5 おっさんピンチに陥る
「う~、頭いてぇ、流石に昨日は飲み過ぎたか」
目を覚ますと俺はどことも知らない部屋のベッドの上にいた。
「そういえば、ここはどこだ? 昨日俺は寮を追い出されて、酒場で飲んで……。ダメだ、酒場でエールを飲んでたとこまでしか覚えてねぇ、ここは一体どこだ?」
――ふにょん
そう言ってベッドから立ち上がろうとして布団に手をついたところ、何か手にやわらかな感触を感じた。
「何だ?」
――ふにょん、ふにょん
よくわからないながらも、ずっと感じていたい感触に思わず二度三度と触ってみた。
「んっ、あんっ。もう、おっさん、朝っぱらからなんなんだよ。ひょっとしてあたしとシたいのか?」
布団の中から出てきたのはショートカットの茶色の髪をした若い女の子だ。
はっきりとした目鼻立ちに意思の強そうな瞳をしている。
はすっぱな口調ではあるが肌のキメは細かく女の子としてきちんとした手入れをしていることが伺える。
「えっ!? えっ!?」
正直俺は混乱した。
何でここに女の子が?
俺が連れ込んだ?
いやいや、そもそもここは俺の部屋ではない。
俺にはもう帰る部屋もないしここは宿でもなさそうだ。
ということは俺が連れ込まれた?
こんな若い女の子に?
「んっ、どうした? そんな鳩が豆鉄砲食らったような顔をして。まさかおっさん、昨日のあの『熱い夜』のこと、忘れっちまったんじゃないだろうな?」
熱い夜!?
いや、待て落ち着け!
いいか、まず俺は童貞。
そんなチェリーの俺が酒の勢いとはいえそんな大それたことをできるわけがない。
「オーケー、まずは落ち着こう」
「いや、おっさん。そうは言いながらも手、震えてるからな」
いやだってさ、起きたらどこともわからないところで隣には若い女の子が寝てるって完全に事案じゃねーかよ。
終わった。
社会的に完全に終わったな。
慰謝料いくらで許してくれるかな?
もう辞めたとはいえSランククランの職員だったからな~、冒険者タイムズに載ってしまったら再就職とか完全にアウトじゃねーか。
いや、待て。
俺の様な社会経験豊富な男ともなればこういう窮地を切り抜けられる方法の1つや2つは持っているものだ。
そこらの若造どもには真似できないだろうがな。
くくくっ……。
俺の頭脳はこの場面を切り抜ける最適な方法を導きだした。
この場面ではこれしかない!
――ずささ~
「もっ、申し訳ありませんでしたぁ~。何卒、何卒お慈悲を~」
俺は自分の年齢よりも一回り以上年下だろう女の子に対して、DOGEZAした。
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