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50 そのころの古巣10

 ここまで読んでいただきありとうございます。

 おかげさまで50話到達です(1話1話は短くて恐縮ですが)。


「くそっ、どうなってんだ!」



 魔道コンピューターの前でそう悪態をついたのはSランククラン『鋼の戦線』のクランマスターであるガルムだ。

 腹心であり、魔道コンピューターを使っての報告書作成を任せていたダニーが急遽入院したためやむを得ずマスターであるガルム自身が作ろうとしている。


 ガルムとしては報告書を手書きのものに戻すという選択肢はない。


 そうすると、誰かが魔道コンピューターを使って作業をしなければならないが、ダニー以外にこのクランには魔道コンピューターを使って作業できそうな人材はいなかった。


「ちっ、脳筋ばっかりで嫌になるな」


 ガルムはそう虚勢を張るが、そう言ったところでどうにもならない。


 仕方なく、魔道コンピューターを扱える専門の事務職を雇い入れることにした。


 商業ギルドを通じて募集をしたが、当初提示した給料では応募がまったくなかった。


 魔道コンピューターを使いこなす能力は専門技術であるため、それなりの給料を積まないと応募がないということだった。

 結局、トミーに支払っていた給料よりも高い給料を提示することでようやく一人の若者を雇うことができた。



(まあ、クランの隠し財産があるから問題ないがな。しかし、あのおっさんの給料よりも高いってどういうことだ) 




 そして新たに雇った事務職の若い男がクランハウスに出勤してきた。


「この僕を雇うとはあなたはなかなか見る目があるね。いいだろう、僕の力を貸してやろう。この王国学院主席卒業のクリストフの力をな」


 そう言うと男は自分のメガネをくいっと上に押し上げた。


 見るからに線が細く、ほとんど外に出ないのだろう。


 その顔色は青白い。


 体格はひょろりと細長く、ひと押しするとどこか折れてしまいそうだ。


 この男のあまりにもあまりの態度に、さすがのガルムとはいえ一瞬閉口した。


 しかし、こいつがいないと報告書を作れない。


 ガルムは我慢して頬をひくつかせながら挨拶を返した。


「さっそくで悪いんだが、報告書の提出期限が迫っている。急ぎで直ぐにとりかかってくれ」


「ああ、わかった。おっとその前に。僕との契約書はまだだろう? まずはこれからだ。こちらで作っておいたからこれに署名をしてくれたまえ」


 ガルムは、毎月の給料のところだけをさっと確認して自分の提示の通りの金額だったことから問題ないと判断して直ぐに署名した。


「では、直ぐにとりかかろう。報告書に書くべき内容を話してくれたまえ」



(いちいち鼻につく態度だなっ!)



 ガルムはそう心の中で悪態をついたがようやく雇い入れることができた人材だ。


 ガルムは、湧き上がる怒りを抑えながらも自分のパーティーのメンバーの一人を呼び、聞き取りをさせることにして自分は自分の仕事をすることにした。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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