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10 おっさん冒険者ギルドで手続きをする

 ブックマーク・評価をいただきました皆様ありがとうございました。

 時間はお昼少し前で冒険者ギルドのロビーは閑散としている。


 ギルドのロビーは朝一番のクエストの張り出しのときと夕方の帰還報告の時間が一番込むからな。


「あれっ、トミーさんじゃないですか? 今日はどういったご用ですか?」


 受付には顔なじみの受付嬢のカレンちゃんがいた。


「ああ、報告書の提出とパーティーへの加入届だな」


「報告書? 『鋼の戦線』はこの前、報告書は出されてますよね? 修正報告ですか?」


「いやいや、別のパーティーの報告だよ。俺、『鋼の戦線』は辞めたんだ。で、新しいパーティーに入ることになったんで併せて加入届だな」


「ええっ! トミーさん、『鋼の戦線』辞めちゃったんですか? どうして? どうしてですか?」


「いや、まあ、そこはいろいろあってだな……」


 さすがに役立たずで用無しだから追放されましたと話すのは恥ずかしい。


「はぁ、わかりました。で、トミーさんはどこのパーティーに加入されたんですか?」


「ええっと、『荒野に咲く華乙女団』ってCランクパーティーなんだけど」


「ああ、アンジェちゃんのところですね! よかった、ホントどうなるかと思ってたんですよね~」


 話によると『荒野に咲く華乙女団』(長いから、今度から『華乙女団』な)は新進気鋭の冒険者パーティーで依頼はきちんとこなすし、物腰は柔らかくて依頼者受けもよく、ギルドとしても将来を期待しているパーティーなんだとか。


 ただ、唯一、事務仕事だけは壊滅的でそれまでは特例冒険者だったのでギルドのフォローでごまかしごまかしやっていたそうだ。


 それが今回Cランクに上がってからはそれも限界にきたらしい。


 ギルドとしても「指導」名目で結構頑張って手伝ってあげていたようだがそれにも限度があって、何度も報告書の修正をお願いしていて、これは流石にヤバイと思っていたとのことだ。


 まあ、アンジェのあの字を見ただけでそのヤバさはわかるので、俺としても頷くことしかできない。


 ギルドはギルドでアンジェたちにこれまでも専門の事務職をパーティーで雇ってはどうかと助言していたそうだが中々いい人を見つけられなかったようだ。

 ギルドとしてもどうしたものかと心配していたところ、俺が加入してびっくらぽんということだ。


「それにしても相変わらずトミーさんの字は上手ですね~」


 そう言われると俺も頬が緩む。


 そう、俺のアーティファクト本体自体のレベルは1で止まっているが、派生スキルのレベルは実は結構上がっているのだ。

 派生スキルの『達筆』はレベル4だぜ。

 本当のところ、魔道コンピューターの字と比べてもそん色ないと自負している。

 まあ、誰にも言わないけどさ。


「それからこれが加入届な」


「はい、確かに。『荒野に咲く華乙女団』であるリーダーのアンジェさんとトミーさんの連署がきちんとありますね」


「そういえば、元うちのクランから俺の脱退届は出てるか?」


「いえっ、まだですね」


「そうか。じゃあ、ついでにそっちも出しておくか」


 加入届は勝手に『ある人物』を自分のパーティーに登録することを防ぐ目的で、パーティーのリーダーと新たに加入する者の両方の署名、つまりは連署が必要だ。


 一方、脱退届は、慣習としてパーティーやクランの側が届け出をするということになっている。


 もっともギルドの規定上はどちらかが出せばいいことになっているのでさっさと出してこっちから縁を切っておいた。


 

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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