5.信じ難い出来事
「うるさっ...」
自分の声のはずなのに、違う声が頭の中に響いてくる。
「早く起きないと遅刻するわよ!」
「遅刻...?」
ニートであるはずの自分が遅刻するも何も、行くとこなどないはずだ。
「なに、とぼけたよう顔してるの?もうご飯できてるから早く降りてきなさい。」
そういうと部屋から出て行った。
一体あの人は誰なのだろう、どこか行かないといけないところでもあるのだろうか。
そう考えながら、視線を動かす。
「..?ここどこだ?」
そこには見知らぬ可愛らしい部屋が広がっていた。
「そ、そういえば俺腹刺されて...たよ...な...!?」
ふと視線を下ろしてみると、本来ならないはずの膨らみがある。
「...!?!?な、なんだこれ、ま、まさか...」
手が反射的に自分の股へと向かう。
すると、本来ならあるはずの膨らみが見当たらない。
「あ、あれ???」
よくよく見てみると、サラサラで毛並みの揃った長い髪の毛が肩よりも下に、伸びているのに気が付く。
「お、おい...ま、まさかそんなことないよな...」
ベットから立ち上がると、部屋にある鏡の前へと向かう。
視点がいつもより低く感じる。
鏡の前につくと、そこには見知らぬ美少女が立っていた。
「え?だ、誰これ、めっちゃ可愛い。」
その美少女は自分と全く同じ表情や仕草をとっている。
「あ、あれ?」
よくよく考えてみれば喋っている声も自分の声でないことに気づく。
「な、なんだこの声可愛い...」
冷静に考えてみれば、あのよくわからない人も誰なのかわかる。
それにこの部屋、この容姿、にわかには信じ難いことだが納得がいく。
そう、つまり彼(彼女)は。
「殺されて、転生したのか...?」
ということになる。
「それに、自分好みの可愛い女の子って...」
「起きてんなら、早く降りてご飯食べろ!!!」
「は、はーい!」
頭は混乱しているが、今はとにかくご飯を食べよう。
そう考えると部屋をでた。