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プロローグ「閉幕」
この状況はどういうことだろう。
いつもやってることだった。
これをすれば落ち着くからやっただけ。
でも今日は嫌なことがあったから、少し深くやってやろうと思ってただけなのに…。
なのに…なんでなんでなんでッ!!!
血が滝の様に流れている…。力をいれるとピュッと吹き出したりしておもしろい…。
しかしそんな悠長なことを考えていられるのも最初だけだった。徐々に力が入らなくなり、感覚が薄らいで行く…。逆に弱っていく鼓動だけは、自分中で大きく響いている。
…これは死の音だ!
不本意に訪れた死の感覚に恐怖が襲ってくる。
気が動転し、身体が痺れて動けない。声も上手く出ない…。
…まだ死にたくない。
いつも死ぬマネ事ばかりしてきたけど…死にたくない。
意識が朦朧としてくる。目の前も白んでよく見えなくなり、遂には真っ白な世界になってしまった。
…まだ死にたくない。
…ごめんなさい私。
思考が途切れ、全てが闇黒の世界に満たされた。
…まだあの人に気持ちを伝えてすらいないのに。
…………まだ…………。
…………。