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原初の書庫  作者: クドリャフカ
異世界召喚編
2/31

学園長からの手紙

「ん、ん~」

 太陽も昇り始め、外は朝の訪れを感じることができる時間帯。リリスはベッドの中で寝返りをうっていた。朝焼けの光に照らされているリリスの寝顔はとても可愛くていつまでも見ていたいほどのものだ。そんなリリスをベッドの横で眺めている人物が一人。ユージだ。

「こいつ、よく寝るなー。」

 ユージがそう思うのも仕方ない。リリスは昨日の召喚の儀が終わってからずっと寝ている。時計がないから何とも言えないが、昼間から寝ているので少なくとも十二時間以上は寝ているだろう。

「んー、暇だな・・・」

 もちろんユージも寝ていたわけだが、リリスみたいに疲れていたわけでもないのでそんなにずっと寝ていることが出来るわけもなく、少し前からずっと起きていたのだ。

「呑気なものだな・・・。少し悪戯でもしてみるか。」

 そう言って悪い顔をしたユージはリリスの近くまで行き、人差し指でリリスのほっぺをつんつんしてみた。

 プニッ

「お!想像通りのもっちり感!」

 調子に乗って何度もつんつんするがリリスは起きない。

「これで起きないとはなかなかやるな・・・。ならこれならどうだ!」

 なかなか起きないリリスを見かねて、ユージは両方のほっぺを引っ張ってみた。するとリリスは。

「んーー!!痛い痛い!!!な、何!?」

 悲鳴を上げて起き出した。いや、やった俺が言うのも何だが朝から近所迷惑な声だすなよ。

「やっと、起きたか。」

「そりゃ、起きるわよ!あんなに強くほっぺを引っ張られたら!」

 リリスは涙目になって引っ張られて赤くなった両頬を抑えながらそう言った。よっぽど痛かったのだろう。

「おぉ、それはすまんすまん。」

「まったくよもう!」

「で、朝になったわけだが、早く色々説明してもらえないか?」

「ちょっと待ちなさいよ!女の子には色々準備がいるのよ!」

「へいへい。」

 そういいながら、リリスは鏡台の上に置いてあった手串をとり、髪を整えだした。

「ていうか、あなた早いわね?昨日はどこに泊まったの?」

「ん?何言ってるんだ?ここに泊まったぞ?」

「あー、そうなの。」

「そうだ。」

「・・・っ!ここに泊まったですってーー!?」

「ん?何か問題でもあったのか?」

 不思議そうな顔をしながらユージが尋ねると。

「も、問題あるわよ!私嫁入り前なのよ!?」

「お、おう。で?」

「で?っじゃない!」

「はいはい、で、何が問題なんだ?」

「そ、それは・・・。例えばユージが私にぇ、ぇ・・・。」

 リリスは顔を赤らめながら何かを言おうとしているが、声が小さすぎて何を言っているかよくわからない。

「すまん、よく聞こえない。もう少し大きな声で頼む。」

「わ、私にユージがエッチなことしてないかってことよ!」

「あー、そういう事か。」

 よほど恥ずかしかったのだろう。リリスの目は少し涙ぐんでいて、もう少しでほんとに泣いてしまいそうなものだった。

「悪かったな、あんまりそういう事考えてなかった。許してくれ。」

 そういってリリスの頭をなでてやると少し機嫌を戻したのか。

「も、もういいわよ!」

 こいつ、頭を撫でてやるとすぐに泣き止むのは昔とかわんねーな・・・

 ん?昔?俺は何を言ってるんだ?リリスとは昨日会ったばかりじゃないか。でも、何だろ、不思議とリリスとは初対面な感じがしないんだよな。むしろ、どこか懐かしいというかなんというか。そんなことを考えているとリリスが不意に。

「ユージ、少し外に出てて。」

「ん?なんでだ?」

「お風呂に入るのよ!昨日入ってないし、着替えたいのよ!」

「わかった、外で待ってる。」

 少し、きつく言われたのとさっきの手前、泣かれては困ると思い早々に部屋を後にした。

 

 しばらく、すると部屋の中でシャワーを浴びる音がし出した。その間、祐二は廊下で待っていた。やはり、まだ朝早くのせいか廊下にでても誰の人の気配もない。

「そういえば、ここって寮なんだよな。でも、やっぱり朝だからまだ誰も起きてないか。」

 そんなことを言っていると階段から誰かの足音がした。

 コツコツ・・・

 ん?こんな時間に誰だ?

「こんな時間に起きてるなんて誰だ?」

 そう俺が階段の方を向かって話しかけると。

「わっ!び、びっくりした~。」

「おいおい、急に驚くとは失礼だな。」

「す、すいません!急に話しかけられたものなので・・・。それにこの時間帯に人が起きてることがないので。」

 そういった少女は肩くらいまで伸ばしたピンク色の髪が特徴的な女の子だった。しかし、何故かメイド服に全身を包んでいて、見るからにメイドって感じだった。

「えーと、それはなんかすまん。えーと、メイドさんかな?」

「は、はい!メイドのロロナです!」

「ロロナね、俺は里見祐二。えーと、一応リリスの使い魔ってことになってるらしい。」

 お互い自己紹介をしたところで、ロロナは何か思い出したかの表情をして。

「あ!あなたが噂の人間の使い魔ですか!」

「え、噂になってるのか・・・」

「もちろんですよ!人間の使い魔だなんて前例がないですもん!」

「まじか・・・。」

 俺がとても暗い表情をしたので、ロロナは心配になって。

「あ、あのどうされましたか?」

 よほど俺が暗い表情をしていたのだろう、ロロナの顔はとても心配げな表情をしていた。まぁ、ただロロナが優しいだけかもしれないが・・・

「いや、なんか無駄に目立ちたくないなって。」

 そう答えるとロロナは納得したようで。

「あ!そういうことですか!でも、もう学園中の噂ですよ?」

「げ、まじかよ。」

 学園中にもうひろがってるとかこの学園のやつ暇過ぎだろ・・・

「あ!そうでした。はい、これリリスさんに渡しといてもらえますか?」

 俺が今後の周りからの視線のことを気にしているとロロナがそう言いつつ手紙を渡してきた。

「いいけど、誰からの手紙だ?」

「学園長からの手紙です。」

「学園長?あいつなんかしたのか?」

 俺が怪訝そうな顔をして聞くと

「多分、ユージさんのことだと思いますよ?」

「また俺か・・・。分かった、ちゃんと渡しておくよ。」

「ありがとうございます、ユージさん。」

「あぁ、気にするな。」

 そういって、ロロナは一礼すると

「では、私はお仕事がありますので、また。」

「あぁ、すまんな引き留めて。」

「いえいえ、どっちみちリリス様にお手紙を届けるつもりでしたので。」

「そうか、ありがとう。仕事頑張れよ。」

「はい、ありがとうございます!」

 そう言って、ロロナは上がってきた階段をまた降りていった。

「んー、そろそろリリスも風呂から上がったかな。」

 そして、俺は廊下を後にした。


 ガチャっ

「リリス~、上がったかー?」

 そう聞きながらドアを開けると制服に身を包んだリリスがいた。

「えぇ、見ての通りにね。って!上がってなかったらどうするつもりだったのよ!」

「ん?いや、そん時はそん時で。」

「ちゃんとノックしなさい!」

「へいへい。」

 生返事を返したところで手紙のことを思い出す。

「そういや、リリス手紙が来てたぞ。学園長からだってよ。」

「学園長!?ちょっとかして!」

 そういってリリスは俺の手から手紙を奪った。

「・・・・」

 しばらく手紙を読んでいたが読み終わったらしく、顔を上げたので

「なんて、書いてあったんだ?」

「あんたと一緒に学園長室まで来いって書いてあるわ。」

「やっぱり俺絡みか・・・。」

「ええ、そうよ。あなたのこれからの処遇を決めるらしいわ。」

「わかった。で、いついくんだ?」

「今からよ。手紙には読んだらすぐに来いって書いてあるわ。」

「分かった、すぐに行こう。」

 そして、2人は部屋を後にし学園長室に向かった。

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