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51 おっさん訓練に付き合う

 反省会をした翌日はパーティーの臨時休日となった。


 一方の俺はというとこの前の契約変更によってみんなに合わせて今日はめでたくお休みだ。


 ヒャッホー!


 ついに俺は解き放たれた!


 と言いたいところだがみんな午前中は休むものの午後からは昨日の反省会を踏まえて訓練をする予定という話だ。


 みんなが午後から頑張るというのなら、俺も裏方としてそれ相応のことはしておくべきだろう。


 みんなが午前中ゆっくりと骨休みをしている間、俺はみんなの武器や防具などを点検した。


 今回はBランクのクエストで武器にもかなりの負担がかかっているはずだ。


 訓練をするにしても破損した武具を使うことは止めた方がいいだろう。


 それ以前に、ここ最近、パーティーの活動が活発になっているので他にも点検しておいた方がよさそうだ。


 俺が鑑定するとアンジェの鉄の剣とユリアの革の靴の状態が良くなかった。


 これ以上悪くなる前に『マジックペン』を使って修理しておいた。


 しかし、この『マジックペン』で修理できるのはパーティーの懐的ふところてきにはかなり助かる。


 昔から事務方で経理処理をすることも多いが、この修理費用というのはやはりバカにならない。


 勿論、新しく買うことに比べれば安いものだが汎用装備はどうしてもそれなり品質であるため、保守のコストを考えておかないといけない。


 よく新人冒険者が大枚をはたいて手持ちギリギリの武器を買ったはいいが、状態が悪化しても手持ちがなくて修理もろくろくできないという話をよく聞く。

 その場合、騙し騙し使って結局修復不可能なほどの破損に至ってしまうということも多いようだ。


 武器を買うときは、その後の維持コストも考えておく必要がある。





 昼食後は昨夜確認した反省点を踏まえて、みんなはお互いの連携の取り方を確認している。


 ここはパーティーハウスの庭。


 この家は冒険者用のパーティーハウスだけあって庭は広くとられている。


 冒険者の訓練の他、野外パーティーに対応できるようにということのようだ。


 今日はパーティーハウスの庭でみんなが訓練をしているのに俺も付き合っていた。


『おじさんは休みなんだから付き合わなくてもいいよ』


 アンジェはそう言ってくれたのだが事務職だからって1人別行動で休日を謳歌するというのは間違っているだろう。


 俺たちは一つのパーティー(チーム)なんだから。


 俺は別に戦闘職ではないので一緒にいたとしても役に立つとは思えなかったが何か気付くことがあるかもしれないと庭の隅からみんなの動きを眺めていた。



「おうっ、邪魔するぜっ」


 庭に入ってそう声を掛けてきたのは俺の古巣の仲間だったケインだ。


 俺とケインはこの前契約して俺はケインパーティーの報告書や事務書類を作成することになっている。


「どうした? 今日は休みか?」


「まあ、そんなところだ。ちょっと昨日急遽クエストを受けてよ。その内容的にギルドに早めに報告した方がいいかどうか聞きたかったんだ。で、お前に相談がてら話をしてどうせだったらいっそのこと報告書を作ってもらおうと思ってな」 


 ケインとは週に1、2度酒場で話を聞くという予定になっている。


 しかし、俺がケインに対して、事前にクエストでいつもと変わったことや違和感を覚えることがあったら早めに連絡して欲しいと伝えていたのだ。


 今日は俺もケインも休みでちょうどいいタイミングだったようだ。


「わかった。じゃあ、話を聞こうか」


 早速ということで訓練しているアンジェたちをしり目に、俺はケインから話を聞くための準備をすることにした。


 パーティーハウスから簡易的なテーブルと椅子を庭先へと持ち出し、セットする。


 俺とケインはそこに座って、まず話を聞くことから始めた。


「ふ~ん、なるほど。その場所にグレイウルフか。確かに以前であればそんな場所に出没はしなかったな。だが、最近はそこら辺りにも出るって情報は俺も把握している。ギルド経由の情報だから当然ギルドは把握してるだろうから慌てて報告する必要はないな」

「そうか、だったらいいさ。俺たちも最近あの辺に行ってなかったしな。まあ、何となく『あれ?』って思っただけだからな。特に何もないならそれでいいさ」

「そうだな。でもせっかくだから今回の分の報告書は早めに作ってしまっておこう。ちょっと時間をもらってもいいか?」

「ああ、今日は別に予定は入ってないからな。それに嬢ちゃんたちも何か訓練しているみたいだし、お前が報告書を書いてる間、嬢ちゃんたちの動きでも見ておくさ」


 ケインが俺に報告書などを依頼する条件の一つとしてケインにアンジェたちの助言や指導を頼んでいる。


 現役のAランク冒険者でありAランクパーティーのリーダーでもあるケインから直接指導をしてもらえるということは得難い経験だ。


 俺はケインと雑談混じりの話をしながら情報を聞き取ると、早速報告書を書き始めた。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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