おっさん再びレベルアップする

 俺が報告書を書いている間、ケインはアンジェたちの訓練の様子を見ている。


 そしてしばらくして俺が報告書を書き上げたその瞬間、再び()()()()と同じ現象が起こった。


 急に俺の『アーティファクト』であるマジックペンが突然光り出したのだ。


「おっ、おい、いったい何だ!?」


 突然のことに俺の向かいに座っていたケインが慌てふためく。


 しかし、俺の心は期待のドキドキはあったものの気持ち自体は落ち着いていた。


 この光は俺にとって、幸運の光だ。


 やがて光が収まると、俺はすぐさま『マジックペン』のステータスを確認する。


 いつの間にか訓練をしていたアンジェたちも俺の近くに集まってきていた。


 まあ、あれだけ派手に光が出れば気付くのは当然だし、前回のこともあるので当然レベルアップへの期待だろう。


 もっとも、その期待が一番大きいのは俺のものであることは間違いないだろうが。




 ――マジックペン(レベル3:付与のペン)


『物(生物を除く)に対してマジックペンで記載した内容の性質、性能を付与することができる。ただし、属性に関する付与や使用者・被使用者自身に効果を与える内容の付与はできない。なお、付与の内容に応じた魔力を消費する。キャップは紫色』




 おおっ、何かすごそうだぞ!


 俺はステータスに出ている内容をみんなに話した。


「へ~、ってことは付与魔法と同じことができるってことか。そりゃあ使えそうだな」


 ケインは俺のアーティファクトのレベルが上がったことを喜んでくれた。古巣にいたときから内心、俺のことを心配してくれていたらしい。

 長い間、古巣では俺のアーティファクトは物笑いの種だったが、確かにケインは一度たりとも俺をからかったことはなかった。


 俺は先日使えるようになった『修繕・修復能力』についてもケインに話したところ、ケインは自分のことのように喜んでくれた。


「そんなことができるんなら、もう自分で商売ができるんじゃないか?」


 ケインはそう言うが、俺としてはパーティーのメンバー以外に今のところこの力を使うつもりはない。

 この『マジックペン』の性能を大っぴらに使えば、武具の修復をする武具工房や付与魔法を扱う付与魔法ギルドとの間で軋轢あつれきが生じかねない。

 そうなると、いざというときにうちのパーティーから依頼をしなければならないという場合、嫌がらせで拒否されるということにもなりかねない。

 結局、長い目でみればうちのパーティーにとってはマイナスになってしまう。


 だから、もしもそういう商売をするのであれば、俺自身がきちんと武具の工房や付与魔法ギルドに所属して正規の立ち場で仕事をするべきだろう。


 ただ、今のところ、俺はこのパーティーのために働くことしか考えていない。


 俺としては、秘密を守ってもらえる信頼できる奴に対しては格安で対応するということは考えているが、せいぜいその程度だ。


 マジックペンのレベルが上がったことでこれまで考えなくてもよかったことまで考えて動かなければいけなくなった。


 それはそれで大変なことだが、これは今まで味わいたくても味わえなかった苦労だ。


 そのありがたみを今はしっかりと感謝しよう。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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