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18 おっさん御礼をする

 ここまでお読みいただきありがとうございます。


 本話のおっさん同様、皆様に御礼申し上げます。

 この国では、1週間に1度、安息日と呼ばれる公の休日が設けられている。

 商店は商魂たくましく、従業員を交代で休ませて店を開けているが役場や多くのギルドはこの日は休みだ。


 冒険者たちもこの日に休みを合わせるパーティーが多い。


 俺たち『華乙女団』もこの日は休日だ。



「ちょっと出掛けてくるな」


 午前中、俺はパーティーハウスから出ようとして食堂でまったりしていたアンジェたちに声を掛けた。


「おじさん、どこ行くの?」


「あぁ、まあ、ちょっと野暮用かな」


「おいおいアンジェ、おっさんも大人の男だからな。あんまりそういう詮索はなしだぜ」


「ええっ! おじさん、ひょっとしてえっちなお店に行くの?」


 休日とはいえこんな朝っぱらから娼館通いとかどんな強者つわものだよ。


 そもそも、そんな気概があったら俺はこの歳で童貞じゃねーよ。


「心配するな。そういうところに行くわけじゃない」


「わかった。気を付けてね」


 俺はひらひらと手を振ってパーティーハウスの玄関から外に出た。






 俺は歩いて20分くらいの街の中心部からちょっと外れた場所へとのんびり歩いていく。


 今日は天気がよく、気候も暑くもなければ寒くもない。


 街を歩くにはもってこいだ。


 そうして着いたのはちょっとさびれた風情の建物。


 木造の年季の入った古い教会だ。


「ごめんくださ~い」


「あら、トミーさん。よくお越し下さいました」


 俺がそう声を掛けて教会の中へと入ると初老の女性から声を掛けられた。


 この教会でシスターをしているアンナさんだ。


「今月のお祈りに来ました」


「よくお越し下さいました、神もお喜びになるでしょう」


「それからこれを」


「あら、いつもありがとうございます」


 俺はアンナさんにお布施の入った革袋を差し出した。


「……いつもより多いみたいですけど」


 中身を見ずとも革袋の重さでいつもとは違うとわかったのだろう。


 アンナさんはそう言って俺に視線を向けた。


「今回、いろいろと御蔭をいただきましたので」


「そうでしたか。何かいいことがあったのですね」


 アンナさんはそう言って微笑むと「ごゆっくり」と言い残して奥へと引っ込んでいった。


 きっと気を遣っていただいたのだろう。


 お祈りするのにあまり人に見られながらというのもちょっと恥ずかしいしな。


 革袋の中身を早く確認したかったからではないと思う。


 多分……。



 まあ、それはさておき、早速お祈りをするか。


 俺は祭壇の前へと進むと膝をついて神に祈りを捧げた。


 紙一重で生き死にが分かれることも多いこの世界ではどうしても最後は神頼みという話になる。

 それに加えて『ギフト』という神からの授かり物とされるものがあるので、多くの人は神の存在を信じ、程度の差はあるかもしれないが信仰している。


 俺はアンジェたちのパーティーに入ることになったこと、そしてアーティファクトである『マジックペン』のレベルが上がったことに対して御礼を言って感謝の気持ちを捧げた。



 ――ピカッ



 んっ?


 何か光っただろうか?


 頭を下げていたのではっきりとはわからないが視界の外が一瞬明るくなったような気がした。


 気のせいだろうか?


 俺はお祈りを終えると首をひねりつつ教会の外へと出た。


 ちなみに帰り際にはアンナさんがいつもの5割増しの笑顔で俺を見送ってくれた。


 うん、聖職者も人間ですもんね。


 わかってた……。


 俺はこうして改めてこの世の真理を学ぶことができた。

 お読みいただいた皆様、また、ブックマーク・評価でご支援をいただいた皆様ありがとうございました。


 今日(10/6)の昼に更新のジャンル別日間ハイファンタジー〔ファンタジー〕ランキングで44位という場所をいただきました。

 御蔭様で本作を多くの方に見ていただく機会を得ることができました。

 書く者として面白くないと言われることは確かにつらいのですが、それは実力ですので仕方がないことだとあきらめることができます。

 一番つらいことはそもそも読まれないことです。

 残念ながら『小説家になろう』の仕組み上、ランキングに入らないと多くの人の目にとまらず読んですらもらえないというのが実情です。


 本作がこうして多くの方の目にとまる場所を与えていただきましたのはひとえにこれまでブックマーク・評価をいただきました皆様のご支援があったからこそです。


 ありがとうございました。


 引き続きよろしくお願い致します。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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