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14 おっさんの仕事術

「飯食ったら順番に風呂に入れよ~」


「ならあたし入る~」


 そう言ってユリアがさっさと部屋に戻って着替えを手にもって脱衣所に入っていった。


「よし、じゃあ、その間にみんなは俺と話をしようぜ」


「おじさん、話って何の?」


 アンジェがぽや~とした表情でそう尋ねてきた。


 淫乱ピンクのうえに頭もちょっと緩いかもしれない。


 おじさんはきみの将来がちょっと心配だよ。


「そりゃあ、決まってるだろ。今日のクエストの話だよ。どこで何をやったのか。俺にみんなの武勇伝を聞かせてくれよ」


「う~んと、今日はね~」


 こうやって世間話や自慢話としてその日あったことを冒険者から聞き取る。


 これが一番効率がいい。


 肩肘張って『報告書を書くから一から報告しておくれ』っていったって癖の強い連中が正面から応じてくれるわけがない。


 1人が自慢話をして他のメンバーが「そりゃ違う」と突っ込んでくれればおおよそ本当のところが分かるってもんだ。

 そもそもこの日、大体どこに行くかくらいは事前に聞いている。

 持って帰ってくれた成果を見れば何を倒したかとか何を採取できたかは一目瞭然だ。


 要は客観的な成果を動かない事実として、その空白の隙間を埋める事実を上手く確認していけばいい。


 それからパーティーのメンバーが怪我をして帰ったり、ポーションを多く使っているときは要注意だ。


 何か強い敵と戦っていたりや不測のトラブルが起こっている可能性が高い。


 出発前と戻ってからのアイテムの消費具合のチェックはアイテムの在庫管理ともリンクするから一石二鳥でもある。




「お~い、上がったよ~」


 髪をしっとりさせてユリアが風呂から上がってきた。


 頬を上気させていてちょっと色っぽい。


 おっさんを誘惑するとは何てけしからん小娘だ!



「じゃあ、次、わたし」

「いえ、わたくしが」


 アンジェとルージュが言い合っているのを横目に俺はユリアからも今日の話を聞いた。




 他のパーティーメンバーがみんな風呂に入り終え、最後に俺もゆったりと風呂に入って俺の今日の一日が終わる、わけではない。


「さて、報告書を書いてしまうか」


 俺は一人事務室にこもるとさっきまでみんなから聞いていた今日のクエストの情報を整理し、報告書を書き始めた。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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