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47 おっさん助言する


「う~ん、どうしたらいいのかな~」



 ある夜、俺が風呂から上がると食堂で俺以外のパーティーメンバーが集まってなにやら話をしていた。


 こうやって一歩離れてみると完全に女子会だな。


 そもそも俺は冒険者でもないしこの空間に入り込む隙間が見当たらない。


「あっ、おじさん。ちょっと話を聞いてよ」


 俺の視線に気付いたアンジェがそう言って俺を誘った。


 アンジェの話によると、明日受けるクエストについて悩んでいるってことだった。


 クエストにはそれぞれ難易度が設定されていて、自分たちのパーティーランクと同じランクのものを受けることができる他に、ワンランクだけ高いクエストに挑戦することも可能だ。


「要は今のレベルに合わせた安全なクエストをするか、ちょっと背伸びをするかということだな?」


「そうそう、ボクたちももっと早く上のランクに上がりたいからね。そのためにはギルドポイントの多い、ランクの高いクエストを受けた方が効率がいいと思うんだ」


 ランク、すなわち難易度が高いクエストの方が当然のことながらギルドへの貢献度、ギルドポイントが高く設定されている。


 アンジェとユリアは積極派、ルージュは慎重派、サーシャは態度保留どうでもいいらしい。


 先日、冒険者ギルドから指名されて参加した調査隊のクエストからそこまで時間が経っているわけではない。


「そうだな~、俺は基本的にはルージュの立場に賛成だな。この前の表彰でギルドポイントはCランクの半ばくらいまで上がってはいるがこなしたクエストの数はまだまだだ。上に上がりたいのはわかるけどまだCランクになったばかりだろう? ちょっと急ぎ過ぎだ」


 俺の言葉にアンジェとユリアは不満気な表情を浮かべ、ルージュは得意気だ。


「ただ、クエストの条件次第では上のランクのクエストを受けてみてもいいかもしれないな。どんなクエストが候補なんだ?」






 次の日、俺たちは朝から連れ立って冒険者ギルドへとやってきた。


 普通、俺はみんなに同行しないが、今日はちょっと特別だ。


 俺はギルドの受付へ行き、アンジェが受けるかどうか悩んでいるクエストについて確認してみた。


「そのクエストでしたら複数受任指定案件ですね。既にアンジェさんたちと同じCランクの他のパーティーとBランクのパーティーも受けてますよ」


「そうですか。まだ枠は残ってます? うちが受けても大丈夫ですか?」


「ええ、枠は残ってますので問題ないですよ」


 冒険者ギルドが斡旋するクエストには複数のパーティーが同時に受けることができる依頼が存在する。


 今回アンジェが検討していたクエストもその種類のクエストだった。


 俺が確認したのは、このクエストを既に他のパーティーが受任しているかどうかだ。


 ある程度ランクが高いクエストになるとギルドも万全を期すため、可能な限り複数のパーティーが受任できる形でクエストを出す。

 この種の依頼は受任を独占できないので嫌うパーティーも少なくはない。

 ただ、他のパーティーも参加するということは競争相手になる反面、安全面からみればメリットにはなる。

 冒険者ギルドからクエスト実施日と時間が指定されているので受けているパーティーはその時間に現地に集合だ。


 俺がわざわざ受付で確認したのは複数受任指定案件になっているとはいっても必ずしも他のパーティーがこのクエストを受任しているとは限らないことによる。

 

 身の安全を第一に考える俺としてはよほど達成に自信があるのでなければそのようなクエストは避けた方がいいと思っている。

 

 特に自分たちのランクよりも高いランクのクエストであれば猶更だ。


「どうする? 今ならまだ受任できるらしいぞ?」


 アンジェたちは臨時の話し合いを始め、直ぐに結論を出した。


 こうしてCランクパーティー『荒野に咲く華乙女団』は初めてBランククエストを受けることになった。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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