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2 おっさん酒に飲まれる

 読んでいただきありがとうございます。

 俺がクランを追放された日。


 ついでに俺はそれまで住んでいたクランが借り上げていた住居も追い出された。


 元々私物が少なかったことと、以前たまたま手に入れていた容量大き目のマジックバッグがあったため荷物の運び出しに苦労しなかったことは幸いだった。





「あー、これからどうすりゃいいんだ」


 俺は行きつけの酒場のカウンターでこの店のマスター相手にそう愚痴を吐いた。


 マスターは何度目ともわからない俺の話を黙って聞いてくれる。

 さっきまでは俺の隣に俺よりちょっと年下らしい男がいて話を聞いてくれていたがいつの間にか帰ってしまったようだ。

 初めて会ったはずだが妙に聞き上手で思わずいろいろとしゃべってしまったがどうやら俺はまだしゃべり足りないらしい。


 俺は独り身で、ある程度は節約していたこともあって数か月程度であれば何とか生活できるだけの蓄えはある。

 

 しかし、その先のことを考えると流石に不安だ。



「これがもうちょっと役に立ってくれればな~」


 そう言って俺は右手に『マジックペン』を顕現させた。


 これはアーティファクトと呼ばれる神から授かった俺専用の神具だ。


 この世界では13歳になると神から『ギフト』と呼ばれるスキルもしくはアーティファクトを授かる。

 同じ年代の子どもたちが教会へ連れていかれて一斉に授かるのが一般的だ。


 ここでどんな『ギフト』を授かるかで人生が決まると言っていいだろう。


 優秀なスキルやアーティファクト授かった者は人生勝ち組といっていい。


 そうでなければ俺のような30過ぎたおっさんにもなって嫁の一人もいないという寂しい人生になってしまうというわけだ。


 俺のアーティファクトのマジックペン。


 13歳で手に入れたときから一向にレベルが変わらない。


 スキルもだがアーティファクトも通常、レベルが上がっていく。


 レベルが上がればアーティファクトはより高い性能を発揮するアイテムとなる……はずだ。


 


――マジックペン(レベル1:普通の油性ペン)


『黒色のペン。ペン先の太さを極細・細・普通・太・極太から選ぶことができる。インクの代わりに魔力を消費する。キャップは黒色』



 俺はこれまで何度見たかわからないアーティファクトのステータス画面を眺め溜息をついた。

 

 まあ、レベルが上がったからといってその性能に大して期待はできない。


 せいぜいが色つきペンになるとかその程度が関の山だろう。



「あ~、どっかで冒険者パーティーでもクランでもいいから事務職募集してないかな~」


 俺は何杯目になるかわからないエールのジョッキを飲み干すと空いたジョッキをカウンターに置いて突っ伏してしまった。


 今日はもう何杯飲んだのか自分でもわからない。


 普段、俺はここまで酒を飲むことはない。


 この日は情けないことに完全に酒に飲まれてしまった。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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