ドロー!俺のターン!-6-
*****************************
俺:
手札2枚 デッキ9枚 墓場19枚 ライフ10
【場】
なし
【手札】
[天使の涙 / 魔法]
[女神の気まぐれ/魔法 ]
笹山:
手札2枚 デッキ5枚 墓場21枚 ライフ11
【場】
[アンダルシアの守り人 / P5]
[バルカンカンガルー / P4]
*****************************
【俺はカードをドローした】
「……」
[デーモンズパンダ / P7] >よろしくな!
「……」
「どうした、早くカードを見せてくれよ」
笹山は黙り込む俺を見て、どうやらすべてを理解したらしい。
俺が女神の気まぐれの効果で引いた最初のカードは、モンスターカードだった。
つまりは終わりってことだ。
俺の手から[デーモンズパンダ]が滑り落ちる。
絶望で下を向く俺に、笹山の引き笑いが耳を劈いた。
「ぎゃはは、やりやがった。やりやがったぞ。一番やっちゃいけないことを!」
「ああ、あああ」
「終わりだ!終わり!さっさとサレンダーしろ」
俺は、意識を失う寸前だった。
涙線が緩み、涙が目の中に溜まっていく。
笹山の邪悪な笑い声が遠く、聞こえる。
(サレンダー……サレンダー……)
”サレンダー”という言葉が脳内で繰り返される。
いつしかその声は、無機質へと変態し、己の声なのかどうかも分からなくなった。
すべてが、朧気だ。
そして、気が付くと俺は、暗くて何も無い空間に一人居た。
(あれ、俺は何をしていたんだったっけな)
確か夢中になって、誰かと何かをしていた気がするのだけど……。
――どすん……どすん……
何処とも知れぬ場所ではあったが、とても居心地が良い空間であった。
何かによって、ひどく疲れてしまっていた俺を、優しく癒してくれる。
きっとここに居れば安全だ。
怖いものが通り過ぎるまで、ずっとここにいれば――
――どすん……どすん……どすん……
地面が揺れる。
安寧を割く音だ。
それは、俺の右側からやってきてる。
ピキピキ と音を立てて暗闇がガラスのようにひび割れる。
何か強大な力に打ち付けられて、暗闇は壊れようとしているらしかった。
俺は尻餅を付き、”それ”から逃れようと座ったままの姿勢で後ずさる。
――パリンッ
やがて、大きな大きな獣の掌底が勢いよく飛び出した。
(く、熊!?)
俺の顔くらいある大きな肉球に、鋭い爪。
ゆっくりと獣の腕は後ろに引っ込んで、次は獣の両手の爪が開けた穴にかかった。
どうやら、こじ開けるつもりのようだ。
(く、来るな。来るなよぉ)
俺は、目を塞ぎ目を閉じて、必死になってそう祈った。
ドロー!俺のターン!-6- -終-