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48 おっさんいろいろ確認する


「アンジェ、複数のパーティーが参加するクエストのルールはわかってるだろうな?」



「ばっ、バカにしないでよっ。これでもボクはリーダーだよ!」


 俺からの問いにアンジェが胸を張って答えた。


「じゃあ、説明してみてくれよ」


「うぐっ、え~っと、先着の他のパーティーが既に交戦中のときは無断で手出ししてはいけない。その場合は先着パーティーの許可を得ないと戦闘に参加できない、だよね?」


「ああ、ただし、基本的には、だな。離れている自分たちに魔物の方から迫ってくれば当然防衛のための攻撃は認められる。そうでなくても先着パーティーが壊滅状態で意思確認をするだけの余裕がなければ緊急的に参戦することが認められている。ただ、壊滅状態で意思確認ができたかどうかで後々揉めることがないわけではないので、そこは慎重な判断が必要だけどな」


「わかったよ。じゃあ、もう行っていいかな?」


「いや、待て待て。受付できちんと同じクエストを受けたパーティーの名称とメンバーの特徴を確認したか? あくまでもうちが義理立てするのは『正規に』冒険者ギルドのクエストを受けて参加しているパーティーにだけだ。偶然居合わせたパーティーには義理立てする必要はない。むしろこちらはギルドの正規クエストとして受けているんだから後に着いてもこちらが優先だ。そのときはギルドの『クエスト受理票』をきちんと示すんだぞ!」


「うっ、うん、わかったよ、おじさん」


 アンジェたちは、もう一度受付へと戻ってクエストの内容と同じクエストを受けている他のパーティーの詳細を確認した。


 そして確認を終えると改めてギルドの扉から出て行った。




 さて、俺は俺の仕事をするか。


 俺はアンジェたちがクエストから戻ってきたときに直ぐに報告書を作成できるように、事前に書ける部分はある程度書いてしまっておく。


 勿論、アンジェたちから聞き取らないと書けない部分は空けておいて、聞き取りをしてから埋めるようにする。


 こうやって事前に準備しておけば、何をアンジェたちから聞き取る必要があるかを事前に把握でき、要点を絞った聞き取りができる。

 

 聞き取らなければならないことの漏れも防ぐことができるしな。

 

 他にも空いた時間に、今後アンジェたちが受けることになりそうなクエストの情報をまとめておこう。


 まずは、この街周辺の地域ごとに出没する魔物や魔獣についての情報を確認しておくことにした。

 

 クエストを受ける前に出没する魔物や魔獣の情報があれば当然、それに合わせた準備ができる。


 効率の面でも安全の面でも大いに役立つだろう。


 それから情報は古いものではなく、最新のものを確認しておこう。


 俺も長い間この業界にいるので大体の情報は把握している。


 しかし、俺が持っている情報が既に古くなっている可能性は否定できない。


 特に俺はこれまでSランククランにいたからアップデートしていた情報はSランクからせいぜいAランクのクエストについてのものだ。


 Cランクパーティーの『華乙女団』が受けるレベルのクエストの情報はそこまで確認していないから穴を埋めておく必要がある。


 こうして俺も情報を把握することでアンジェたちから聞き取った情報と既存の情報とのズレを確認することができる。


 そうするとギルドに報告するべき『異常』があるかどうかの判断にも役立つ。

 

 先日の『北の森』の異常はこういう地道な準備をしていたからこそ気付けたことだ。


 今後も続けていこう。

 

 ギルドに提供した情報が有用な情報の場合、ギルドポイントが加算されてパーティーランクのアップにつながるので意外とバカにできない。


 単にクエストをこなすだけでなく、それ以外にもポイントになることはあるので、その点のフォローをするのも事務職の仕事だろう。


 さらに重要な情報だった場合には金一封が出るからな。


 何かと物入りの中ランクパーティーにとっては、これは大きな臨時収入だ。


 俺はギルドに張り出されている最近のクエストの傾向をざっくりと把握するとギルドの2階にある図書室に向かい、情報を収集しておいた。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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