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シュランとジャメル

作者: Shran Andria

<小説>


ジャメルとシュラン


第一章 その後の世界


シュラン アンドリア(Shran Tomo Andria)は、アンドリア国の名をその姓に背負った、国でも名だたる戦士の家系の末裔であった。

ジャメルの施策により、実質的に軍は不必要となっていたが、唯一、国境警備ということで存続していた。

かつては、5,000人の兵を率いていたシュランは、100人程度に縮小された組織の長を続けつつも、環境の変貌ぶりに当惑していた。

ジャメルの施策は、隣国にも影響を与え、これにならう国が多くなっていた。

これにより、ますます、シュランのすべきことはなくなりはじめていた。

いや、シュランはもともと思っていた。この組織も大半は、貴族の既得権益を守る為だけの時代遅れの産物なのだ。

ジャメルを疎ましく思う時もあった。それどころか、ジャメルの政府にクーデターを企てていた時期もあった。

しかし、ジャメルは、自ら全てを失ってでも正しいと思うことを遣り遂げた。しかも、自分達のアンドリア家に配慮しての国境警備隊を残したものと思われる。

今も、国の中心地グッドランドの建物の最上階に、席を構える自分が、ジャメルに生かされただけの者と思うようにもなっていた。

そして、ジャメルと自分の違いについて日々考え込むようになっていた。


バッドランドは、中心地から最も離れた海岸線の離島にある。

もともと不毛の地のため、このような名がついていた。

ジャメルは、バッドランドを見渡せる海岸線に、小さな住まいをかまえ、田畑を耕していた。

ジャメルがこの地にいるのには、一つの心配事、いや、施策の欠点がやがてバットランドで具現化することを思ってだった。

ジャメルとシュラン


第二章 ジャメルの想い


ジャメルが、王位を得て暫くしたあと、彼女は科学委員会に必ず出席していた。

ヒエラルキーの平準化の裏に、アンドリア国が抱える重要な問題を解決するための行動であった。

以前から知っていた、あるサイエンティストを、その道でこの国一番と認めさせる為でもあった。


スリーブ J ナットは、アンドリア国とラムラン帝国の国境近く、三国いちのバカムスコ地区で生まれた。父をラムラン帝国出身、母をアンドリアに持つ極めて特殊な生誕であった。

すなわち、ラムラン帝国は、同じ星系からの移民、すなわち宇宙人の集団だったからだ。アンドリア人は少し青みがかった肌色にたいして、ラムラン人は、少し赤みを帯びており、アンドリア人は、彼らをレッドスキンと呼んでいたが、肌の色より特徴的なのは感情がないと思うほどに論理的思考者で、理屈に合わないことは、公然と批判する種族であった。

一方、アンドリア人は、情に厚く、調和を重んじ、直感的芸術的才能を持っていたが、ヒエラルキーの理不尽さえ、素直に受け入れていた。

スリーブは、結局、父方の考えを受け入れることができず、母とアンドリア人として過ごしてきた。

しかし、反面論理的考も強く持ち、アンドリアにおいても、暮らしにくいと思うことが多かった。

成長するにつれ、アンドリアの慣習、すなわち、人間関係に疲れてもいた。

だが、論理性と直感的判断力を持つ彼はサイエンティストとして、成長していった。


ジャメルもオブザーバとして出席していたある日の委員会で、その事件はおこった。


アンドリアが抱える問題とは、エネルギー問題であり、風力発電を主体としていたエネルギーは、人口の増加についていけない状態に達していた。


アンドリアのエネルギー問題の第一人者、ヒル キイツ博士は、風力発電の効率を20%上げる画期的な流体式を論じていた。

通常、先駆者の論文や理論に対しては、それを重んじ、少し改善案を述べ、自分の理論を付け足すか、それを習い違うアプローチをしましたというのが礼儀であった。

が、しかし、スリーブは、こうきりだした。

『ヒルの理論はクソだ。そんな改善チョロチョロやっても何にもならない。

いいか、サイエンスは真似毎では、1歩も進まない。』

そして彼は、ある鉱石に、決まった波長の光線を当てると莫大なエネルギーが取り出せると主張した。

もちろん、その考え方の研究は、別のチームによって、少しづつ進められていたが、この委員会に報告するだけの裏付けと、チームの権威がなかった。

スリーブは、元々そのチームに属し、感銘を受けたあと、何一つ発表しないチームに見切りをつけ、自分でチームを立ちあげていた。

しかも、チーム研究員を全員女性にするという調和を重んじるアンドリアにおいて、驚きを与えていた。

予算を与える権限はジャメルにあったが、決済の判を押す際にジャメルはこう呟いたとされる。

『このゲス野郎。』側近が驚いたのに気付いたジャメルは、『はしたないは、私』と言い、こう言いなおした。『この偏った采配が、新しい変化をもたらすでしょう。』公式には、この後者の言葉が記録された。

実際、ジャメルは、スリーブに会うと鳥肌がたった。

あの人を見下した喋り方のせいばかりではない。7-3分けが通常のアンドリア紳士の髪形に対象、短く刈り上げた髪をショキングピンクに染めているせいでもあった。


さて、委員会に話を戻すと混乱した、ビックリ鳩が飛び回るような状態となり、議論どころではなかった。

しかし、このスリーブがぶちまけたことにより、明らかにアンドリアのエネルギー問題の固定された舵は、まわりはじめた。


ジャメルはこう呟いたとされる。『ヤリー❗️思った通りやわ‼️』側近が驚いたのに気付いたジャメルは、『はしたないは、私』と言い、こう言いなおした。『この混乱が、我々の日の出となるのです。』

公式には、この後者の言葉が記録された。


ジャメルは、『不味いは、この人にかかわると、はしたなくなる私・・・。だいたい、鳥肌立つのよ、あの野郎❗️あっまた。』

この異変が彼女には何なのか、知る術はなかった。


つづく。

第三章 シュランの悪夢


ジャメルの施策以前は、アンドリア国内は、隣国のラムラン帝国との小競り合いが続いていた。主に国境の領土どりに関するものだった。

移民してきたラムラン帝国は、その科学技術力において少しばかりアンドリアより上であった。

ラムラン帝国にしてみれば、アンドリア国は相手にすべき対称ではなかったが、国境付近での争いが論理的に無駄であり、何人かの犠牲者でていたため、これを終わらせたいと考えていた。

一方、アンドリアからすれば、突如、国に隣接した誰のものでもなかった土地に居ついたよそ者。穏やかなアンドリア人も心の中で、去って欲しいと思う感情があった。

シュランはその時から国境警備軍を率いていたし、最も愛国心の高いものもあった。


ラムラン帝国のダルシワ国境管理最高評議員は、国境に目に見えないレーザーフェンスをはりめぐらす計画を進めていた。国境端にあサイドスルー地域から、反対側のキドクスルー地域までの120km区間にフェンスをはりめぐらす。

それにはサイドスルー地域に巨大発電所とレーザージェネレーターを建設する必要があった。


シュランは、その日も最前線に立ち、第7軍隊の訓練をしていた。必ず大きな戦いがあると思っていたからだ。しかし、この300人からなる第7軍には、自分の右腕、サルシア、他シユウ、タカミ、オトノ、オーケンの5人で構成する特殊部隊を混ぜていた。

大きな戦いになるといっても、数百人同士のレーザーガンによる撃ちあいによるような戦いでは無いと考えていたからだ。


サルシアは、シュランの一回り下の年齢ではあつたが、十年以上の付き合いであり、常にシュランの陰で多くの情報を収集し、シュランを支えていた。決して目立たないが、シュランの夢物語的な指令をかみくだき、実行可能な形にプランニングし直し、要所には、自ら最前線にたっていた。

サルシアは、そうする事が好きだった。シュランもそのことは理解しており、彼のお陰と思うこと度々であった。

また、必ずシュランの指令に明確に答える形でプランを終了して、シュランが賞賛されるよう勤めてきた。

勿論、他の4人も精鋭でそれぞれの個性を生かし、シュランの指令を実行していった。

中でもオトノは、何時も大きな声で『イエッサー、トゥドゥイット』と言って若々しさを放っていた。


ある夏の朝、ラムランのレーザーフェンスが完成に近いとの情報、及び、サイドスルー地域に設備がある事もわかってきた。

シュランは特殊舞台でその地に移動した。


のちに、シュランを一生苦しめる事態がおこる。


つづく

第四章シュランの悪夢その2


サイドスルーヘ向かう車中、シュランは実際の作戦を練っていた。殆ど情報のない状況で、どのようにこの事態を回避するか。普通なら、パニクるところだが、何故か落ちっいていた。


シュランはタカミにこう聞いた。『国境全域を覆うとなると、ジェネレーター、その動力元は、非常に大きなものだろう。どの位と推定される?』

タカミは少し考えこう答えた。『我々には、まだ、レーザーネットの技術はありませんが、原理的には推定可能です。おそらく2km四方の面積が必要でしょう。』

そして、シュランは呟くように言った。『2km四方の建造物を我々のスカイローラの監視を3年以上潜り抜けているとすれば、完全に地下にある。やはり、潰すのであれば動力源の方だろう。反ブロク爆弾を200mおきに設置して、リモートで爆発させる。順番は、計算する必要があるがね。タカミ最も効率の良い配置と順番を考えてくれ、サルシアは、直ぐにものの手配だ。我々が到着するまでに準備しろ。オーケン、オトノ補佐しろ。シユウは、タカミの計算結果をコントロールパネルにビルドしろ。』

各員が、各々の役割を認識して、動きはじめた。その動きは、マッハ級だった。


サルシアは、最高幹部に属するシュランの命令であっても、到着までに準備するのは不可能だと知っていた。

少し危険だが、闇の商売人の力を借りる必要があると思った。

かつて接触のあったモーンレンに連絡をとった。

どのみち、正規軍の支部にそれだけの物資はないし、一部ハンドメイドも必要なので、その時間も見積もって調達プランを決めた。

当然、闇の商売人を使うことは認められないが、そこはシュランに相談せず、独断で行った。

この時、シュランもある程度察しており、サルシアに命令したのだった。

オーケンも、およそわかっていたが、何も言わずサルシアに従った。オトノは、一刻も早く活躍を認められたい一心で事をすすめた。


陽日もおちおちかける夕刻、それらの物資は全て最前線キャンプに揃っていた。

車載していたコントロールパネルや、取り巻く機器も瞬く間にアッセンブリされ、サルシアの計算もほぼ出来上がっていた。

やはり、反ブロク爆弾に仕立てるには、手直しが必要だったが、予測済みの彼を慌てさせることはなかった。


実際の戦場を経験していないのは、オトノだけだった。

慌てたら、その時点で負けは決まる。皆それを知る精鋭ばかりだった。


全ての準備が整ったが、施設の中の様子、装置を守る人員の数も全てわからない状況だった。


シュランの一生にわたって苦しめる悪夢は、この時から始まっていた。


続く。

五章シュランの悪夢その3


ここまでつつがなく事態は進んでいた。

しかし、シュランが次の指令を出すのには時間を要した。

ここを指令塔にして、作戦は遂行する。

情報を集め、状況に応じて指令を出す。情報収集とともに、タカミが補正計算を行い、シユウがコントロールパネルに反映する。ここまではロジカルに決まる。

中間地点で、搬送波の微調整を行うもの、建てやに侵入する者を決める。ここが難しい。状況判断を中間地点でするか、侵入者が行うかだ。情報が完全に収入できるなら、中間地点で瞬時の状況判断をした方が良い。しかし、不測事態となれば侵入者が自立的に行うべきだ。

リスクは明らかに侵入者が追う。

感情を伴なってはいけない。任務遂行が第一だ。

考えあぐねるシュランを見て、オーケンがこう言う『私が侵入しましょう。』

すると、経験豊富なサルシアが『私の方が機転がききます。』

機転がきくということは、かなりマズイ状況を考慮しての発言だ。

シュランはこう言った。『この作戦は、秘密裏に行う必要がある。事故と見せかけて爆破するのだ。でなければ、全面戦争に突入する。そうなれば、残念だが、今の我々は、消耗戦で負けるだろう。』

皆、アンドリアの科学力が劣っているのは知っているし、言わずともわかるが、同時にシュランに戸惑いがあることを見ぬいていた。

万が一、施設内でドンパチが始まれば、ラムラン司令部に情報が上がる前に爆破する必要がある。当然、侵入者には帰還する時間はない。

果たして、それをとげれるのは誰か?

みずから行くことも考えた。しかし、失敗時の作戦立て直しはサルシアでも無理だろう。寧ろ、サルシアは横で参謀をつとめるべきだ。

リスクの度合だ。シュランの中では、オーケンかオトノが侵入者になるしかないと思っていた。

オトノは、キラキラとした若い瞳でシュランを見ている。志願もためらう程に若いのだ。だが、アンドリア国のためにこの隊に入ったことを誰より喜んでいたのは彼だった。

希望、誇り、ついでにカッケー仕事。

この目だった。シュランが少佐に就任したころ、サルシアは彼のはじめての部下となった。

シュランは既に、格好い仕事では無く、犠牲をどれだけ少なく抑えるしか、良心のもとにできることではないと知っていた。

サルシアには、打ち合けてそのことを教え、懸命に指導してきた。

もはや、サルシアにその輝く瞳はない。

シュランは決断した。『オーケンは、中間地点で搬送波の調整と、オトノへの指令を出せ。オトノは、施設に入り、プローブを付けて、施設内のマッピングをしろ。侵入後、1時間以内にだ。』

オトノは、任された任務に小躍りした。

他はだれ一人声を出さず、頷いた。


つづく

第六章 シュランの悪夢 その4


午後8時作戦は開始された。

中間地点にむかうオーケンにシュランはこう言った。『いいか、自然界で発生する電波に見せかけろ、微弱で、規則のない搬送波だ。それにシグナルをのせて、あくまでも人工の通信と思わせるんだ。あとは、わかるな。』

オーケンは大きく頷いたあと、オトノとともに国境を越えていった。

シュランは、サルシアに本部ヘ作戦開始を伝えさせた。

十数分後、オーケンとの通信がリンクをはじめた。

オトノが身に付けるプローブの情報からマッピングが始まる。

そして、オトノが施設への入口を見つけたと音声が入った。

入口のドアのロック形式が報告された。単純なPlN入力であり、シユウがコントロールパネルで解析して、直ちにオトノにれんらくされる。

ドアは、いとも簡単にあいた。


サルシアは、本部への報告を終え、マッピングを見た。

『そのと戸の奥から動力による磁気変動が確認された。突入して、司令官の指示通りにリモートボムを設置して下さい。』


オトノは戸を開けて、内部に潜入した。入ってみれば、2km四方もない、狭い部屋に入った。

部屋の中心で青い発光物をみつけた。


『ワナだっ❗️直ぐに退却しろ❗️』

ミュランが言った瞬間、部屋に強い光がともり、壁には多くのラムラン兵が銃をオトノに向けていた。

照らされた向こうに、恰幅のいい、兵服を来た男がたっていた。

『降伏しろ、おまえに勝ち目はない。抵抗は、無益だ。』


ミュランは直ちに撤退準備を指示したあと、オトノの通信機を通して、ラムラン人にこう言った。

『直ちに降伏する。人質には指1本触れるな。ナイジェロン条約に従い、捕虜の扱いは、正当に行え』


本部も撤退を支持した。

シュランは、撤収を指示した。

そして、シュランは、施設に向かった。


つづく。


第七章シュランの悪夢その5


シュランは、オトノのシグナルの最終地点に辿りついた。

しかし、迂闊にも、周りを見渡す間もなく強烈なパンチを受けた。一瞬、目の中で光がスパークしたあと意識が薄れていった。その間、冷静に頭がはたらいた。

・こいつら、並の力じゃない。

・この情報は、ワナだった。スパイがいる。

・彼らは、レーザーネットを完成していない。我々の科学力を知りたかったのだ。

・俺はバカだった。

・オトノはどうなる❓

やがて、意識が消える寸前、もう一度こう思った。


・スパイがいる・・・。


シュランは、その場に倒れこれだ。


この後、生前のジャメルの父、国王がラムランを訪れ、全面戦争は回避されたとなっている。

しかし、これを報道したのは、下衆な3流週刊誌、モライデーだけだった。


つづく


・国王がラムランとした密約とは❓

・何故、1流メディアは報道しなかったのか❓

・ジャメル施策の真意とは❓

・ジャメルの側近、ショウ・コア・カニャとは❓

・オトノのその後は❓

・鬼才、スリーブ・ナットの研究室の謎

・アンドリア王国とラムラン帝国の関係は?


・・・・。


3日後、シュランの意識が戻った時、アンドリア国も、ラムラン帝国も何事もなかったかのように、時の針をきざんでいた。


つづく


第八章 ジャメルの決意


バッドランドを横目に、ジャメルは、育てていたイモを堀返し、家へと戻った。

ふかしたイモを食べながら、ジャメルはこう呟いた『今日もイモか~、スイーツ食いて~な~』ハット気付き、なんといい直そうかと考えたが、その必要もない、自分の呟きが報道されることは、もうないからだ。

かつて、側近であった、シヨウ・コア・カニアは、度々ジャメルの発言をうまくごまかしていたが、彼女の仕事は、寧ろジャメルの参謀であった。

ジャメルは施策後、城の全ての人員を解雇していた。

シヨウは、その思慮深さから、グッドランドの中心地で、人生相談をして、生計をたてていた。

“ランドの母”彼女は多くの人からそうよばれ、慕われていたが、彼女は、まだ若くて結婚もしてないのに“母”とよばれることを不満に思っていた。

一度だけ、ジャメルとシヨウは会ったが、その時は、シヨウがジャメルに『貴女はやり遂げたのです。良い世界になるでしょう。そして・・・』この会話のみで、ニ人は別かれていた。


ジャメルは、これから、まだやるべきことは、決して一人では実行できないと考えた。そして、こう呟いた『第二ステージの始まりよ❗️彼女が必要❗️グッドランドに1度戻ります。』

ジャメルは、グッドランドに向かって歩きはじめた。


~グッドランド・ランドの母相談所~

シヨウは、今日も悩める12人の悩みを解決していた。顧客リストを見ながら、『やはり、目的を見失う人が増えはじめてるは。』

そう言って、オフィスを施錠した。


ミュランは、グッドランドで一番背の高い建物の最上階のオフィスで、イスに腰かけ、考えごとをしているうちに、居眠りをはじめていた。そして、いつも見るあの日の悪夢を見て、ハッと目をさました。

『やはり、納得いかない。ラムランとは、国境をはさんで何もおこらないが、終ってはいない。』

そう言って、明日、ランドの母に相談に行こうと思って、オフィスをあとにした。


ジャメルは、歩きながら、こう呟いていた。『やっぱ、歩いてはキツイは!ヒッチハイクでもするかな~。』


すでにアンドリアの空は暗くなりはじめていた。


つづく


第十章 これがはじまり


ジャメルが戸を閉めると、部屋の空気が変わった。

ジャメルも席に着いた。


シヨウは、二人を交互に見てこういった。


Si「とても、驚くであろう話をしす。」

ジャメル(以下Gy)「わかります。とても不思議な人生を送ってます。」

シュランはついていけなかった。

Sh「謎は、多い。だが不思議ではない。」


Si「本当にそうかしら?

あなたが、かつてのアンドリア軍を指揮するに至ったのは?」

Sh「トラフルダの戦いで、ラムラン軍を後退させ、彼らの進軍を食い止めた戦果による。」

Si「あの時、なぜラムラン軍は後退したの?」

Sh「わが軍の勢いに押され、彼らが撤退した。」

Si「あなたの軍は勝っていた?」

Sh「明らかに兵器に差があった。われわれの兵器は10年遅れだった。」

Si「もう一度聞くわ、なぜラムランは撤退したの?」


シュランにその時の記憶がよみがえる。

明らかに劣勢だった。アンドリアの武器では彼らの鎧を覆う電磁予備シールドに

傷を付けることさえできなかった。

シュランは、いつ撤退の指令を出すかだけを考えていた。

他のアンドリア部隊は早々に撤退を始めていた。

自分の第七部隊も撤退のタイミングを見計らうだけだった。

総帥からは、撤退の指示は出ていない。

自分の判断で、部隊の運命は決まる。早く撤退指令を出してくれ。

そう考えるのが精いっぱいだった。

シュランは催眠術が解け、現実に戻ったかのように、つらくて、苦しい気持ちにな

った。


Sh「ラムランが撤退する理由はなかった・・・。」

Si「そう、あの時、国王と総帥はラムラン帝国の中心地にいたの。」

Sh「なんだって?・・・。」


シュランは動揺を隠しきれなかった。


Gy「そうよ、あの時父はラムランに行っていた。」


シヨウは、話をつづけた。

移民してきた、ラムランのギャグロン提督は、とある周波数の信号をアンドリアの城に向けた。

その時、城にあったビーコンは光り始め、ある文字情報がホログラム投影された。


そこに書かれていたのは、兄弟よ、我々は、母星の管理者だ。下記に従って生き抜くのだ。


かつて、内戦で星全体が滅ぶ寸前まで来ていた時、評議会は以下のことを決定した。

・遺伝子操作を行い、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプのグループを一万人づつ隣の星

へ送り込む。

・Aタイプをアンドリア人 協調性をコアにおく集団。

・Bタイプをラムラン人 競争心をコアに置く集団。

・Cタイプをピローゲン人 ・・・・・・・・・・・・

・C,A,Bを10年おきに隣の星へ移住させる。

・そして、アンドリア人と、ラムラン人は、同じ社会の中で、新しい文明をつくる。

・この実行には手順がある。詳細は添付ファイル参照。


シヨウはそこまで話し、アンドリア人には、脳波を受信する機能があり、協調にはしる。

なぜ、ジャメルの施策が成功したかのかを明かした。


Gy「私が考えたことは、どんどん実現していった。でも、その陰には、シヨウ、常にあなたのささやきがあっわ。」

Si「さすがね、ジャメル姫。あなたには、受信能力以上に送信力があった。国を統一するには最適だった。」

Sh「わからんなー。」

Gy「そうよ。あなたは、遺伝子操作がうまくいかなかった、いわば不良品よ。しかし、一時的に国境警備をさせるには最適だった。いくらかの闘争心がなければいけなかったからね。」

Sh「俺は、受信能力の低いポンコツだったわけか。」

Si「そう、これから国境を取り去り、ラムラン帝国人をジャメルが操ります。」

Gy「ところで、シヨウあなたの正体は?」

Si「巫女様とでも呼んで。」


シュランと、ジャメルは顔を見合わせ、こういった。

Sh「アンドリア星は舞台、」

Gy「そして、アンドリア人は、シナリオで動く、」

Sh「みな役者。」


シュランは、そう言うと、脱兎のごとく部屋を飛び出し、走り逃げた。


シヨウは、小笑いして、こういった。

Si「やっぱりあわて者ね。私が、"あなたはもう不要よ。"と言うとでも思ったのかしら。違うのよ、ジャメル、彼と協力して、アンドリアとラムラン再統一を行って。」

シヨウは続けた。

評議会が考えたのは、一度人格を分離して、新しい社会を作ることで、異種を再統合して、強い社会基盤を作ることだった。

シヨウは、それを知った上でジャメルの側近としてこの任務にあたっていた。

Si「私が教えられたシナリオはここまで。あとは、ジャメルに頼むわよ。」


ジャメルは、再び、大きな仕事に取り掛かる決心をした。


シュランは、半泣きで走っていた。

Sh「俺は不良品だーー。」


ジャメルとシュラン 完


アンドリアとラムラン第一話に つづく。


エピローグ

ジャメルとシヨウは街を歩きながら、座銀の是正堂パーラーを目指していた。

Si『これを受けとって。わたしは、ここをはなれるわ。』

Gy『通信機ね。』

Si『本当に困った時に、連絡して。亜空間通信は、カラシア星のローミング使ってるから、通信費がメチャ高いの。』

Gy『わかってるゎ。』

Si『ところで、久々に、仲良しのリザに会ったら?』

Gy『本当はね、あの娘、あんまり好きじゃなかったの。それより、是正堂パーラーのイチゴパフェ、イチゴがハ-卜の形になってておいしいのよ。』

Si『御主も悪よの~。』

Gy『あなたこそ、シュランを不良品とか言って。彼程、受信能力過敏な人はいない。逐一、彼を操ってたくせに。』

Si『ちょっと性格まで、変えちゃった。男は真面目で少しアホなのが一番。かわいいわよね。彼。』

Gy『え~歳上なのにかわいいって~』

Si『男は何時も女の手のひらの上よ。』

Gy『でも、飛び出して行っちゃたけど。』

Si『お腹がへったら、近所のソコイチでカツカレーに目一杯辛味パウダーふって食べてるわよ。』

Gy『そうね。きっと。♡』


本当の終り・・・。


謎は残る。

なぜ、アンドリア人の顔と、ラムラン人の顔の色は違うのか。

鬼才 スリーブ・ナットはどうなったのか?

オトノの話はなんだったの?


作中のシュランが悪いわけではなく、

作者の私が、居眠りをしながら書いたせいでもあった。

でも、物事、きっとどこかでつながるものですよ。

ちょっと疲れたので、少ししたら、また再開。


作者、大台にのった夜。




続かないかも

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