32 おっさん労(ねぎら)う
夕食を終えてみんなは風呂に入ると流石に疲れが出たのかさっさと各自の部屋へと戻った。
俺はといえばいつもどおりに最後に風呂を浴びて清潔な衣服に着替え、今、ユリアの部屋の前にいる。
――ごくり
こんな時間に若い女の子の部屋に行ったことなんてこれまで俺の人生であっただろうか。
ただ俺のこのパーティーハウスでの記憶はユリアの部屋のベッドからだったな。
あのときは俺もいっぱいいっぱいで手に残った感触はおっぱいおっぱいでもう何がなんだかわからなかった。
まあ、記憶に残ってないだけで俺は夜遅くにこの部屋に来たことがあるということだろう。
それではいざっ!
――こんこんこん
『あ~、おっさん? 入っていいぜ』
夜も遅いということで俺が軽くドアをノックすると中からユリアの声が聞こえた。
「……おじゃましま~す」
俺はゆっくりとドアを開けると恐る恐るユリアの部屋を覗いた。
ユリアの部屋はベッドがある他はこれといって大した家具は置かれていない。
壁際の棚には冒険用の装備一式があるところがやはり冒険者というところでそれ以外はさっぱり系女子の部屋というところだ。
ベッドの布団類の色は白色で統一されていて清潔感が溢れている。
口調のせいで大雑把に見える彼女だがそこのところはきっちり女の子をしている。
「おー、待ってたぜ!」
ドアを静かに閉めて部屋の中へと進むとベッドに寝転んでいたユリアが身体を起こしてベッドの上で胡坐をかいた。
ユリアの服装を見て一瞬俺の心臓が跳ねた。
上半身は丈の短いタンクトップでへそが丸見えだ。
下半身はショートパンツの更に丈が短いタイプ、あまり詳しくないがホットパンツと呼ばれるものだろう。
「んっ、なんだおっさん、そんな呆けた顔して」
「あっ、いやっ、そのっ」
「まあ、いいや。じゃあ、さっそく頼むぜ、さっきも言ったけどふくらはぎがもうパンパンなんだ」
ユリアは俺の様子など気にせず、ベッドにうつ伏せになった。
俺の目の前にはしなやかなユリアの生足がある。
ユリアの体型のいいところはそのバランスだろう。
胸やおしりのサイズは標準的なものだが、ウェストのくびれの美しさ、ひきしまってプリっとした形のヒップ、そして特筆すべきはその脚の長さと美しさだ。
身長は俺より低いくせに俺と並んだら脚の長さが大体一緒だ。
厳密には俺の方が負けているという説もあるが、それは誤差だと信じたい。
クエストでは長ズボン(最近の娘たちはズボンのことをパンツというらしいがおっさん世代からすればパンツとは『おぱんつ様』を指すので却下だ)を履いているからその美しいおみ足を拝むことはできない。
しかし、今、こうして俺の目の前にさらされている。
――尊い
「んっ、おっさん、早くしてくれよ。っていうか何で拝んでるんだ?」
「……いや、いいマッサージをするにはマッサージの神を拝まないといけないからな」
「そうなのか? まあいいから早くしてくれよ」
「ああ……」
俺の声が若干かすれて部屋に響いた。
俺は緊張で喉がカラカラだ。
俺はユリアをマッサージするため両手をユリアのふくらはぎへと這わせた。