1.歳には勝てなかったよ…
まったくの初心ですがよろしくお願いします。
嗚呼、やっとこの時がきたか…
「来るか来るかと待ち侘びたぞ、武蔵‼︎」
「うむ、待たせたな。」
待たせたな、ではないは‼︎この阿呆は!
「まったく果たし状を申して何年経っておると…まあよい、今から言葉は不要。決闘で語ればよい。」
そうして私は自身の得物[物干し竿《備前長船長光》]を手に取る。
武蔵も私の殺気に気づいたようで二本の長さが異なる木刀を持つ。ん?木刀?今持ってるの木刀なの⁈
「…おい武蔵、お主の得物はどうした?」
「…」
「何ゆえに黙しておる。」
「言葉は不要ではないのか?」
「むっ」
そう言われるとこちらもそれ以上問えぬではないか。
「…」「…」
互いに間合いを取る。
(中々責めてこぬな。こぬならこちらから行かせてもらおうか!)
私は三尺のある得物を相手の胴に突くが短めの木刀で受け流しつつ横にかわす、ならばと思い横薙ぎに振るうが次は二本でこれを防ぐ。
(身軽いものだ、年相応であるか)
武蔵は二十半ば、私は五十越えの爺いだ。
今も接近しておる此奴の猛攻を受けきれておるのは年の功というやつであろう。
「はぁ、はぁ」「ふぅ、…」
だが、いかんせん老人の身体ではそう長くは保たぬ。ならば、
「(次で決めさせてもらう、我が必中の技受けてみるがいい。)」
"燕返し"私が剣士として名を馳せることとなった技だ。つい燕が間合いに入ってきたので切ってしまったが、今となっては無用な殺生をしたものだと反省しておる。
「はてさて、どうする武蔵、この技どうみる)」
だが、私の目論見は外れることとなった。
やつは一撃目を二本の木刀で受けてしまった。
(これではニ撃目が出せぬ)
そう思い離れようとするがいかんせん離れられぬ。どうしたことか?と見てみると物干し竿が木刀に挟まり外れぬ状態であった…
(なぬ⁈木刀があっさりと、はっ!まさか最初からこれが狙いか!)
はてさて考えるのが長くなるのも年のせいか、頭上に影がさしたので何事かと見れば奴の木刀が迫っておった。最後に聞いたのは木刀の叩きつける音と誰かの足音であった、そして最後に思ったのは
「(歳はとりたくないものだ…)」
なんともあっけなく死んだもの…だ。
これにて決闘終演勝者宮本武蔵
後に残るは静寂だけであった。