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36 おっさん古巣の仲間を紹介する

 

「お~い、トミ~、いるか~」



 パーティーハウスの玄関先から俺を呼ぶ声がする。


 この声はケインの声だ。


 時間はお昼過ぎ。


 昼食を終えて一服した後、午後の昼下がりだ。


 俺はケインに頼まれていた報告書を手に持って玄関へと向かった。


「おう、いやがったな」


「ほれ、頼まれてた報告書。できたからさっさとギルドに出してこい」


「すまねぇな。それともう1つちょっと頼みたいことができちまってな……」


「んっ、何だ? 他にも何かあるのか?」


「ねぇ、おじさん。玄関で立ち話もなんだし中に入ってもらったら?」


 俺たちが玄関で話をしていると後ろからアンジェにそう声を掛けられた。


「いいのか?」


「ボクたちは大丈夫だよ、むしろいないものと思ってくれて構わないから」


 よく見るとアンジェ以外の他のパーティーメンバーたちもホールの影から俺たちの方を見ていた。


 そんな注目されるようなことをしてる気はないんだけど、俺たちのことがみんな気になるらしい。


「どうする? 入るか?」


「そっちがいいんだったら頼むぜ。まあ、ちっと込み入った話になりそうだしな」


 ケインも何か事情があるようなのでケインをパーティーハウスに迎え入れた。


 パーティーハウスは玄関からホールに入ると、正面に2階へとつながる階段がある。


 2階は主に俺たちパーティーメンバーの個室がある。


 そのため基本的に客を2階に案内することはない。


 ホールに入って向かって右側がいつも俺たちがみんなで食事をとっている食堂がある。


 飯時以外ではここで会議をしたりだべったりしている。


 ここがこのパーティーハウスの応接室も兼ねているので俺はケインをここに案内してテーブル席の椅子を勧めた。


 俺たちに続いてパーティーの仲間たちも同じ部屋に集まってきた。


「最初に紹介しとくな。こいつは俺の古巣、『鋼の戦線』で冒険者をしているケインだ。俺のなじみでAランクの冒険者だな」


「ええっ! 『鋼の戦線』のケインさんっていったら、あの『暴風』のケイン!?」


「ひゅ~、超有名人じゃん!」


 そうだった。


 あまりにも慣れ過ぎてマヒしてしまっているが、こいつ、いわゆる『二つ名』持ちなんだよな~。


 それにしても同じ前衛の冒険者だからかアンジェとユリアの食い付きがすごい。


 何か目がキラキラしてないか?


 おっさんちょっとジェラシーだな……。


 まあ、いい。


「ケイン、この4人が今の俺のパーティーの仲間たちだ」


 俺がそう言ってケインにみんなを紹介するとみんなは軽くケインに会釈した。


「おう、嬢ちゃんたち。俺はケイン、紹介されたとおりAランクの冒険者だ。トミーが世話になってるな。こいつ、仕事はできるが結構抜けてるところがあるからな、しっかり支えてやってくれ」


 抜けてるとは何だ!


 俺自身、自分をさすがに完璧とまでは言わないが、『準璧』くらいにはなってると思うぞ? たぶん……。


「それで、他に話ってなんだ?」


「ああ、今せっかく紹介してもらっといてなんなんだが一つ訂正しておかないといけないことがあってな……」


 俺たちは、目の前で「コホン」と咳払いするケインの言葉を待つことにした。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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