登校初日
二人で部屋を後にして教室に続く廊下を歩いていると、教室の前で先生らしき女の人が待っていた。すろと先生?が俺たちにきずいてこちらに近づいてきた。
「君がユージ君ね?話は聞いてるは、あたしが今日からあなたの担任になる先生よ。」
少し長めの茶髪を後ろで結んだ20代前半くらいの若い先生だった。服装はローブを着ていたがどこか大人の色気を感じさせる人だった。
「里見祐二です。これから、お願いします。えーと、名前は・・・。」
俺が困っていると横にいるリリスが助け船を入れてくれた。
「ミラ先生よ。四年前まではここの生徒だったのよ。だから、あたしたちの先輩ってことになるわね。」
「へー、そうなんですか。では、改めてお願いしますねミラ先生!」
「ええ、私も担任を持つのは初めてで至らない点もあるだろうけどよろしくねユージ君。」
俺たちは一通りのあいさつを終えたところで教室に入った。しかし、入ったはいいものの周りからの不自然な視線に気付いた。
「じゃあ、まだ時間あるから席に座って待っててね。座る場所はどこでもいいから。」
「あ、はい。わかりました。」
そういわれ、俺たちは席に着いたがやはり視線が気になる・・・
「なぁ、俺たちめちゃくちゃ見られてるぞ?」
「し、仕方ないじゃない!人間の使い魔だなんて前代未聞なんだから。」
「だけど、こう見られちゃ気になって仕方ないぞ?」
「そうだけど・・・。」
その時、予冷がなり俺たちの会話も中断されお互いが前を向く。
「では、みなさんまず進級おめでとうございます。これから一年間このクラスの担任を務めることになりました。ミラです。皆、よろしくね。」
みんなが揃ってお願いしますという。
「えー、では早速授業に入りたいんですが・・・。やっぱり皆、彼のことが気になるみたいなので先に紹介しますね。ユージ君前に出てきてもらっていい?」
「あ、はい。わかりました。」
呼ばれた俺は歩いて教壇の前まで来たところで先生に
「後は頼んだわよ。」
と言われ、一人で教壇に立った。
「えーと、初めまして里見祐二です。異世界から来ました。一応リリスの使い魔ってことらしいです。よろしくお願いします。」
途端にみんなが騒ぎ出す。どうやら、使い魔ってことは広まっていたらしいが、異世界から来たといううのは知らなかったらしい。そんな騒がしい中、一人の女生徒が立ち上がり質問をしてきた。
「はい!質問!ユージ君が使い魔なのは分かったけどなんでこのクラスにいるんですか?使い魔は原則として、授業中は自分の部屋か教室外に待機させておくのがルールのはずですが?」
周りの皆も確かにと頷きだす。すると、ミラが教壇に上がってきて
「それは、私から説明します。ユージ君は自分のいた世界に帰る方法を見つけるために魔道士を目指すことにしたのです。学園長の見立てでは召喚によって異世界から来ることが出来たのならその逆も可能というものです。皆さん納得してくれましたか?」
先生の説明でこの話題に収拾がついたと思った矢先に
「納得できませんね。」
っと、さっきとは違う生徒が立ち上がり発言しだした。昨日の召喚の儀で見事サラマンダーを召喚したマルコだ。
「マルコ君・・・。」
「使い魔が魔道士なんて聞いたことがない!魔道士は神聖のものだ、使い魔ごときと僕らを同列に扱わないでもらいたい。」
「何よマルコ。私の使い魔に文句あるっていうの?」
よほど、マルコの言い方に腹がたったのか目に見えてケンカを売っている。しかし、リリスが突っかかっても使い魔と同列に見られた思って激情しているマルコがこの程度で怯むはずもなく。
「文句大ありだね!何故この僕がこんな使い魔ごときと同じ空間で授業を受けなくてはいけないんだ!大体、魔道士になるっていったてこいつに魔道士の才能があるっていうのか!?こんな使い魔ごときに!」
これを聞きカチンときたリリスは大声で
「才能あるに決まってるでしょ!なんたってユージは私の使い魔なんだから!」
あれ?最初お前も俺に才能あるとかないとか学園長室で言ってなかったけ?
「は!だから信用ないんだよ!落ちこぼれのお前の使い魔だなんてたかがしれてるんだよ!」
「な!なんてこと言うの!?無礼にもほどがあるわ!」
「何が無礼だ!落ちこぼれのくせに!」
二人の口喧嘩は次第にヒートアップしていき誰にも止められなくなり皆が距離を取り出した時だ。2人の頭上に文字で出来た光の縄が2本出てきたのである。出てきたかと思うとその縄はそれぞれ二人をグルグル巻きにし出したのだ。
「はいはい、ケンカはそこまで。授業に移るわよー。」
どうやら、この縄は先生が出したものらしい。
「でも、先生!こいつに魔道の才能があると思うんですか!?」
縛られてもこれだけ威勢がいいとむしろすがすがしいな・・・。
「その点に関しては問題ありません。ユージ君は先ほど試練の宝玉の試験を受けなんと試練の宝玉を壊してしまうというほどの魔力の持ち主だということがわかっています。」
「試練の宝玉をですか!?」
マルコの顔に驚きが出る。いやマルコだけではない周囲の者も驚いていた。
あの宝玉を壊したのってそんなにすごかったのかと内心思う。
「お前、本当に試練の宝玉を壊したのか?」
まだ、半信半疑のマルコが俺に聞いてくる。
「あぁ、あのガラス玉みたいなのなら壊したぜ。」
周囲から
「どれだけの魔力をもってるのかしら・・・。」
「マジかよあの玉って確か過去割ったのって2人しかいないんじゃなかったけ?」
「2人!?じゃあ、ユージ君で3人目?」
「そうなるね。」
「すごい!歴史的快挙だわ!」
いやいや!やめてよ!これ以上話を大きくするのは!話のタネにせれるのって結構恥ずかしいんだからな!?
「ほらほら、いい加減授業始めるわよ。皆席について。そこの2人も術をといてあげるから早く席についてね。」
そういって、2人の縄は彼女が指を鳴らすと弾けて消えてしまった。流石の2人も懲りたらしく大人しく席につく。
「じゃあ、今日は時間もないですし、簡単な座学をしましょう。ユージ君はリリスさんに教科書見せてもらってね。」
「あ、はい。わかりました。」
「じゃあ、教科書14ページを開いてねー。」
そして、新学期でもあり俺の登校初日の授業が始まった。
俺、このクラスでやっていけるのかな・・・。っと密かに心の中で心配する祐二であった。