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4 そのころの古巣1

※ 第三者視点です


「はっはっはー、とうとうあの目障りなおっさんを追い出してやったぜ~」



 トミーがクランを追放されたその日。


 クランハウスのマスタールームでは事務机の上に足を投げ出し、ふんぞり返るガルムの姿があった。


「いえ、まったくですよ。我々が外で命を掛けて戦っているというのにあの男はこんな安全なところでちまちま書類を書くだけで一人前面いちにんまえづらをしてましたからねぇ」


 ガルムに追従するのはガルムの腰ぎんちゃくであるダニーだ。


「で、魔道コンピューターはどうだ?」


「ええ、先ほどセッティングが終わりまして、直ぐに使えると思いますよ」


「そうか。まあ、高い買い物だったがあいつに毎月給料を払うことを考えれば安いもんだろう」


「ええ、報告書はそれぞれのパーティーが作るようにすればいいでしょう」


 このSランククラン『鋼の戦線』は現在4つのパーティーで構成されている。


 勿論、クエストやミッションの内容によりパーティーのメンバーを入れ替えることもあるが、ここ最近はほぼ固定のパーティーとなっている。





「なんだよこれ、全然できないじゃねーか!」


 魔道コンピューターを前にして1人の男が怒鳴り散らした。


 この不平を言っているのは『鋼の戦線』を構成する4つのパーティーのうちの1つ、通称『ヴィクトールパーティー』のリーダーであるヴィクトール本人だ。


 クランマスターのガルムから魔道コンピューターで報告書は簡単にできるからと各パーティーで作成するよう言われてやろうとしたところこの結果だ。


 キーボードなるもので文字を打ち込む構造になっているのだが、そもそも慣れていないと文字の配列がよくわからず、目当ての文字が見つからない。

 

 一つの単語を打ち込むだけでかなりの時間が掛かってしまった。


 そもそもコンピューターとはあっという間に書類ができてしまう魔法の箱ではなかったのか。


 話が違うと眉間にしわが寄る。



「おい、早くしろよ! 後がつかえてるんだぞ!」


 もう一つのパーティーのリーダーであるケインがクエストから戻ってきて魔道コンピューターを使おうとするがコンピューターは1台しかない。


「ちょっと待ってろよ。今俺が使ってるんだ」


「もうどれだけ時間が経ったと思ってるんだ! 早くしねーと酒場がしまっちまうだろうが!」



 トミーが追放されたその日からクランには不協和音が溢れていた。


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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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